【REPORT】Stray Kids、3時間半駆け抜けたワールドツアー最終公演!彼らが魅せる唯一無二の世界観
今年3月にリリースした最新ミニアルバム『ODDINARY』が、ビルボード200で1位を獲得し、ついに世界のトップへと躍り出たStray Kids が、2度目のワールドツアー「Stray Kids 2nd World Tour “MANIAC”」を開催。4月のソウル公演を皮切りに、6月には日本の神戸と東京で4公演を行い、その後アメリカでの公演を終えた彼らは、再び東京に戻り7月26日(火)、27日(水)の2日間公演を行った。Kstyleでは「Stray Kids 2nd World Tour “MANIAC” in JAPAN」の最終日、東京・国立代々木競技場第一体育館で開催された7月27日のライブの模様をレポートする。
オープニングVCRが終ると、メインステージ上空に巨大な輪が現れ、輪の中から投下された円柱形のLEDの中からメンバーが登場。ホワイトにゴールドの装飾をほどこした衣装をまとい、左手で顔を覆う決めポーズをとると、もちろん曲は「MANIAC」!! クセが強く中毒になる独特のパフォーマンスにのっけから、まさに“ネジが抜けたみたいに狂う”観客たち。途中、彼らは手を振りながら花道へ歩み出し、センターステージに移動した。
続いては、蜘蛛の巣と毒をコンセプトにした楽曲「VENOM」。深紅のライトの中でまるで8匹の蜘蛛がうごめくようにパフォーマンスが始まると、メインステージには巨大な蜘蛛のセットが登場し、客席に向かって足を振り下ろしてゆく。Stray Kidsの毒におかされた観客たちは、続いてバンチャンとヒョンジンのユニット曲を8人バージョンにアレンジした「Red Lights」でさらに深みにハマってゆく。上空から繋がれた長い縄と首輪で拘束された8人は、もがく仕草と苦悶の表情を見せながら妖艶なパフォーマンスを見せたかと思うと、ラストでは力強く首輪を外し、唯一無二の世界観の連続にため息がもれた。
この日、日本ではライブビューイング、世界中ではBeyond LIVE配信が行われているということで、バンチャンが英語で視聴者に挨拶すると、メンバーから「英語がうまいね〜」と冷やかされ、「一生懸命に勉強しています」と苦笑。さらにバンチャンは「Red Lights」のパフォーマンスがヒョンジンのアイディアだったことを明かし、メンバーたちから「天才! 天才!!」と盛り立てられたヒョンジンは照れ笑い。
オープニングトークを終えると、覇気と自信あふれるメッセージを強烈なヒップホップサウンドに乗せた「Easy」から、日本オリジナル曲「ALL IN」へ。銃を打つようなパフォーマンスや“STOPの検索結果がありません”のパワーワードにテンションはあがりっぱなし。一糸乱れぬキレキレの群舞を堪能した2曲の後は、デビュー曲の「District 9」へ。軽快なイントロから重低音サウンドへの移行やチャンビンの高速ラップに息をのみ、バンチャンの全てひっくり返す”のキラーパートでは火柱があがって一層熱気に包まれた。
メンバーたちが不思議な体験をする中に謎の蜘蛛が現れるVCRを挟んで、ブラック系の衣装に着替えた彼らは「Back Door」で再登場。メンバーが作ったドアをくぐり抜けるパフォーマンスを生で見て大興奮の観客たち。一瞬曲が途切れる間合いで「ただいま〜」「ワクワク」とお茶目なコールをするバンチャンにも盛り上がった。続いては『ODDINARY』の収録曲の「Charmer」と「Lonely St.」を連続で披露。「Charmer」ではハンがせりあがって登場すると、続々とメンバーが合流。最後は全員が階段状になったステージの上で軽快なステップを踏んだ。センターステージに移動しての「Lonely St.」では、全員がスタンドマイクで360度外向きに立ち、観客とコミュニケーションをとりながらの熱唱。雰囲気が一転して次は「Side Effects」へ。フレーズ毎に展開やジャンルが目まぐるしく変わるサイケトランスの楽曲に合わせて、しなやかな動きから手足や頭を激しく振り回す力強いダンスへと移り変わる緩急入り混じったパフォーマンスが圧巻だった。
