漫画・満吉くん またたびタイムトリップ【アザラシの巻】癒しをもらった「タマちゃん」ブーム
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満吉(まんきち)くんは、各時代で話題となった存在と、時空を超えて交流できるという特殊な能力を持つ猫。この愛くるしいキャラクターの生みの親、マルチクリエイターの江戸家猫ハッピーさんが、満吉くんを主人公にした漫画で心が和らぐ物語を紡ぎます。第19回は「アザラシ」編です。
※漫画は、画像ギャラリーでもご覧になれます
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流行語大賞にもなった「タマちゃん」
ちょうど20年前、2002年の夏でした。8月7日、東京と神奈川の境を流れる多摩川。東京都大田区田園調布と川崎市中原区上丸子八幡町にかかる丸子橋付近に、愛嬌のある生き物が突然姿を現し、話題となりました。
その生き物は、オスのアゴヒゲアザラシ。本来の生息域は北極海などの北極圏で、北海道近海で目撃されることもあるといいますが、迷って首都圏にまでたどり着いたとみられます。
まだ子供で、見つかった場所からでしょう、「タマちゃん」と呼ばれて一躍人気者に。泳いだり、あくびをしたり、時にはコンクリートの上に寝転がったり……。かわいらしい姿を一目見ようと、川べりには多くの見物人が詰めかけ、その年の流行語大賞にも選ばれました。関連グッズも売り出されるなど「タマちゃん」ブームが起こります。
2004年4月を最後に姿消す
タマちゃんが、多摩川で実際に見られたのは、お盆の前後。その後、横浜市の鶴見川、大岡川を経て、9月には帷子(かたびら)川に移動。そのまま、年を越したと見られます。翌2003年2月には、帷子川が流れる横浜市西区が、地域の魅力向上に貢献したなどとして「特別住民票」を発行。「ニシ タマオ」と名付けられました。生年月日は不詳で推定2歳となっています。
“定住”していた帷子川では3月中旬から行方がわからなくなります。次に見つかったのは4月20日、埼玉県越谷市の中川。場所は、東京湾に注ぐ河口から上流に約25キロの地点です。その後、落ち着いたのが埼玉県朝霞市付近の荒川でした。中川と荒川は河口で合流しています。
荒川では4月下旬から約1年にわたり、断続的に目撃されています。しかし、2004年4月12日を最後に、目撃情報が途絶えました。同じ月には、市民団体やファンらが行方を探しているという新聞報道も。以降、タマちゃんの消息は不明ですが、アゴヒゲアザラシは20年以上生きるともいわれていますので、今では故郷の北の海に帰り、のんびり暮らしているのかもしれません。
江戸家猫ハッピー(Edoya Nekohappy)
マルチクリエイター。動物ものまね芸人「三代目 江戸家猫八」の末娘。
1993年から15年間、俳優・緒形拳に師事。共著「地球徒歩トボ」(学研)では写真を担当した。オリジナルキャラクターである猫の「満吉くん」を通して、地球を楽しむための写真・漫画・グッズなどを発信している。伊豆高原で「猫満福庵」という猫のいるギャラリーをオープン予定。
・「猫満福庵」https://nekomanpukuan.stores.jp/
・「江戸家猫ハッピー」https://nekohappy.com/