高級ヘッドホン続々、ひと味違う新イヤホンも! 秋のヘッドフォン祭2022を振り返る
●「ヘッドフォン祭」の名に違わぬ“高級ヘッドホン豊作の秋”
「秋のヘッドフォン祭2022」が東京・中野サンプラザで9月18日に開催されました。
(左上から時計回りに)FOCALのヘッドフォン「UTOPIA SG」、Campfire Audio新イヤホン「Trifecta」、クラウドファンディング募集中のNTTソノリティ「パーソナルイヤースピーカー“MWE001”」、城下工業(SOUND WARRIOR)が参考出品していた真空管+D級ハイブリッドアンプ「SWL-T01(仮)」
「春のヘッドフォン祭 2022 mini」に続き、今回も事前登録制ということで1日のみ、参加人数1,500人に限定しての開催となりましたが、春よりもフロアや入場者数を増やし、トークやミニライブなどのイベントが実施されたこともあって、かつての姿を取り戻しつつあるように感じられました。
ヤマハが開発中のフラグシップヘッドホン「YH-5000SE」
今回興味深かったのは、ハイエンドヘッドホンの新作が多数出展されていたこと。なかでも、ヤマハが開発中の最上位ヘッドホン「YH-5000SE」は特に大きな注目を集めており、参考展示を行うと事前予告されていたこともあってか、試聴希望者のための整理券配布は開場からわずか5分で終了してしまったそうです。
final「ZE8000」外観サンプルの展示
“有線を超えるサウンド”(!?)を追求したという、finalの完全ワイヤレスイヤホン最上位機「ZE8000」も人気でした。イヤホン本体のサウンドやスペックもさることながら、専用カスタムイヤーピースのオーダーを始めるというのも気になる情報です。今回は外観展示のみとなりましたが、10月末に正式発表を予定しているそうなので、続報を待ちたいところ。
オンキヨー製のマグネシウム振動板BAドライバーを搭載した「FitEar H1」
ヘッドフォン祭の中で実施された、FitEar(須山歯研)の新しいカスタムイヤーモニター「FitEar H1」製品発表会の会場には、多くの人が詰めかけていました。オンキヨー製のマグネシウム振動板バランスド・アーマチュア(BA)型ドライバーを採用しているということで、オンキヨーの“中の人”が登壇してBAドライバーの特徴などを解説。また、須山歯研の開発体制が若手スタッフを中心としたものに移行しつつあるというのも興味深い情報でした。
(左上から時計回りに)FiiOの完全ワイヤレスイヤホン「FW5」、DAC内蔵ヘッドホンアンプ「K7」と新機軸のデスクトップオーディオストリーマー「R7」、Noble Audioの完全ワイヤレスイヤホン「FoKus H-ANC」、インイヤーモニター型有線イヤホン「VIKING RAGNAR」
本邦初公開となる新製品がズラリと並んだFiiOブースで異彩を放っていたのが、新機軸のオーディオ製品「R」シリーズ第1弾として登場した、据え置き型の「R7」でした。強⼒なDAC部を備えたデジタルオーディオプレーヤーと据え置き⽤のアンプを搭載させ、電源も強化。デスクトップに置いてネットワークオーディオプレーヤーとして使えるように仕上げています。パッと見は、近頃一部のJR駅構内で見かける全面ディスプレイの自販機っぽく、見た目の面白さもありますが、実際の使い勝手も気になるところです。
会場ではほかにも、新作を含む多数のポータブルオーディオ製品が出展されていました。今回はその中から、筆者が注目した製品をフォトレポート形式で紹介していきます。
FOCAL最上位ヘッドホン「UTOPIA SG」
FOCAL「UTOPIA SG」
ラックスマンのブースでは、FOCALの最上位ヘッドホン「UTOPIA SG」が登場。初代UTOPIA(2016年発売)に最新のテクノロジーとノウハウを注ぎ込み、ピュアベリリウム素材の“M”字型ドーム・ドライブユニットを刷新して搭載した第2世代モデルです。整理券を入手できた来場者が試聴に訪れ、実機のサウンドにじっくり耳を傾けていました。9月末発売予定で、価格は66万円。
