止まらぬ物価高騰 企業も家計も悲鳴 レスキュー暮らしを守る
新型コロナウイルスの感染拡大やロシアのウクライナ侵攻によるエネルギーや食料品の価格高騰でさまざまな業界が窮状を訴えています。
栃木県議会の臨時会議で3日に可決された追加の補正予算で今回、初めて支援が決まった運送事業者と私立の幼児施設について現在の状況や課題を聞きました。
サンコー 阿部光記社長:「私たち物流業界として燃料がなくては走れない生業ですので去年からずっと燃料の高騰に対しては悩み続けています」
日光市に本社を置く物流会社のサンコーです。大型のトラックなど43台を抱え、県内はもとより県外への長距離輸送も行っています。1カ月に1台あたり、およそ4000キロを走行、燃料費の高騰はそのまま経営を直撃します。
サンコー. 阿部光記社長:「去年と比較しても金額にすると約60万円ぐらいが燃料費で上がってしまっているので、その部分が毎月赤字となって今期続いているような状態にあります」
トラックの燃料に使われる軽油について資源エネルギー庁のまとめによりますと栃木県の小売り価格は今年度当初は1リットルあたり151.1円、去年の同じ時期と比べると22.6円上がっています。さらに、その前の年との比較では38円も上がっていて、およそ1.3倍上昇しています。
燃料の高騰をどのように乗り切るか。その対策は。
サンコー 阿部光記社長:「運賃というものをすぐにお客様に燃料が上がったからといったことで交渉は出来るんですけども、すぐに頂くこととか、転嫁していくことがかなり難しい部分もありますので」
中小企業庁がまとめた業種別のコスト上昇分に対する価格転嫁状況によりますと「トラック運送」は、27業種の中で最下位になっていて、価格転嫁の難しさが浮き彫りになっています。
一方、自社でできる対策は。
サンコー 阿部 光記社長:「より一層のエコ運転であったりアイドリングのストップとかそういった部分、努力させていっているつもりなんですが今こういった暑い日とかになってくると「エンジン停めるな」とドライバーさんに熱中症の問題も出てきてしまうのでそういった部分では努力はさまざまなところではしているんですけどもう少し壁にぶちあたっているようなところに来ています」
コストを抑えるためにあらゆる取り組みを行っても限界があります。
そうしたなか運送事業者団体の栃木県トラック協会が県に物価高騰への対応を要望し3日、支援に向けた追加の補正予算が県議会の臨時会議で可決されました。支援額はトラック1台あたり2万円です。
サンコー 阿部 光記社長:「感謝しかないです。コロナ禍からこのウクライナ情勢というようなこの怒濤の2年間において今まで運送業は補助が公にあったわけではなかったので今回こちらに目を傾けてくれたことは本当に感謝しています」
しかし、去年からの燃料価格の上昇分に対しておよそ1カ月分でしかありません。
サンコー 阿部光記社長:「実際のところ走っても採算が取れない状態も今来ているような状態ですので休便せざるおえない物流を止めなきゃいけない危機感は感じています。この高止まりがどのようになっていくのかによってぜひとも継続的な補てんをして頂けたらと思います。こういった助成金を頂きながら燃料の補塡をして燃料に対してエコ運転等でまかなって乗りこえていきたいなと思っています」
栃木市の認定こども園おおみや幼児教育センターです。心身の発育・発達に大切な幼児期に欠かせない食育。しかし、食材費の高騰による給食費の値上げ問題に直面しています。
おおみや幼児教育センター 船田弘和園長:「栄養士が食材の選定、メニューの見直しというようなところも含めて考えておりますけれども子どもたちの栄養に害がないようにというようなことで、まず価格上昇分については園の運営費の中でなんとか吸収できないかという努力をしてなるべく保護者の方々に影響が少ないような方向で実施をしている状況です」
こちらの給食は外部委託と園内調理が7:3の比率になっています。外部委託については去年、新型コロナの感染拡大による休園などの影響で給食の需要がなくなり一時取引を休止、その後、園側から委託先に給食の質を下げないよう1食あたり10円の値上げを申し入れました。
おおみや幼児教育センター 船田弘和園長:「値上げすることで給食の質はまさに安全と安心という形で子どもたちに提供できるであろうと願いを込めてというようなところです。 ただ来年についてはその上昇分ではなかなか吸収しきれないということで現在1食あたり20円の値上げを交渉されているというようなところ。一部には3割値上げをしたいという業者さんもいるという話を聞いている。何が正解かなかなか分からないですけどともに精査しながら進めていきたいと考えているところです」
そうしたなか、栃木市では今年度、給食費について1人あたり1カ月500円を助成、県も3日、私立の幼児施設に対して助成することを決めました。
おおみや幼児教育センター 船田弘和園長:「大変感謝しているところだが食材費の高騰だけでなく調理に関する燃料費や電気代であったりカバーすると500円で足りるのか今後精査しなくてはならないが保護者負担にならないように行政側に今年度の補助金が単年度化しないように働きかけをしているところです」
船田園長は生産農家から流通、そして園児が口に入れるまでの一連の流れが「食育」だと話し、食材を適正な価格で購入するために行政側の支援が大切だと訴えます。