ここでステージを振り返るトークへ。バンチャンが「ソリクンは“音の達人”という意味なのですが、その意味にピッタリな本物のソリクンたちが登場しました」とバンドを紹介すると、ハンも「バンド皆さんと一緒にできて最高です」と笑顔。アイエンは「僕は『俺様の名前はなんだ?』のところが本当に好きです。チャンビンさんがアイディアを出しましたが、とてもかわいいです」と絶賛するとチャンビンは「ありがとう」とご機嫌。スンミンは「セットが本当にすごいですよね。チャンビンさんがスーツケースに入れてアメリカから運んできました」と言うと、しゃがんでキャリアケースに変身。「そうなんですよ〜」と言いながらチャンビンがスンミンに手を伸ばすと、メンバーたちは「ワンちゃんだ」とはやしたて「キャリアですよ〜」と否定するスンミンに爆笑。
フィリックスの「いい感じに盛り上がってきたので、ここからはもっと暴れてみましょうか?」というコメントから「CHEESE」へ。メンバーがメインとセンターステージに分かれてたっぷりとファンと交流し、“Yeah yeah yeah yeah”の歌詞のところで観客も一緒にジャンプ。続いて「YAYAYA + ROCK」と続き、バンチャンとフィリックスが左右に手を揺らすと、ペンライトも揺れる。チャンビンが片手で側転をしたり、リノとアイエンが一緒に体を揺らすなど、メンバーたちの自由な姿に萌えがさく裂した。
準備を終えたバンチャン、リノ、スンミン、アイエンは花をモチーフにしたパステルカラーの衣装で登場し、白い花が添えられたスタンドマイクで「Waiting For Us」を披露。甘い歌声で魅了すると、途中からはセンターステージに移動して、ファンとアイコンタクトをした。
次はバンチャン、リノ、スンミン、アイエンが即興コーナーでつなぐ時間。まずはスンミンが「最近、J-POPに関心があって、STAYが聞きたがっている曲を準備しました」とOfficial髭男dismの「Pretender」で透明感のあふれるボーカルを披露。歌い終えると「バンドでこの曲を歌ってみたかったのでうれしかったです。実はこの曲を歌うために喉の調子を整えるのが大変だったんです」と秘話を述べた。続いては「日本に来たらこの曲はハズせないですよね」とリノとアイエンがサングラスをかけてJ.Y. Park の「Honey」をノリノリで披露。するとラッパーチームもセンターステージに現れて、一緒にファンキーなダンスを。
一旦はけた後、メインステージに再登場したチャンビン、ヒョンジン、ハン、フィリックスはまったくカラーが違う4人のラップが存分に堪能できる「Muddy Water」を披露。リノとアイエンが使ったサングラスをフィリックスとチャンビンが引き継いで使っていたのもファンにはツボで、楽しいステージとなった。
いよいよライブはラストのパートへ。つらかった練習生時代を経て、これからエレベーターのように駆け上がっていこうという覚悟が込められた「Hellevator」は、彼らがその夢を実現させた今聞くと感動もひとしお。前半は横並びに一列に並ぶパフォーマンスにアレンジされ、火柱が上がるとヒョンジンのラップから円形にフォーメーションを変えてゆく。続いてはアニメ「神之塔 -Tower Of God-」のオープニング曲「TOP -Japanese ver. -」で、生バンドのロックサウンドが迫力満点。途中からV字型にステージがせりあがり、その姿はまるでそびえたつ塔の上に君臨したヒーローたちのようだった。続いては自信に満ちあふれた勝利宣言ソング「Victory Song」へ。地獄からTOPに君臨し、勝利宣言までの彼らのストーリーを盛り込んだセットリストには、本気で天下をとりにきているStray Kidsの意気込みが感じられて胸が熱くなる。
メンバーがラストのステージを準備する間にも、メンバーとファンが交流できる企画が。「スキズ(Stray Kidsの略称)の花が咲きました」のかけ声でメンバーの写真が映し出されたら、スクリーンに抜かれた観客は同じポーズをするミッションや、「ダンスWE GO CRAZY」と題してスクリーンに抜かれたファンがStray Kidsの曲を一緒に踊るミッションなどで楽しませた。