実機のサウンドに耳を傾ける来場者の姿があった
AUDEZE新ヘッドホン「MM-500」
AUDEZE「MM-500」
秋のヘッドフォン祭2022のメインビジュアルには、今秋日本市場に投入される2つの新型ハイクラスヘッドホンの画像が使われていました。そのひとつが、平面振動板タイプの高級ヘッドホンの老舗である米AUDEZEの最新型Mシリーズヘッドホン「MM-500」。
レコーディングスタジオ以外の環境下でも、スタジオでの作業と同様のクオリティを発揮する“スタジオモニターヘッドホン”として開発されたそうです。完実電気のブースで出展されており、国内では30万円ほどで販売予定とのこと。
Dan Clark Audio第1弾ヘッドホン「STEALTH」
Dan Clark Audio「STEALTH」
秋のヘッドフォン祭2022のメインビジュアルに使われていた、もうひとつのヘッドホンがDan Clark Audio(ダンクラークオーディオ)の新製品「STEALTH」(ステルス)。
これまでMr.Speakers(ミスタースピーカーズ)として国内でも流通していたメーカーが、創業者の名前を取った新しいブランドネームに変更して再出発し、同社ならではの平面振動板を採用したSTEALTHで日本市場に再参入したかたちです。こちらも完実電気のブースで試聴可能になっていました。ヘッドフォン祭を主催するフジヤエービックが国内独占販売を始めており、価格は63万8,000円です。
ゼンハイザー「MOMENTUM 4 Wireless」
ゼンハイザー「MOMENTUM 4 Wireless」
ゼンハイザーのブースで目立っていたのは、8月に発売したワイヤレスヘッドホン最上位機「MOMENTUM 4 Wireless」(実売約54,890円)。ホワイトとブラックの2色を用意し、試聴可能な状態で用意していました。
ピエール中野監修のAVIOT初ヘッドホン、首都圏初上陸
AVIOT「WA-Z1PNK」
AVIOTブースでは、ブランド初のヘッドホン「WA-Z1PNK」(直販88,000円)の実機が試聴可能な状態で展示されていました。ピエール中野氏が監修し、声優・ 緒方恵美氏の録り下ろしボイスガイダンスを搭載しているのも大きな特徴。大阪や仙台のポータブルオーディオ製品展示会で既に披露され、8月には先行予約販売も実施されていた製品ですが、意外にも首都圏でのイベント展示は初めてとのこと。
耳穴に入れない、NTTソノリティの“パーソナルイヤースピーカー”
NTTソノリティ「MWE001」
NTTソノリティのブースでは、「耳をふさがないのに音漏れしにくく、人と話しやすい」という“パーソナルイヤースピーカー”「MWE001」を中心としたデモ展示を行っていました。耳掛け式の有線タイプで、耳穴に干渉しない軽い着け心地なのが好印象です。
耳をふさがない形状でありながら、ノイズキャンセリングと同様の原理で音漏れを抑え、「耳元だけに音を閉じ込める」というNTT独自のPSZ技術を活用
「耳元だけに音を閉じ込める」というNTT独自のPSZ(パーソナライズド・サウンド・ゾーン)技術を活用した製品。PSZは、ドライバー(音の出口)から一定距離のところで、ある音波(正相)に対し、逆相の音波を当てて音波同士を打ち消し合い、周囲への音漏れを防ぐというもの。ノイズキャンセリング機能と同様の原理を応用しており、耳をふさがないのに音漏れが本当に少ないので、リモートワークやオンライン会議で活用できそうです。
MWE001を装着したところ
MWE001は現在、GREEN FUNDINGでクラウドファンディングを実施中。予想を超える支援を集めたことで製品の増産が決定しており、10月24日まで期間を延長しています。執筆時点では25%オフの6,188円で購入できるプランなどが用意されていました。
SP3000+Odysseyだけじゃない、アユートブースの新製品
