横浜市南部で、圏央道の一部をなす「横浜環状南線」の工事が進められています。閑静な住宅街に、昔から確保されていた「道路がつくられそうな空間」、しかし横浜環状南線はその地下に作られています。地上の空間はどうなるのでしょうか。

閑静な住宅街の地下に「圏央道」…地上にも謎の空間が

 横浜市内で圏央道の一部をなす「横浜環状南線」の工事が進んでいます。横浜横須賀道路の釜利谷JCTから西へ、国道1号に接続する戸塚ICへ至る約8.9kmの高速道路。途中の栄JCTで藤沢の新湘南バイパスへ通じる「横浜湘南道路」に接続し、この2路線で圏央道を構成します(※本稿で未開通のIC・JCTは全て仮称)。


横浜環状南線「桂台トンネル」工事の巨大な防音ハウス。桂台の東側の崖地にある(乗りものニュース編集部撮影)。

 横浜環状南線は、いくつもの山や谷をトンネルと高架橋で貫きます。そのうちのひとつ、桂台トンネル(1412m)は、栄区の戸建てが立ち並ぶ閑静な住宅街「桂台」の地下を東西に横断します。ただ、この桂台トンネルのルート上には、ずっと以前から、家屋が建てずに開けてあるかのような空間が存在します。

 上下線の側道の中央部に、高架道路でも通すかのような空間は、現在、白いバリケードで覆われています。ただ、地下で掘っている横浜環状南線のトンネルは片側3車線分が2本並行する形なので、この空間では狭すぎるでしょう。

 年代順に航空写真を確認すると、全くの山だった桂台が住宅地として造成された1970年代から、この空間が存在しました。横浜市道路局の横浜環状道路調整課に聞いたところ、確かに昔から道路の計画があったそう。

 これは、横浜環状南線と一体で整備される地上道路「上郷公田線」の用地だといいます。

 上郷公田線は、栄区の主要道路である環状4号線の神戸橋交差点から桂町交差点までの約3.2km。環状4号線の南側を回り込むようなバイパスの役割を果たすとともに、桂台の西側にできる横浜環状南線 公田ICのアクセス道路になるそうです。

 ただ、横浜環状南線は2025年度の開通が予定されていましたが、桂台トンネルにおけるシールドマシンの故障による1年弱の掘進停止などもあり、2022年8月に開通予定が白紙に戻されました。

 桂台の東側に位置する桂台トンネルの発進立坑には、環境に配慮した巨大な「防音ハウス」と呼ばれる構造物が建てられ、そのなかで作業が行われています。桂台周辺の上郷公田線の工事は、その防音ハウスが撤去されたあと、本格化するそうです。