MADOKAWAの角川歴彦会長(写真・ZUMA Press/アフロ)

 9月6日、東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件で、出版大手「KADOKAWA」の役員ら2人が贈賄容疑で逮捕された。KADOKAWAは、9月6日のリリースで、「厳粛に受け止めており、引き続き、当局の捜査に全面的に協力してまいります」などとコメントしている。

 KADOKAWAは、東京五輪・パラリンピックで便宜を図ってもらうため、大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者(受託収賄罪で再逮捕)の知人が経営する会社に、約7000万円を提供していた疑いが持たれていた。

 だが、5日に報道陣の取材に応じたKADOKAWA会長の角川歴彦氏は、これを否定していた。賄賂を渡したという認識について「まったくありません! 自分たちの精神を汚してまでも、仕事しろなんて言いません」と断言している。

「角川会長は、支払われたのはスポーツ事業全般のコンサルタント料だったと説明。『高橋容疑者には渡っていないと思う』と語り、『僕は社員を信じますよ』と表明していましたが、翌日には同社の元専務らが逮捕される事態に。一転して謝罪リリースを出す展開に追い込まれました」(社会部記者)

 6日に出されたリリースでは、「関係者の皆様に多大なご心配とご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます」ともつづられた。だが、小説家・漫画原作者などで活躍する大塚英志氏は、9月7日、自身のTwitterでこのことを厳しく指弾した。

《出版社であればお詫びする相手は「関係者」でなくまず本を買ってくれる「読者」なのだろうが、今のカドカワには投資家や製作委員会や提携企業などの「関係者」の方を向いていてそこがすっぽり抜け落ちているのだろうなあ。と、こういうところに見えてしまう。》

 ネット上では、こうした姿勢を含め、KADOKAWAへ失望する声が後をたたない。

《ほんとこれ。昔からお家騒動とかトラブルの絶えない版元だけど、持ち株会作ったりドワンゴとくっついてから出版社としての矜持が無くなった気がする。》

《KADOKAWAが、汚職に関与していたのはとても残念です。たくさんの面白い漫画や小説があるだけあって、泥を塗られた気がします。》

《KADOKAWAも地に堕ちたな。》

 読者に夢を与えるコンテンツを数多く作ってきた同社だけに、ファンの失望も大きい。