AK×Empire Ears初コラボイヤホン「Odyssey」(左)とAstell&Kern最上位ハイレゾプレーヤー「A&ultima SP3000」
Astell&Kernやqdcなどのブランドを展開するアユートブースの目玉は、新しいフラッグシップハイレゾプレーヤー「A&ultima SP3000」と、米国のカスタムイヤホンメーカー・Empire Earsとの初コラボレーション高級イヤホン「Odyssey」。それ以外にも参考展示の新製品の姿がありました。
qdc「Tiger」
qdc「Dmagic Solo」
qdcからは、7月の「ポタ研」でも参考出展していたフラッグシップ級ユニバーサルイヤホン「Tiger」のほか、ダイナミックドライバー1基搭載の「Dmagic Solo」(想定売価:3万円前後)や、有線イヤホンを完全ワイヤレスイヤホンのようにするaptX対応Bluetoothレシーバー「qdc TWX」(想定売価:2万円前後)が参考出展されていました。
「qdc TWX」
qdc TWXに別売イヤホンをつけてケースに収納したところ
AZLAからは、東京ゲームショウ2022で披露された有線イヤホン「ASE-500」を参考展示。「AZLA史上最高の寝ホン」を謳い、ドライバーとケーブルを除くすべてにシリコンを使ったデザインが特徴です。
AZLA「ASE-500」
ドライバーとケーブルを除くすべてにシリコン素材を使っていて柔らかい触り心地だ
●ポータブルプレーヤーやDACアンプにも注目の新機種
iBasso「DX320」限定モデル、SHANLING新デスクトップオーディオ
DX320 EditionX
外装にリキッドメタルを使用
SHANLINGやiBasso Audioといったオーディオブランドの製品を取り扱うMUSINのブースでは、外装にリキッドメタルを使った全世界500台限定のiBasso Audio特別モデル「DX320 EditionX」が登場。
本体下部にヘッドホン端子などを備えたアンプカードを搭載
ブースではアンプカードの交換も可能になっていた
DX320 EditionXの背面。こちらは通常のDX320とそれほど違いはなさそうだ
DX320 EditionXは、Android OS採用オーディオプレーヤー「DX100」の発売10周年を記念し、ポータブルオーディオプレーヤー「DX320」(直販21万9,780円)をベースに仕上げたとのこと。既存のDX320よりも重厚ながら、なめらかな手触りが印象的でした。
SHANLING「EM7」
AndroidベースのOSを搭載し、音楽ストリーミングサービスが利用できるデスクトップオーディオシステム「EM7」も展示されていました。
タッチ操作対応のフルHDディスプレイを装備
EM7の背面
上面に最大60度まで起こせるタッチ操作対応のフルHDディスプレイを備えた姿は、どこかカーオーディオ一体型ナビーションシステムのようにも見えますが、れっきとしたオーディオ製品。ハイレゾ音源再生が行え、前面に各種ヘッドホン端子、背面にはEthernetやUSBと同軸/光デジタル、XLRやRCAといったアナログ端子も備えています。
iBasso Audio「DC03 PRO」
ほかにもiBasso Audioからは、スマートフォンと組み合わせて使える、USB Type-C接続タイプのポータブルDACアンプ「DC03 PRO」を参考出展。従来のDC03とはデザインがかなり変わって薄くなり、側面には音量調整用の物理ボタンも備えていました。
USB Type-Cショートケーブルでスマートフォンなどと接続可能
SOUND WARRIORから、真空管+D級ハイブリッドアンプなどが登場
SOUND WARRIOR「SWL-T01(仮)」
城下工業(SOUND WARRIOR)のブースでは、今秋〜来年初頭の発売を目指している、2つの参考出品を見かけました。
ひとつは、2023年1〜3月頃の発売を予定している、真空管+D級ハイブリッドアンプ「SWL-T01(仮)」。デスクトップなどに置けるコンパクトサイズで、価格は4〜4.5万円のイメージで考えているそうです。