黒と白のツアーTシャツとタオルマフラーを首にかけて登場すると、花道を行進しながら“家族よりも家族”という意味を込めたタイトルの日本オリジナル曲「FAM」へ。メンバーがリレー形式で他のメンバーを紹介する楽曲で、特徴をとらえた歌詞がとにかく楽しい。紹介されるメンバーの周りに集まって肩を組んだり手を繋いだりと、仲良しぶりが伝わり、この時間が永遠に続いてほしいと思ってしまう。次はライブには欠かせない「MIROH」でスパート。「Stray Kids, woo!」のパートで一斉にジャンプをしたりするなど、会場はサマーパーティーと化した。
改めて、メンバーが順番に感想を。
リノ「また日本に戻ってきてたくさんのSTAYに会えて感無量です。久しぶりにSTAYに会ったからか興奮してしまって日本語でたくさんしゃべりましたね。日本語は難しいけれど勉強は楽しいです。昨日覚えた新しい言葉は“あだ名”です。『僕のあだ名は何ですか』とか『バンチャンさんのあだ名は部長です』など、早速使っています。STAYも新しい言葉を僕にたくさん教えてください。もっと努力してまた会いに来ますので、その時まで待っていてくださいね。これからもよろしくお願いします。まだ僕が食べていないプリンたち。待っていてね。僕が食べに行くよ」
ハン「真夏の暑い時間に僕たちを見に来てくださって本当にありがとうございます。ちゃんと日焼け止め塗っていますか? STAYが日焼けしたら、ハンの心も焼けちゃいます。それくらい僕にはSTAYが大切な存在です。僕がいつまでもSTAYの笑顔と肌を守ってあげたいです。STAYは僕にとって忘れたくない人です。忘れちゃダメな人です。その笑顔を守るためにもっと頑張るからSTAYはなにもしなくていいよ。僕のことを信じて。本当に本当に大好きです」
アイエン「本当に時間が過ぎるのが早いと思います。今日の公演が最後の挨拶なんて信じられないです。今日が最終日なんて、ほんとうに一瞬だったなって気がします。皆さんの前で公演をするのが夢だったので、それが叶ったからもっと早く感じるのかもしれません。でも、この一瞬一瞬の思い出を僕の記憶に鮮明に残しています。これからも僕なりにSTAYのことを考えて頑張ります。皆さんから愛される末っ子アイエンになりたいです。皆さんの心の中に大切な人として記憶されたいです。Stray Kidsのみんなもです。そんな意味でももっと努力します。皆さんにもっとスキズを好きになってもらえるように頑張ります」
フィリックス「フィリックスです。皆さんは僕がどこにいても応援してくれました。僕も皆さんと過ごした夏がいい思い出として残っています。この会場にいるすべてのSTAY、1人1人との時間を忘れないために僕の胸に刻みました。STAYも僕との時間を大切にしてくれたらうれしいです。僕たち2人の愛のメモリーをもっと大きくしていきましょう。どこにいても僕たちの心と心はつながっているよ。次もまた皆さんに会えることを楽しみにしています」
バンチャン「皆さんの末っ子、いや部長。いやリーダーのバンチャンです。STAYの皆さんが海みたいで、パフォーマンスをしながらSTAYの皆さんの目を見るとめちゃきれいだと思いました。何日か前に風邪をひいたことを話しましたが、皆さんに心配をたくさんかけてすみません。たくさん心配してくれて、愛を送ってくれてありがとうございます。皆さんも体に気を付けてください。夏はアイスが美味いけど、冷たいものを食べ過ぎないでね。実は僕はアイスを食べてきました(笑)。僕たちができるのは音楽だけだと思うので、これからもどうかよろしくお願いします。音楽はホンマに素晴らしいですね。今日も夢でチャニの部屋に招待します」
ヒョンジン「素敵な夜ですね。きれいな明かりときれいなSTAY、そしてかっこいい仲間がいる本当に素敵な夜です。今回のワールドツアーでたくさんいい思い出ができました。もっと思い出を記念に残したくてカメラを買いました。形として残したくて買っちゃいました。これからめちゃくちゃ練習をしてカメラマン・ヒョンジンとしても活躍します。たくさん撮ります。皆さんと同じ空間で同じ時間を過ごして幸せでした。ツアーを通じて感じたことですが、皆さんのきれいな目と目を合わせていると僕の人生が1日1日延長されるような感じがしました。1日1日、皆さんのことを胸に秘めて過ごしています。僕は人の運に恵まれているようです。皆さんが僕の人の運になってくれてありがとうございます」
