11年ぶり復活“闇夜のトロッコ列車”上がる悲鳴 京都の納涼鉄道ツアーが最後まで怖い
京都・嵯峨野観光鉄道のトロッコ列車などを舞台にしたミステリーイベント「京都亀岡ミステリーイベント」が開催されました。「振り返ってはいけない」と題されたイベント、案の定、怪異がおきました。
折しも日没直後、誰そ彼時(たそがれどき)の出発
嵯峨野観光鉄道のトロッコ列車などを舞台にしたツアー型ミステリーイベント「京都・亀岡ミステリーイベント 振り返ってはいけない」が2022年9月2・3日、10日の3日間開催。9月10日(土)18時42分スタートの回に参加しました。
日没を迎えて出発する嵯峨野観光トロッコ(鶴原早恵子撮影)。
集合時間は日没直後の18時20分。まだうっすら明るさが残るものの、東の空からどんどん暗闇が広がっていきます。出発地であるトロッコ嵯峨駅に参加者が集まり、順番にトロッコ列車へ乗り込みました。普段は日中に運行される嵯峨野観光トロッコ。夜闇に包まれていく車内、レトロな内装に「もうこの時点で怖い」という声が参加者から上がります。
参加者の年代は、親子連れから大人の友人グループまでさまざまです。おひとり様参加らしき人もちらほらありました。「予想外の早さでチケットが売り切れた」(嵯峨野観光鉄道)という言葉も納得の賑わいです。
出発前に、この列車はノンストップでトロッコ亀岡駅に向かうことと、「決して振り返ってはいけない」という車内放送で説明されました。念を押すように「絶対に、振り返らないでください」と繰り返すアナウンスに、一堂はどよめきます。
「ノンストップ車」のはずが……!?
18時42分、定刻通り列車はトロッコ嵯峨駅を出発しました。列車は嵐山の市街地から、暗い暗い山中へと向かいます。
しかし、数分も経たないうちに車内の明かりが消灯。目の前は暗闇に包まれ、なんだなんだ、と思っているうちに、ノンストップのはずの列車のスピードが落ちてきて、ガッタン、と停車。そこは停まるはずのないトロッコ嵐山駅でした。
日没を迎えて出発する嵯峨野観光トロッコ(鶴原早恵子撮影)。
ホームを覗くと、白いワンピースを着た女性が何人も、うつむき加減でたたずんでいます。参加者の中から悲鳴が上がりました。やがて客車のドアが開き、女性たちはゆっくりと車内に……!
「どういうことですか!? なぜ停まるのですか!? なぜドアを開けるのですか!?」ノイズ混じりの車内放送が響き、参加者から小さな悲鳴が上がる中、客車のドアは閉まり、謎の女性たちを乗せたまま、トロッコ列車は再び走り出しました。
近寄ってくる白いワンピースの女性たち
走行中も、白いワンピースの女性たちは車内をゆっくり歩き回ったり、参加者の近くに座ったり。その様子に車内では時折悲鳴が上がります。
窓から入ってくる風は一段と冷たく感じられて、ずっと背筋がゾクゾク。窓ガラスがない、吹きさらしの5号車「ザ・リッチ号」に至っては、心細さも倍増です。
暗い車内ではいつも以上に列車の走行音が大きく聞こえるような気もして、不穏な雰囲気に包まれます。非常灯などのかすかな光で、女性たちの白いワンピースがほのかに浮かび上がって、怖いことといったらありません。
トロッコ亀岡駅が近づいて、駅とその向こうに見える市街地の明かりが見えたときの安堵感は当分忘れられないでしょう。気づけば、暑さではない理由で喉がからからに渇いていました。
トロッコ亀岡駅到着後はバスに分乗し、20分ほど走って山中の宿泊施設へ移動。真っ暗な車中で、施設の広間でそれぞれ怪談を楽しみました。ようやく一夜も終わりかと思った矢先、クライマックスには、また、例の白いワンピースの女性たちが登場……!
全年齢対象のイベントとはいえ、最後まで不気味さ、怖さは十二分。残暑を吹き飛ばす涼しさが感じられたイベントでした。嵯峨野観光鉄道によると、トロッコ列車を利用したミステリーイベントは11年ぶり。前回の「怪奇トロッコ列車 京都保津川2時間サスペンス」が「鉄旅オブザイヤー」に輝くなど好評を博したことから、再びの開催となったそうです。