SWL-T01(仮)の背面
プリ段に真空管の12AU7、パワー段にD級アンプを採用したハイブリッドアンプ。前面にはヘッドホン出力として6.3mm標準ステレオと3.5mmステレオミニの2系統がありますが、発売時にはどちらかひとつに絞る事も考えているようです。
背面にはUSBや光デジタル、アナログRCAといった入力端子に加えてスピーカーターミナルも搭載し、スピーカー出力は15W×2chという仕様になっていました。
SOUND WARRIOR「SWD-UA1(仮)」
もうひとつは、USB DAC内蔵のプリメインアンプ「SWD-UA1(仮)」。こちらは2022年11月発売予定で、価格は5万円台後半ぐらいから6万円弱をイメージしているとのこと。
PCやスマホ、CDプレーヤー、テレビと接続してスピーカーで鳴らして使うことを想定した製品で、再生できる音源はPCM 384kHz、DSD 11.2MHzまで対応しています(どちらも発売時には、上記の仕様が変わっている可能性があります)。
SWD-UA1(仮)の背面
SWD-UA1(仮)に付属予定のリモコン
●定番から変わり種まで、新イヤホンをブースごとに紹介
オーディオテクニカ
オーディオテクニカは、自社設計の新ドライバーを搭載した最上位完全ワイヤレスイヤホン「ATH-TWX9」(9月3日発売/直販33,000円)を大々的にアピール
ADV.
ADV.ブランドのスリーピングイヤフォンを完全ワイヤレス化した「Sleeper TWS」(一般販売予定価格:9,900円)。Makuakeでクラウドファンディング実施中で、20%オフの7,920円プランなどを用意している
Campfire Audio
Campfire Audioの新作イヤホン「Trifecta」。神々しい輝きを放つ什器が印象的だった。世界限定333台(日本では50台)を販売予定で、国内予想価格は42万9,000円前後
イヤホン本体はクリアボディで、テトラポッドのような不思議な形状をしている。内部には3つのフルレンジドライバーを配置しているのが見える
FAudio
FAudioから発売中の、4ドライバー搭載ハイブリッドイヤホン「Mezzo」(29万5,800円)の姿もあった
iBasso Audio
iBasso Audioの新作イヤホン「IT05」
深い青のフェイスプレートと、オレンジのイヤーピースの対比が目を惹く
Shure
Shure(完実電気)のブースには、9月30日発売の「SE846(第2世代)」(12万9,800円前後)の実機が置かれていた
カラーは従来のクリアのほか、グラファイトシルバー(左)とジェイドグリーン(右)を加えた3色展開となる
「SE215 Special Edition」の新色パープル。こちらも9月30日発売予定で、実売13,860円前後の見込み
Acoustune
Acoustuneのブースには、7月のポタ研で展示していた2つの試作機が製品版に近いかたちで登場。これは音楽制作向けのモニターイヤホン「RS THREE」(想定売価:2万円以下)で、ミリンクスドライバーの技術を活かしたステージモニターイヤホン「Monitor RS ONE」のバリエーションモデルとなる
こちらは、音響チャンバーを交換できるAcoustuneの有線イヤホン「HS2000MX SHO-笙-」向けの交換式音響チャンバーとして、近日発売予定の「ACT03」(想定売価:10万円以下)。会場では量産版が試聴可能だった。チャンバーハウジングは真鍮製だが、一部にウッドパーツを採用して木の響きも楽しめるようにしている
AVIOT
ピエール中野氏が監修する“有線ピヤホン”シリーズ第3弾「Hi-Unit 001-pnk」。4月に開始したクラウドファンディングで33,000円で購入でき(執筆時点では終了)、現在は支援者に向けて順次製品を発送中とのこと
イベント「ノムケンLab! アカデミー in HPFES」