スンミン「最後までSTAYに囲まれた素敵な時間でした。STAYの前だといつまでも幸せな気持ちで歌えます。2ヶ月くらいMANIACツアーをしながらたくさんのSTAYに会いました。会えない間に磨いてきたものがたくさんあってそれをお見せしたかったのですが、このように直接お見せできて、しながらも学び、感じることも多く、2ヶ月間とても成長を感じることができました。メンバー全員がSTAYのことだけを考えて耐えた時間が長かったので、それらをすべて注ぐことができて幸せです。喉の管理をするためにホテルの部屋で枕を口にあてて音を出さないように練習したことが記憶に残っています。まだ未熟ですが、絶えず成長いく姿をお見せしたいです。こんな僕ですが愛してくれますか? 僕は永遠に皆さんのワンちゃんです。離れていてもSTAYを守ります」
チャンビン「ここに来るまで本当に長い時間、我慢しましたよね。本当に楽しかったです。今日の夜が終ったら、またいつ戻ってこられるか怖くなりますが、皆さんと僕たちならいつも会える気がします。今日もチャンビンの歴史に刻む素敵な夜でした。昨日と同じくSTAYと約束します。1.毎日STAYを愛すること。2.毎日かっこよくなること。3.また必ず戻ってくること。トェッキ(豚ウサギ=チャンビンのあだ名)はいつもSTAYの愛がペコペコです」
挨拶を終えると、バンチャンの「Stray Kids everywhere all around the world!! You make Stray Kids STAY!!」の掛け声から、いよいよ本当に最後のステージへ。明るいサウンドの「Star Lost」から、Stray Kidsと共有する空間がSTAYにとっての休憩所になってほしいという願いを込めたポップな曲「Haven」へ。リノがステージを駆け回ったり、チャンビンとアイエンが寝そべったり、フィリックスが高速投げキッスを連投するなど、STAYとの自由な時間を楽しむメンバーたち。最後は盛大に紙吹雪が舞い、会場が桜の花びらで埋め尽くされたような光景が広がった。メインステージに集まったメンバーはバンドメンバーを紹介した後、一列に並んで「ありがとうございます」「気をつけて帰ってね」「バイバイ」「愛してる」「おやすみなさい」と言いながらステージを後にした。
2019年12月3日に開催された「Stray Kids Japan Showcase 2019 “Hi-STAY”」以来、約2年7ヶ月ぶりの日本でのライブ。同じ会場にワールドスターとなって戻って来た彼らは約3時間半もの長丁場を一瞬たりとも手を抜くことなく駆け抜けた。今度日本に戻ってくる時は、間違いなくより高く、より大きな場所に立っていることだろう。
Stray Kidsが魅せる唯一無二の世界観
蜘蛛の巣が描かれたグリーンバックにツアータイトルの“MANIAC”のロゴが浮かぶスクリーン。Bluetooth でコントロールされたペンライトが緑色から赤に変わるとスクリーンも赤く変化し“Stray Kids”の文字が揺らめく。深紅に染まった会場は期待と興奮で一気にヒートアップし、配布されたCLAPPERの大きな音が鳴り響いた。オープニングVCRが終ると、メインステージ上空に巨大な輪が現れ、輪の中から投下された円柱形のLEDの中からメンバーが登場。ホワイトにゴールドの装飾をほどこした衣装をまとい、左手で顔を覆う決めポーズをとると、もちろん曲は「MANIAC」!! クセが強く中毒になる独特のパフォーマンスにのっけから、まさに“ネジが抜けたみたいに狂う”観客たち。途中、彼らは手を振りながら花道へ歩み出し、センターステージに移動した。
