年を重ねると、暮らす環境に加え、体力にも変化が現れてくるもの。そんな変化を感じたら、まずは「料理」の手間を減らし、今の自分に合った食生活にアップデートするのはいかがでしょう。今回は、暮らし上手5人が実践するコツをご紹介します。

50代から始める、料理の手間を減らすコツ

年齢を重ねるほど、食卓の準備は億劫になるもの。ここでは、暮らし上手5人が無理のない範囲で実践している、料理の手間を減らすコツをご紹介します。

【写真】60代夫婦2人、食事はほぼ「宅配食」に

●ガス台を二口から一口コンロにチェンジ〜本多めぐさん

ミニマリスト・本多めぐさんは、アラフィフ夫婦のふたり暮らし。少し前にガス台を二口から一口コンロにチェンジしたそう。その理由とメリットは?

50代は子どもが巣立ち、ふたり暮らしに戻る時期。それに合わせて、家具や電化製品も「家族用」から「2人用」や「1人用」がちょうどよくなります。タイミングは、家電や家具が壊れたとき、引っ越しで持ち物を整理するときなどがおすすめです。今までより、小さいものに買い替えると、小さな暮らしにフィットしますよ。

買い替えには、メリットも。冷蔵庫、炊飯器、食器棚…。新調するなら小さいものを買うことで購入代金が節約できますし、最近の家電は電力消費が少ないため、節電効果も期待できますよ。

わが家では、ガス台を二口から一口コンロにチェンジ。おかげで掃除がとってもラク! お値段も4000円くらいで手に入り、二口コンロを買うより断然お得でした。

 

アラフィフになると、若い頃と比べて食べる量が減ります。また、脂っこいものはあまり食べられなくなることも。夫婦共に体調変化を実感する時期です。

現在は、「ガマン」にならない程度に、食事量をゆるゆると減らし中。以前はドカンと出していた量を、最初は少なめに盛りつけ、たりなければおかわりをする形にしています。
ガマンというより、若いころからの「習慣」で食べていた量を、年相応に修正していく感覚です。

食べる量に合わせて、料理道具もコンパクト変えるといいですね。フライパンやお鍋などを買い替えるときは、ワンサイズ小さなものを選ぶと◎。つくりすぎや食べすぎ防止にも役立ちます。

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50代からの無理のない節約。コンロは2口から1口へ…暮らしを小さくする工夫

 

●バランスのとれた万能2品で献立悩みを解消〜本多めぐさん

本多めぐさんは、栄養士として食事のアドバイスの経験もおもちです。「ものたりないかも」と悩んだときにつくってほしい、定番のおかず2品を伺いました。

(1) 「肉野菜炒め」でメインのおかず&野菜をカバー

お弁当や総菜には野菜がたりないことも多いですよね。でも、食事全体のバランスを取りたくても、すばやく、そのときのメインに合う一品を考えるのは頭を使います。そんな場合には、「肉野菜炒め」がおすすめです。

つくる際のポイントは「やや薄味」にしておくこと。ほかのおかずの味が濃いときもあるので、薄めにつくることで全体のバランスがとれます。もし味が薄くてものたりないときは、しょうゆを垂らすなど追加すればOK。野菜やお肉は冷蔵庫にあるもので構いませんよ。

 

主食がたりないときは、混ぜるだけの「わかめご飯」で調整します。
たとえば、うどんやそばなどのあっさりめの献立の日にものたりなさを感じたら、わかめご飯の出番です。この日は鮭わかめご飯に。

おにぎりにする理由は、好きな量を食べられるため。ごはんをお茶碗によそってしまうと、盛られた量は全部食べないといけないと思いがち。おにぎりなら、それぞれの食欲に合わせられます。残ったら、間食にしても翌日食べてもかまいません。
わかめご飯のほかに、ゆかりや混ぜごはんの素を使ってもいいですね。

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50代、献立に悩まないコツ。食卓のバランスを整える万能な2品

 

●手抜きのわりに大満足の主食ごはん〜若松美穂さん

ごはんをつくるのが面倒なときやしんどいときってありますよね。そんなときにつくってほしい、簡単で満足感のある主食中心のごはんを、エッセイスト・若松美穂さんに教えていただきました。

(1) 具材を入れて注ぐだけの「だし茶漬け」

「今日は簡単にすませたい」というときに最適な「だし茶漬け」

つくり方はとっても簡単。

(1) 白だしに好みの量の水を加えて煮立て、温かい汁をつくります。今回は塩分の強い明太子をのせたので、薄めのだしにしています。

(2) 冷凍ご飯(常備しております)をチンしたものを器に入れ、具をのせます。焼き明太子、ミョウガ、青ジソ、チューブショウガ、カットしたのり。

(3) だしを具の周囲に入れたらできあがり。

さっぱりしているので、焼肉のあとや、お酒を飲んだあとにも人気です。

 