「ノムケンLab! アカデミー in HPFES」会場では、トークイベント内で紹介する楽曲を、実際のポータブルオーディオ製品で試聴できるブースを設け、トークとリンクした試聴展示を実施。また、野村ケンジ氏とユーザーが一緒になって音にこだわったモノづくりに挑戦するコミュニティ「#オトモノ」の試作機の展示もあった
「秋のヘッドフォン祭2022」が東京・中野サンプラザで9月18日に開催されました。
(左上から時計回りに)FOCALのヘッドフォン「UTOPIA SG」、Campfire Audio新イヤホン「Trifecta」、クラウドファンディング募集中のNTTソノリティ「パーソナルイヤースピーカー“MWE001”」、城下工業(SOUND WARRIOR)が参考出品していた真空管+D級ハイブリッドアンプ「SWL-T01(仮)」
ヤマハが開発中のフラグシップヘッドホン「YH-5000SE」
今回興味深かったのは、ハイエンドヘッドホンの新作が多数出展されていたこと。なかでも、ヤマハが開発中の最上位ヘッドホン「YH-5000SE」は特に大きな注目を集めており、参考展示を行うと事前予告されていたこともあってか、試聴希望者のための整理券配布は開場からわずか5分で終了してしまったそうです。
final「ZE8000」外観サンプルの展示
“有線を超えるサウンド”(!?)を追求したという、finalの完全ワイヤレスイヤホン最上位機「ZE8000」も人気でした。イヤホン本体のサウンドやスペックもさることながら、専用カスタムイヤーピースのオーダーを始めるというのも気になる情報です。今回は外観展示のみとなりましたが、10月末に正式発表を予定しているそうなので、続報を待ちたいところ。
オンキヨー製のマグネシウム振動板BAドライバーを搭載した「FitEar H1」
ヘッドフォン祭の中で実施された、FitEar(須山歯研)の新しいカスタムイヤーモニター「FitEar H1」製品発表会の会場には、多くの人が詰めかけていました。オンキヨー製のマグネシウム振動板バランスド・アーマチュア(BA)型ドライバーを採用しているということで、オンキヨーの“中の人”が登壇してBAドライバーの特徴などを解説。また、須山歯研の開発体制が若手スタッフを中心としたものに移行しつつあるというのも興味深い情報でした。
(左上から時計回りに)FiiOの完全ワイヤレスイヤホン「FW5」、DAC内蔵ヘッドホンアンプ「K7」と新機軸のデスクトップオーディオストリーマー「R7」、Noble Audioの完全ワイヤレスイヤホン「FoKus H-ANC」、インイヤーモニター型有線イヤホン「VIKING RAGNAR」
本邦初公開となる新製品がズラリと並んだFiiOブースで異彩を放っていたのが、新機軸のオーディオ製品「R」シリーズ第1弾として登場した、据え置き型の「R7」でした。強⼒なDAC部を備えたデジタルオーディオプレーヤーと据え置き⽤のアンプを搭載させ、電源も強化。デスクトップに置いてネットワークオーディオプレーヤーとして使えるように仕上げています。パッと見は、近頃一部のJR駅構内で見かける全面ディスプレイの自販機っぽく、見た目の面白さもありますが、実際の使い勝手も気になるところです。
会場ではほかにも、新作を含む多数のポータブルオーディオ製品が出展されていました。今回はその中から、筆者が注目した製品をフォトレポート形式で紹介していきます。
FOCAL最上位ヘッドホン「UTOPIA SG」
FOCAL「UTOPIA SG」
ラックスマンのブースでは、FOCALの最上位ヘッドホン「UTOPIA SG」が登場。初代UTOPIA(2016年発売)に最新のテクノロジーとノウハウを注ぎ込み、ピュアベリリウム素材の“M”字型ドーム・ドライブユニットを刷新して搭載した第2世代モデルです。整理券を入手できた来場者が試聴に訪れ、実機のサウンドにじっくり耳を傾けていました。9月末発売予定で、価格は66万円。
実機のサウンドに耳を傾ける来場者の姿があった
AUDEZE新ヘッドホン「MM-500」
AUDEZE「MM-500」