続いては、蜘蛛の巣と毒をコンセプトにした楽曲「VENOM」。深紅のライトの中でまるで8匹の蜘蛛がうごめくようにパフォーマンスが始まると、メインステージには巨大な蜘蛛のセットが登場し、客席に向かって足を振り下ろしてゆく。Stray Kidsの毒におかされた観客たちは、続いてバンチャンとヒョンジンのユニット曲を8人バージョンにアレンジした「Red Lights」でさらに深みにハマってゆく。上空から繋がれた長い縄と首輪で拘束された8人は、もがく仕草と苦悶の表情を見せながら妖艶なパフォーマンスを見せたかと思うと、ラストでは力強く首輪を外し、唯一無二の世界観の連続にため息がもれた。
一糸乱れぬ群舞も!緩急入り混じった圧巻のパフォーマンス
曲が終るとバンチャンが「ただいま〜。アメリカ公演を経て1ヶ月ぶりに帰って来ました」と挨拶。自己紹介では「今日もプリンを食べてご機嫌なリノです」「リノさんの喜ぶ顔を見たら僕もご機嫌になりました。ハンです」「顔はまだ幼いけど、STAY(Stray Kidsのファンの名称)を守るイイ男になります。末っ子のアイエンです」「夏の日差しのような熱い男フィリックスです」「昨日からあだ名が部長になりました。スキズの末っ子バンチャンです」「カメラにハマったけど、STAYにはドハマリ中の今日もかっこいいヒョンジンです」「皆さんにいつも甘えたい甘えっ子、ワンちゃんスンミンです。目が合ったらヨシヨシしてください」「今日もちゃんと運動してきました。皆さんの個人トレーナー、チャンビンです」と、それぞれがユニークなコメントで爆笑を誘う。この日、日本ではライブビューイング、世界中ではBeyond LIVE配信が行われているということで、バンチャンが英語で視聴者に挨拶すると、メンバーから「英語がうまいね〜」と冷やかされ、「一生懸命に勉強しています」と苦笑。さらにバンチャンは「Red Lights」のパフォーマンスがヒョンジンのアイディアだったことを明かし、メンバーたちから「天才! 天才!!」と盛り立てられたヒョンジンは照れ笑い。
オープニングトークを終えると、覇気と自信あふれるメッセージを強烈なヒップホップサウンドに乗せた「Easy」から、日本オリジナル曲「ALL IN」へ。銃を打つようなパフォーマンスや“STOPの検索結果がありません”のパワーワードにテンションはあがりっぱなし。一糸乱れぬキレキレの群舞を堪能した2曲の後は、デビュー曲の「District 9」へ。軽快なイントロから重低音サウンドへの移行やチャンビンの高速ラップに息をのみ、バンチャンの全てひっくり返す”のキラーパートでは火柱があがって一層熱気に包まれた。
メンバーたちが不思議な体験をする中に謎の蜘蛛が現れるVCRを挟んで、ブラック系の衣装に着替えた彼らは「Back Door」で再登場。メンバーが作ったドアをくぐり抜けるパフォーマンスを生で見て大興奮の観客たち。一瞬曲が途切れる間合いで「ただいま〜」「ワクワク」とお茶目なコールをするバンチャンにも盛り上がった。続いては『ODDINARY』の収録曲の「Charmer」と「Lonely St.」を連続で披露。「Charmer」ではハンがせりあがって登場すると、続々とメンバーが合流。最後は全員が階段状になったステージの上で軽快なステップを踏んだ。センターステージに移動しての「Lonely St.」では、全員がスタンドマイクで360度外向きに立ち、観客とコミュニケーションをとりながらの熱唱。雰囲気が一転して次は「Side Effects」へ。フレーズ毎に展開やジャンルが目まぐるしく変わるサイケトランスの楽曲に合わせて、しなやかな動きから手足や頭を激しく振り回す力強いダンスへと移り変わる緩急入り混じったパフォーマンスが圧巻だった。
バンドサウンドで壮大さを増した神曲
大きな蜘蛛から解放されて明るい笑顔を浮かべるメンバーたちの姿を映したVCRを挟み、韓服風の羽織をまとったヒョンジンがメインステージに登場。すると生バンドの演奏に合わせて次々とメンバーが合流し、チャンビンが力強いラップを披露した後「俺様の名前は なんだ?」と問いかける。するとメンバーたちは「君の名前が思い出せない」「あの人誰?」「忘れたくない人」「忘れたくなかった人」「忘れちゃダメな人」「忘れてもいい人」「知らない人」とショートコントを交えつつ、最後は「ソ・チャンビン!!」と元気にコールして「Thunderous」がスタート。いつの間にかセンターステージには韓国の伝統的な柄を映し出したLEDが降りてくる。