(2) 酢飯いらずの「ひとり手巻き寿司」

簡単にひとり手巻きずしを可能にしてくれる便利品があるのをご存じですか? 親戚の大学生の子に教えてもらったのですが、これはとっても便利な商品。「酢つきのり」です。

手巻酢つきのり(のりに酢と出汁の効いた調味液で味がついている)があれば、白いご飯でも、巻くだけでちゃんとお寿司になります。
お刺身やカット野菜を用意すれば、少量の手巻き寿司に。酢飯が余る心配もなく、気軽に食べられます。ラクしつつ、贅沢したいときにおすすめですよ。

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50代からの「手抜きのわりに」満足ごはん4つ。家伝のせんべいおにぎりも

●「自家製冷凍食品」で安くて満足な献立に〜京子さん

子ども3人を大学へ進学させた後、夫が亡くなった今も、節約生活で専業主婦を続ける京子さん。節約につながる食生活のコツとは?

(1) 「自家製冷凍食品」で安くて満足な献立に

京子さんは結婚当初から、手づくりで冷凍食品をつくっています。

「自分でつくると、市販の冷凍食品よりもおいしく、食卓に並べたときも満足感が高いです。つくるうえで気をつけることは、水分を少なめにすること、どんな料理も火を通してから冷凍することくらいでしょうか。一度火を通しておくと、食べたいときに温めるだけで“すぐ”食べられます。生のままよりも、臭いづらい状態で保管できるのも利点です」

揚げ物はコメ油を使うと、胃もたれしづらいのでおすすめとのこと。

「取りかかるときは、一気に大量につくります。そのほうが安上がりですよ。たとえばギョーザなら100個、鶏ハムなら1kgつくります。できたものはその日の夕飯に並べ、食べなかった分をすべて冷凍庫に入れてしまいます。ほかにもコロッケ、揚げ物、春巻き、ロールキャベツをよくつくります。でも、なんでもつくっちゃいますね」

(2) 冷蔵庫の他に「冷凍庫」を購入

自家製冷凍食品をつくる京子さんは、冷蔵庫の他に、単独の冷凍庫も持っています。現在は4代目。冷蔵庫の冷凍スペースでは収納がたりず、買ったのが始まりです。

子どもが独立し、夫に先立たれた京子さんは、58歳のときに完全にひとり暮らしになりました。今は遺族年金だけで暮らし、相変わらず専業主婦のまま。そんな今でも、買い物では材料を月に2回、まとめ買いすると京子さん。

「自家製冷凍食品があると、自然と買い物に行く回数も減る」と京子さんは言います。

買い物頻度が減ると無駄使いが減り、その結果予算をコントロールしやすく、支出を抑えることにもつながりますね。

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67歳の小さな節約暮らし。「2台目冷凍庫」で支出が減った!

●1か月のうち20日を「宅配食」に〜岡田敏子さん

余計なものを捨てて片付ける「捨て活アドバイザー」として活躍する岡田敏子さん。岡田さんは、60歳を機に「脱・家事」を家族に宣言。
取り組んだ最大の「脱・家事」は食事の支度でした。なんと今は、1か月のうち20日を「宅配食」に切り替えたそうです。

 

お腹の減り具合もその日によって違うし、好みも夫婦それぞれに違う。いろいろ試した結果、「主菜と副菜が別々のほうが、わが家にはいいみたい」。宅配で届いた食事はすべて冷蔵庫へ。1食ずつ真空パックになっていて、中身も一目瞭然。食べたい物を選べるので、体調に合わせて量も内容も好きに調節できるところが便利です。

「宅食だけじゃちょっと寂しい」と思うときは、野菜を買ってきてサラダをつくったり、季節のフルーツをデザートにしたり工夫しているそう。

 

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60代、夫婦二人暮らしで「脱・家事宣言」。宅配食にしたら食費管理もラクに

 

●元気を支える食習慣のコツ〜村上祥子さん

福岡でキッチンスタジオを切り盛りしながら、ひとり暮らしをしている料理家の村上祥子さん。年齢を重ねても元気なのは、バランスのいい食事のおかげ。彼女の食生活について詳しく伺いました。

(1) 1食ごとにタンパク質と野菜をまとめる

買い物は、週に1回まとめ買いスタイルの祥子さん。そんな彼女には、調理するタイミングで億劫にならないような工夫もあるようで。

食材を保存するときには、タンパク質:野菜が1:2になるように心がけているといいます。

「好きなタンパク質と野菜を組み合わせた1食分の素材をまとめて冷凍保存し、メイン料理に使うとラクです」

(2) すぐに食べられる常備菜を副菜に

ご飯、汁もの、タンパク質と野菜のメイン料理が基本の1食ですが、ものたりないときに便利なのが常備菜。

「酢キャベツや酢タマネギなどは、健康効果もあって箸休めにぴったり」

その他にも、高齢になるととりたいカルシウムは、大人のための栄養強化型粉ミルクを朝食のミルクティーに入れて、補っているそう。

年齢を重ねても健康にいる秘訣、ぜひ試してみてくださいね。

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80歳の現役料理家・村上祥子さん。元気を支える食習慣4つ