秋のヘッドフォン祭2022のメインビジュアルには、今秋日本市場に投入される2つの新型ハイクラスヘッドホンの画像が使われていました。そのひとつが、平面振動板タイプの高級ヘッドホンの老舗である米AUDEZEの最新型Mシリーズヘッドホン「MM-500」。
レコーディングスタジオ以外の環境下でも、スタジオでの作業と同様のクオリティを発揮する“スタジオモニターヘッドホン”として開発されたそうです。完実電気のブースで出展されており、国内では30万円ほどで販売予定とのこと。
Dan Clark Audio第1弾ヘッドホン「STEALTH」
Dan Clark Audio「STEALTH」
秋のヘッドフォン祭2022のメインビジュアルに使われていた、もうひとつのヘッドホンがDan Clark Audio(ダンクラークオーディオ)の新製品「STEALTH」(ステルス)。
これまでMr.Speakers(ミスタースピーカーズ)として国内でも流通していたメーカーが、創業者の名前を取った新しいブランドネームに変更して再出発し、同社ならではの平面振動板を採用したSTEALTHで日本市場に再参入したかたちです。こちらも完実電気のブースで試聴可能になっていました。ヘッドフォン祭を主催するフジヤエービックが国内独占販売を始めており、価格は63万8,000円です。
ゼンハイザー「MOMENTUM 4 Wireless」
ゼンハイザー「MOMENTUM 4 Wireless」
ゼンハイザーのブースで目立っていたのは、8月に発売したワイヤレスヘッドホン最上位機「MOMENTUM 4 Wireless」(実売約54,890円)。ホワイトとブラックの2色を用意し、試聴可能な状態で用意していました。
ピエール中野監修のAVIOT初ヘッドホン、首都圏初上陸
AVIOT「WA-Z1PNK」
AVIOTブースでは、ブランド初のヘッドホン「WA-Z1PNK」(直販88,000円)の実機が試聴可能な状態で展示されていました。ピエール中野氏が監修し、声優・ 緒方恵美氏の録り下ろしボイスガイダンスを搭載しているのも大きな特徴。大阪や仙台のポータブルオーディオ製品展示会で既に披露され、8月には先行予約販売も実施されていた製品ですが、意外にも首都圏でのイベント展示は初めてとのこと。
耳穴に入れない、NTTソノリティの“パーソナルイヤースピーカー”
NTTソノリティ「MWE001」
NTTソノリティのブースでは、「耳をふさがないのに音漏れしにくく、人と話しやすい」という“パーソナルイヤースピーカー”「MWE001」を中心としたデモ展示を行っていました。耳掛け式の有線タイプで、耳穴に干渉しない軽い着け心地なのが好印象です。
耳をふさがない形状でありながら、ノイズキャンセリングと同様の原理で音漏れを抑え、「耳元だけに音を閉じ込める」というNTT独自のPSZ技術を活用
「耳元だけに音を閉じ込める」というNTT独自のPSZ(パーソナライズド・サウンド・ゾーン)技術を活用した製品。PSZは、ドライバー(音の出口)から一定距離のところで、ある音波(正相)に対し、逆相の音波を当てて音波同士を打ち消し合い、周囲への音漏れを防ぐというもの。ノイズキャンセリング機能と同様の原理を応用しており、耳をふさがないのに音漏れが本当に少ないので、リモートワークやオンライン会議で活用できそうです。
MWE001を装着したところ
MWE001は現在、GREEN FUNDINGでクラウドファンディングを実施中。予想を超える支援を集めたことで製品の増産が決定しており、10月24日まで期間を延長しています。執筆時点では25%オフの6,188円で購入できるプランなどが用意されていました。
SP3000+Odysseyだけじゃない、アユートブースの新製品
AK×Empire Ears初コラボイヤホン「Odyssey」(左)とAstell&Kern最上位ハイレゾプレーヤー「A&ultima SP3000」
