食品主要105社 「値上げ」を行った割合

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8カ月間で年内2万品目の値上げ判明 値上げ企業は昨年の4倍に急増

 「値上げラッシュ」が続く。上場する主要飲食料品メーカー105社における、2022年以降の価格改定計画(値上げ、実施済み含む)を調査した結果、8月末までに累計2万56品目の値上げが判明した。初めて1万品目の値上げが判明した5月末時点から3カ月間で新たに1万品目の値上げ計画が明らかになり、通算8カ月間で年内累計2万品目を超えた。このうち、9月単月の値上げは2424品目に上り、今年初めてとなる2カ月連続・2000品目超の値上げとなった。

 なお、年内で最も値上げ品目が多いのは10月で6500品目を超え、これまで年内最多だった8月の2.5倍と記録的な値上げとなる。各品目の価格改定率(各品目での最大値)は平均で14%に達し、原材料高や急激に進んだ円安を反映した夏〜秋以降の大幅な価格引き上げが、全体の値上げ率上昇につながっている。

 また、食品105社のうち、今年値上げを行う企業の割合は8割に当たる82社となり、昨年の21社から約4倍と急増した。昨年の値上げは、主に食用油価格の高騰を理由としたもので、値上げした企業・食品ともに少なく、影響は限定的だった。しかし、今年は食用油や小麦などの食材高に加え、原油高に伴う包装資材や容器、物流費の高騰、急激な円安が重なり、ほとんどの食品・飲料で値上げが行われている点が特徴となっている。

「加工食品」で値上げ1万品目に迫る チーズなど乳製品も値上げが相次ぐ

 食品分野別に値上げとなった品目をみると、最も多いのは加工食品で8530品目が判明した。前月から700品目超増加し、全品目のうち唯一8000品目を超え、1万品目に迫る。値上げ率も平均で16%に達し、年後半にかけて大幅に値上がりする食品が多い。調味料では4651品目となり、年内に砂糖や食用油が複数回値上げされたことを背景に、だし製品のほか焼肉のたれ、マヨネーズ製品など幅広い品目で値上げが顕著だった。

 酒類・飲料(3814品目)は新たな値上げはほぼ見られなかったものの、10月にビール類や清涼飲料水で一斉値上げが予定されており、値上げ品目数は全分野で3番目に多い。また、乳製品(700品目)では原料乳の値上がりなどで輸入チーズの値上がりが続き、秋口にかけてプロセスチーズなどの品目で値上げが目立つ。

小麦価格据え置きで「値上げの年末」は回避見込むも、断続的な値上げは来年も続く可能性

 国内でも多くのモノ・サービスで値上がりが続くなか、食品各社でも価格改定への抵抗感は低下しており、機動的に値上げ・再値上げを行う企業・品目が多い。原材料価格高騰と円安、原油高と「三段構え」のコスト増で、長年価格を据え置いてきた食品なども価格改定を余儀なくされるケースもみられ、春・夏を上回る記録的な値上げ「第三波」を形成する要因となった。

 一方で、11月以降の値上げは年内2番目の少なさで、値上げの波は秋口をピークに一旦収まる気配をみせている。一時は10月に2割以上の値上がりも想定された小麦価格を、政府が現在の水準に据え置く方針を固めたことで、小麦価格高騰が反映された春先の「値上げラッシュ」再来は年明けまで回避できるとみられる。ただ、電気代や燃料費、人件費に加え、食用油など一部の原材料では足元で高止まりが続いており、断続的な値上げが今後も続く可能性は残されている。