「エンジンを切った車のハザードランプやカーラジオを点けっぱなしにしていると、バッテリーが上がってしまう」という注意はよく聞かれます。

しかし、街中ではハザードランプを点けたまま、ドライバーが車を離れているケースも見かけます。こうした車はバッテリー上がりの心配はないのでしょうか?

そもそも、ハザードランプを付けたままの状態で車を離れた場合、どれくらいでバッテリーが上がってしまうものなのでしょうか。

ハザードランプ点けっぱなし、どれくらいでバッテリーが上がる?

エンジンを切った車のハザードランプやフォグランプを付けたままにしておくと、どのくらいの時間が経過するとバッテリーが上がってしまうのか、スズキの自動車整備士に、バッテリー容量とハザードランプについて話を聞きました。

「例えば、2019年式のスイフトスポーツのバッテリーは「5時間率容量=36Ah」というバッテリー容量になっています。

これは、簡単に言えば7.2Aの電力を5時間(7.2A × 5時間=36Ah)くらい取り出せるという容量を表しています。

ハザードランプの消費電力は、普通車の場合でおおよそ4Aから8Aほどと言われています。

つまり、バッテリーを100%充電した状態では、ハザードランプを4時間付けっぱなし(8A × 4時間=32Ah)にしておくと、バッテリーはほぼ空の状態になってしまうという計算ができます。

バッテリーの充電能力は使っていくほど落ちていくので、実際には3時間も経たずにバッテリーが上がってしまう可能性が高いでしょう」

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現実的に考えると、荷物の積み下ろしや配送車が短時間だけハザードランプを点けっぱなしにする程度では、バッテリー上がりが起きるとは考えにくいことがわかりました。

しかし、ショッピングモールなどにお買い物に行った際、駐車場で車を停めるときにハザードランプを点け、そのまま消し忘れてしまった場合などは、車に戻ってきたらバッテリーが上がっていることは充分考えられるでしょう。

また、バッテリーの古さや状態によっては、もっと早い時間でも上がってしまう可能性があります。

ライト類の消し忘れではどれくらいでバッテリーが上がる?

近年の車には、エンジン始動と同時に明るさに関係なくヘッドライトが点灯し、エンジンを停止すると消灯する「オートライト」が採用されていることが増えてきました。そのため、ヘッドライトの消し忘れは以前よりは少なくなってきたかもしれません。

しかし、ハザードランプや車内のルームランプなどはエンジンを停止しても自動で消えることはないので、車を降りる際に消し忘れてしまうと数時間でバッテリーが上がってしまいます。

前述のスイフトスポーツを例に考えてみましょう。

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例えば、ヘッドライト(ハロゲン)を消し忘れた場合、ヘッドライトの消費電力は約9Aなので、4時間(9A × 4時間=36Ah)ほどでバッテリー上がりを起こしてしまいます。

カーラジオやスモールランプの消費電力は4Aくらいなので、9時間(4A × 9時間=36Ah)でバッテリーが上がる計算です。

ルームランプの消費電力は1.2Aほどなので、約30時間(1.2A × 30時間=36Ah)でバッテリー容量が空になってしまう計算になります。

消し忘れによるバッテリー上がりまでの時間を、以下にまとめてみました。(スイフトスポーツの場合。バッテリーが100%充電されていると仮定した目安値)

ハザードランプの消し忘れ:3~4時間 ヘッドライト(ハロゲン)の消し忘れ:4時間 カーラジオやスモールランプの消し忘れ:9時間 ルームランプ:30時間

しかし、筆者の経験上、ルームランプは一晩消し忘れただけで、バッテリーが上がってしまった印象があります。

つまり、バッテリーは常に100%充電されている状態ではなく、ライト類の消し忘れは数時間で、かなりの早さでバッテリー上がりを起こしてしまうことになります。良好な状態にあるバッテリーであっても、70%くらいしか充電されていないと考えた方がよさそうです。

バッテリー上がりは、最も発生しやすい車トラブルのひとつ。自宅駐車場に停めるときはもちろん、外出時に車を数時間停める場合でも、ライト類の消し忘れには気をつけましょう。