Astell&Kernやqdcなどのブランドを展開するアユートブースの目玉は、新しいフラッグシップハイレゾプレーヤー「A&ultima SP3000」と、米国のカスタムイヤホンメーカー・Empire Earsとの初コラボレーション高級イヤホン「Odyssey」。それ以外にも参考展示の新製品の姿がありました。
qdc「Tiger」
qdc「Dmagic Solo」
qdcからは、7月の「ポタ研」でも参考出展していたフラッグシップ級ユニバーサルイヤホン「Tiger」のほか、ダイナミックドライバー1基搭載の「Dmagic Solo」(想定売価:3万円前後)や、有線イヤホンを完全ワイヤレスイヤホンのようにするaptX対応Bluetoothレシーバー「qdc TWX」(想定売価:2万円前後)が参考出展されていました。
「qdc TWX」
qdc TWXに別売イヤホンをつけてケースに収納したところ
AZLAからは、東京ゲームショウ2022で披露された有線イヤホン「ASE-500」を参考展示。「AZLA史上最高の寝ホン」を謳い、ドライバーとケーブルを除くすべてにシリコンを使ったデザインが特徴です。
AZLA「ASE-500」
ドライバーとケーブルを除くすべてにシリコン素材を使っていて柔らかい触り心地だ
●ポータブルプレーヤーやDACアンプにも注目の新機種
iBasso「DX320」限定モデル、SHANLING新デスクトップオーディオ
DX320 EditionX
外装にリキッドメタルを使用
SHANLINGやiBasso Audioといったオーディオブランドの製品を取り扱うMUSINのブースでは、外装にリキッドメタルを使った全世界500台限定のiBasso Audio特別モデル「DX320 EditionX」が登場。
本体下部にヘッドホン端子などを備えたアンプカードを搭載
ブースではアンプカードの交換も可能になっていた
DX320 EditionXの背面。こちらは通常のDX320とそれほど違いはなさそうだ
DX320 EditionXは、Android OS採用オーディオプレーヤー「DX100」の発売10周年を記念し、ポータブルオーディオプレーヤー「DX320」(直販21万9,780円)をベースに仕上げたとのこと。既存のDX320よりも重厚ながら、なめらかな手触りが印象的でした。
SHANLING「EM7」
AndroidベースのOSを搭載し、音楽ストリーミングサービスが利用できるデスクトップオーディオシステム「EM7」も展示されていました。
タッチ操作対応のフルHDディスプレイを装備
EM7の背面
上面に最大60度まで起こせるタッチ操作対応のフルHDディスプレイを備えた姿は、どこかカーオーディオ一体型ナビーションシステムのようにも見えますが、れっきとしたオーディオ製品。ハイレゾ音源再生が行え、前面に各種ヘッドホン端子、背面にはEthernetやUSBと同軸/光デジタル、XLRやRCAといったアナログ端子も備えています。
iBasso Audio「DC03 PRO」
ほかにもiBasso Audioからは、スマートフォンと組み合わせて使える、USB Type-C接続タイプのポータブルDACアンプ「DC03 PRO」を参考出展。従来のDC03とはデザインがかなり変わって薄くなり、側面には音量調整用の物理ボタンも備えていました。
USB Type-Cショートケーブルでスマートフォンなどと接続可能
SOUND WARRIORから、真空管+D級ハイブリッドアンプなどが登場
SOUND WARRIOR「SWL-T01(仮)」
城下工業(SOUND WARRIOR)のブースでは、今秋〜来年初頭の発売を目指している、2つの参考出品を見かけました。
ひとつは、2023年1〜3月頃の発売を予定している、真空管+D級ハイブリッドアンプ「SWL-T01(仮)」。デスクトップなどに置けるコンパクトサイズで、価格は4〜4.5万円のイメージで考えているそうです。
SWL-T01(仮)の背面
プリ段に真空管の12AU7、パワー段にD級アンプを採用したハイブリッドアンプ。前面にはヘッドホン出力として6.3mm標準ステレオと3.5mmステレオミニの2系統がありますが、発売時にはどちらかひとつに絞る事も考えているようです。