そこでメンバーが踊り出すと、まるで神々が雲の上で踊っているよう。サビでは大きな爆発音とともに赤いテープが宙に舞い上がり幻想的な光景が広がった。そのままノリノリで「DOMINO」へ。バンドサウンドに合わせるダンスが楽しくて仕方ない様子のメンバーたちに観客も自然と身体を揺らす。続いてはスキズを世界的なグループに押し上げた「God's Menu」。バンドサウンドで壮大さを増した神曲に会場は「とんでもないものを目にした」といわんばかりの騒然とした雰囲気に包まれた。ここでステージを振り返るトークへ。バンチャンが「ソリクンは“音の達人”という意味なのですが、その意味にピッタリな本物のソリクンたちが登場しました」とバンドを紹介すると、ハンも「バンド皆さんと一緒にできて最高です」と笑顔。アイエンは「僕は『俺様の名前はなんだ?』のところが本当に好きです。チャンビンさんがアイディアを出しましたが、とてもかわいいです」と絶賛するとチャンビンは「ありがとう」とご機嫌。スンミンは「セットが本当にすごいですよね。チャンビンさんがスーツケースに入れてアメリカから運んできました」と言うと、しゃがんでキャリアケースに変身。「そうなんですよ〜」と言いながらチャンビンがスンミンに手を伸ばすと、メンバーたちは「ワンちゃんだ」とはやしたて「キャリアですよ〜」と否定するスンミンに爆笑。
フィリックスの「いい感じに盛り上がってきたので、ここからはもっと暴れてみましょうか?」というコメントから「CHEESE」へ。メンバーがメインとセンターステージに分かれてたっぷりとファンと交流し、“Yeah yeah yeah yeah”の歌詞のところで観客も一緒にジャンプ。続いて「YAYAYA + ROCK」と続き、バンチャンとフィリックスが左右に手を揺らすと、ペンライトも揺れる。チャンビンが片手で側転をしたり、リノとアイエンが一緒に体を揺らすなど、メンバーたちの自由な姿に萌えがさく裂した。
ユニットステージで髭男やJ.Y. Parkの曲も賑やかに
続いてはユニットステージへ。バンチャン、リノ、スンミン、アイエンの準備の間にチャンビン、ヒョンジン、ハン、フィリックスが即興コーナーで時間をつなぐ。まずはヒョンジンが「僕の好きな曲です」とColde の「WA-R-R」をメロウに歌い上げると、フィリックスは「歌いながら汗が流れた時、セクシーだった」と絶賛。すかさずチャンビンも「声もカッコイイ。顔もかっこいい。身体もカッコイイ。君は僕のもの」と大絶賛。続いてチャンビンもTABLO feat. TAEYANG of BIGBANGの「TOMORROW」を歌い、ハンも合いの手で盛り上げる。すると今度はヒョンジンが「カンペキでした」と絶賛し、チャンビンは「なら僕は君のものだね」と謎にラブラブな2人に大爆笑。準備を終えたバンチャン、リノ、スンミン、アイエンは花をモチーフにしたパステルカラーの衣装で登場し、白い花が添えられたスタンドマイクで「Waiting For Us」を披露。甘い歌声で魅了すると、途中からはセンターステージに移動して、ファンとアイコンタクトをした。
次はバンチャン、リノ、スンミン、アイエンが即興コーナーでつなぐ時間。まずはスンミンが「最近、J-POPに関心があって、STAYが聞きたがっている曲を準備しました」とOfficial髭男dismの「Pretender」で透明感のあふれるボーカルを披露。歌い終えると「バンドでこの曲を歌ってみたかったのでうれしかったです。実はこの曲を歌うために喉の調子を整えるのが大変だったんです」と秘話を述べた。続いては「日本に来たらこの曲はハズせないですよね」とリノとアイエンがサングラスをかけてJ.Y. Park の「Honey」をノリノリで披露。するとラッパーチームもセンターステージに現れて、一緒にファンキーなダンスを。
一旦はけた後、メインステージに再登場したチャンビン、ヒョンジン、ハン、フィリックスはまったくカラーが違う4人のラップが存分に堪能できる「Muddy Water」を披露。リノとアイエンが使ったサングラスをフィリックスとチャンビンが引き継いで使っていたのもファンにはツボで、楽しいステージとなった。
