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●米国で半導体生産支援の法が成立

 米国のバイデン大統領は9日、米国内での半導体生産を支援する「CHIPS and Science Act」(CHIPS法)に署名し、同法が成立した。半導体製造業界に対する約520億ドル(約7兆円)の政府補助金や、投資促進のための税額控除なども盛り込まれている。

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 米国を再び半導体生産国として復活させることでサプライチェーンの混乱を解消するとともに、すでに半導体の国産化を進める中国に対抗するという狙いもある。

 半導体不足の解消が課題となる中、この半導体法案が米国内のみならず、世界的な半導体不足の救世主になることができるのか?

●続く半導体不足

 コロナショックがあった2020年の秋以降から半導体不足は続いている。

 当初は自動車の向けの半導体生産が調整されたが、その後スマホやゲーム機などの売り上げが急上昇した“巣ごもり特需”も半導体不足に拍車をかけた。

 コロナ禍でのサプライチェーンの混乱が収まる気配もない中、追い打ちをかけるように2月にはロシアによるウクライナ侵攻が始まった。

 ネオンやパラジウムなどの原材料をロシアやウクライナに依存しており、今後もさらに大きな影響がでることも懸念されている。

●半導体不足解消となるのか?

 8月3日にペロシ米下院議長が台湾を訪問した際、CHIPS法案が両国地域の経済強化に大きな役割を果たすと述べている。

 すでにアリゾナ州で工場建設を進めている台湾半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)にとっても、追い風になるとの期待もある。

 現在の半導体生産は、アジアが約70%で、米国は約12%にとどまると言われている。半導体不足は、自動車製造にも大きく影響し、2021年は約700万台以上自動車の生産が減少した。

 その分雇用の喪失も懸念され、国内での半導体製造は、雇用の面では川上の半導体も川下の自動車製造も助けることにも繋がる。

 今回の法案は、黒字の半導体企業だけを助け、赤字の企業には恩恵がないと揶揄する声もある。法案成立よりも、製造能力上昇のスピートの方が重要となりそうだ。