背面にはUSBや光デジタル、アナログRCAといった入力端子に加えてスピーカーターミナルも搭載し、スピーカー出力は15W×2chという仕様になっていました。
SOUND WARRIOR「SWD-UA1(仮)」
もうひとつは、USB DAC内蔵のプリメインアンプ「SWD-UA1(仮)」。こちらは2022年11月発売予定で、価格は5万円台後半ぐらいから6万円弱をイメージしているとのこと。
PCやスマホ、CDプレーヤー、テレビと接続してスピーカーで鳴らして使うことを想定した製品で、再生できる音源はPCM 384kHz、DSD 11.2MHzまで対応しています(どちらも発売時には、上記の仕様が変わっている可能性があります)。
SWD-UA1(仮)の背面
SWD-UA1(仮)に付属予定のリモコン
●定番から変わり種まで、新イヤホンをブースごとに紹介
オーディオテクニカ
オーディオテクニカは、自社設計の新ドライバーを搭載した最上位完全ワイヤレスイヤホン「ATH-TWX9」(9月3日発売/直販33,000円)を大々的にアピール
ADV.
ADV.ブランドのスリーピングイヤフォンを完全ワイヤレス化した「Sleeper TWS」(一般販売予定価格:9,900円)。Makuakeでクラウドファンディング実施中で、20%オフの7,920円プランなどを用意している
Campfire Audio
Campfire Audioの新作イヤホン「Trifecta」。神々しい輝きを放つ什器が印象的だった。世界限定333台(日本では50台)を販売予定で、国内予想価格は42万9,000円前後
イヤホン本体はクリアボディで、テトラポッドのような不思議な形状をしている。内部には3つのフルレンジドライバーを配置しているのが見える
FAudio
FAudioから発売中の、4ドライバー搭載ハイブリッドイヤホン「Mezzo」(29万5,800円)の姿もあった
iBasso Audio
iBasso Audioの新作イヤホン「IT05」
深い青のフェイスプレートと、オレンジのイヤーピースの対比が目を惹く
Shure
Shure(完実電気)のブースには、9月30日発売の「SE846(第2世代)」(12万9,800円前後)の実機が置かれていた
カラーは従来のクリアのほか、グラファイトシルバー(左)とジェイドグリーン(右)を加えた3色展開となる
「SE215 Special Edition」の新色パープル。こちらも9月30日発売予定で、実売13,860円前後の見込み
Acoustune
Acoustuneのブースには、7月のポタ研で展示していた2つの試作機が製品版に近いかたちで登場。これは音楽制作向けのモニターイヤホン「RS THREE」(想定売価:2万円以下)で、ミリンクスドライバーの技術を活かしたステージモニターイヤホン「Monitor RS ONE」のバリエーションモデルとなる
こちらは、音響チャンバーを交換できるAcoustuneの有線イヤホン「HS2000MX SHO-笙-」向けの交換式音響チャンバーとして、近日発売予定の「ACT03」(想定売価:10万円以下)。会場では量産版が試聴可能だった。チャンバーハウジングは真鍮製だが、一部にウッドパーツを採用して木の響きも楽しめるようにしている
AVIOT
ピエール中野氏が監修する“有線ピヤホン”シリーズ第3弾「Hi-Unit 001-pnk」。4月に開始したクラウドファンディングで33,000円で購入でき(執筆時点では終了)、現在は支援者に向けて順次製品を発送中とのこと
イベント「ノムケンLab! アカデミー in HPFES」
「ノムケンLab! アカデミー in HPFES」会場では、トークイベント内で紹介する楽曲を、実際のポータブルオーディオ製品で試聴できるブースを設け、トークとリンクした試聴展示を実施。また、野村ケンジ氏とユーザーが一緒になって音にこだわったモノづくりに挑戦するコミュニティ「#オトモノ」の試作機の展示もあった