地獄からTOPに君臨!勝利宣言までのストーリー
VCRを挟んで、赤、黒、白のカラフルな衣装で登場すると「CIRCUS」へ。サーカス団員に変身したメンバーたちは、メリーゴーランドのように回転するスクリーンをバッグに躍動感あふれるステージを披露して大いに楽しませた。続いて、彼らの今までの経験を綴った涙なしでは聞けない日本オリジナル曲「Scars」。訴えかけるような日本語の歌詞が痛いほど胸に響いた。歌い終えるとバンチャンは「CIRCUS」が収録されたJAPAN 2nd Mini Album『CIRCUS』がBillboard JAPANで3冠を受賞したことを告げ、改めてファンに感謝の言葉を述べた。続いてリノは「そこで皆さんにプレゼントがあります。それは僕です〜」と一度はおどけるも、「『Your Eyes』を皆さんの前で披露します」とビックプレゼントを発表。アルバム収録曲の「Your Eyes」はこの日が生初披露で、バンド演奏に合わせて歌う姿に感動のあまり泣き出す人も。いよいよライブはラストのパートへ。つらかった練習生時代を経て、これからエレベーターのように駆け上がっていこうという覚悟が込められた「Hellevator」は、彼らがその夢を実現させた今聞くと感動もひとしお。前半は横並びに一列に並ぶパフォーマンスにアレンジされ、火柱が上がるとヒョンジンのラップから円形にフォーメーションを変えてゆく。続いてはアニメ「神之塔 -Tower Of God-」のオープニング曲「TOP -Japanese ver. -」で、生バンドのロックサウンドが迫力満点。途中からV字型にステージがせりあがり、その姿はまるでそびえたつ塔の上に君臨したヒーローたちのようだった。続いては自信に満ちあふれた勝利宣言ソング「Victory Song」へ。地獄からTOPに君臨し、勝利宣言までの彼らのストーリーを盛り込んだセットリストには、本気で天下をとりにきているStray Kidsの意気込みが感じられて胸が熱くなる。
メンバーがラストのステージを準備する間にも、メンバーとファンが交流できる企画が。「スキズ(Stray Kidsの略称)の花が咲きました」のかけ声でメンバーの写真が映し出されたら、スクリーンに抜かれた観客は同じポーズをするミッションや、「ダンスWE GO CRAZY」と題してスクリーンに抜かれたファンがStray Kidsの曲を一緒に踊るミッションなどで楽しませた。
黒と白のツアーTシャツとタオルマフラーを首にかけて登場すると、花道を行進しながら“家族よりも家族”という意味を込めたタイトルの日本オリジナル曲「FAM」へ。メンバーがリレー形式で他のメンバーを紹介する楽曲で、特徴をとらえた歌詞がとにかく楽しい。紹介されるメンバーの周りに集まって肩を組んだり手を繋いだりと、仲良しぶりが伝わり、この時間が永遠に続いてほしいと思ってしまう。次はライブには欠かせない「MIROH」でスパート。「Stray Kids, woo!」のパートで一斉にジャンプをしたりするなど、会場はサマーパーティーと化した。
それぞれが思いを込めたメッセージ「必ずまた戻ってくる」
メインステージに戻ったメンバーたちは、最後に感想を言おうとすると、スクリーンにSTAYから寄せられた映像メッセージが流れ、客席は「おかえり」と書かれたスローガンで埋め尽くされた。その光景を見たメンバーたちは「とてもキレイ」「海みたい」「ピカピカ〜」と感動の声を挙げる。バンチャンは「“おかえり”って単語はいつも聞きたい言葉です。その意味は、いつも戻ってくるってことですから」と笑顔。スンミンは「さっきの映像で、子ども2人が大人になったらStray Kidsになりたいってメッセージを書いてくれていました。そんなふうに小さな子たちにも僕らがいい影響を与えているんだと感じてとても幸せです」とコメントした。改めて、メンバーが順番に感想を。
リノ「また日本に戻ってきてたくさんのSTAYに会えて感無量です。久しぶりにSTAYに会ったからか興奮してしまって日本語でたくさんしゃべりましたね。日本語は難しいけれど勉強は楽しいです。昨日覚えた新しい言葉は“あだ名”です。『僕のあだ名は何ですか』とか『バンチャンさんのあだ名は部長です』など、早速使っています。STAYも新しい言葉を僕にたくさん教えてください。もっと努力してまた会いに来ますので、その時まで待っていてくださいね。これからもよろしくお願いします。まだ僕が食べていないプリンたち。待っていてね。僕が食べに行くよ」
ハン「真夏の暑い時間に僕たちを見に来てくださって本当にありがとうございます。ちゃんと日焼け止め塗っていますか? STAYが日焼けしたら、ハンの心も焼けちゃいます。それくらい僕にはSTAYが大切な存在です。僕がいつまでもSTAYの笑顔と肌を守ってあげたいです。STAYは僕にとって忘れたくない人です。忘れちゃダメな人です。その笑顔を守るためにもっと頑張るからSTAYはなにもしなくていいよ。僕のことを信じて。本当に本当に大好きです」
アイエン「本当に時間が過ぎるのが早いと思います。今日の公演が最後の挨拶なんて信じられないです。今日が最終日なんて、ほんとうに一瞬だったなって気がします。皆さんの前で公演をするのが夢だったので、それが叶ったからもっと早く感じるのかもしれません。でも、この一瞬一瞬の思い出を僕の記憶に鮮明に残しています。これからも僕なりにSTAYのことを考えて頑張ります。皆さんから愛される末っ子アイエンになりたいです。皆さんの心の中に大切な人として記憶されたいです。Stray Kidsのみんなもです。そんな意味でももっと努力します。皆さんにもっとスキズを好きになってもらえるように頑張ります」
フィリックス「フィリックスです。皆さんは僕がどこにいても応援してくれました。僕も皆さんと過ごした夏がいい思い出として残っています。この会場にいるすべてのSTAY、1人1人との時間を忘れないために僕の胸に刻みました。STAYも僕との時間を大切にしてくれたらうれしいです。僕たち2人の愛のメモリーをもっと大きくしていきましょう。どこにいても僕たちの心と心はつながっているよ。次もまた皆さんに会えることを楽しみにしています」
バンチャン「皆さんの末っ子、いや部長。いやリーダーのバンチャンです。STAYの皆さんが海みたいで、パフォーマンスをしながらSTAYの皆さんの目を見るとめちゃきれいだと思いました。何日か前に風邪をひいたことを話しましたが、皆さんに心配をたくさんかけてすみません。たくさん心配してくれて、愛を送ってくれてありがとうございます。皆さんも体に気を付けてください。夏はアイスが美味いけど、冷たいものを食べ過ぎないでね。実は僕はアイスを食べてきました(笑)。僕たちができるのは音楽だけだと思うので、これからもどうかよろしくお願いします。音楽はホンマに素晴らしいですね。今日も夢でチャニの部屋に招待します」
ヒョンジン「素敵な夜ですね。きれいな明かりときれいなSTAY、そしてかっこいい仲間がいる本当に素敵な夜です。今回のワールドツアーでたくさんいい思い出ができました。もっと思い出を記念に残したくてカメラを買いました。形として残したくて買っちゃいました。これからめちゃくちゃ練習をしてカメラマン・ヒョンジンとしても活躍します。たくさん撮ります。皆さんと同じ空間で同じ時間を過ごして幸せでした。ツアーを通じて感じたことですが、皆さんのきれいな目と目を合わせていると僕の人生が1日1日延長されるような感じがしました。1日1日、皆さんのことを胸に秘めて過ごしています。僕は人の運に恵まれているようです。皆さんが僕の人の運になってくれてありがとうございます」
スンミン「最後までSTAYに囲まれた素敵な時間でした。STAYの前だといつまでも幸せな気持ちで歌えます。2ヶ月くらいMANIACツアーをしながらたくさんのSTAYに会いました。会えない間に磨いてきたものがたくさんあってそれをお見せしたかったのですが、このように直接お見せできて、しながらも学び、感じることも多く、2ヶ月間とても成長を感じることができました。メンバー全員がSTAYのことだけを考えて耐えた時間が長かったので、それらをすべて注ぐことができて幸せです。喉の管理をするためにホテルの部屋で枕を口にあてて音を出さないように練習したことが記憶に残っています。まだ未熟ですが、絶えず成長いく姿をお見せしたいです。こんな僕ですが愛してくれますか? 僕は永遠に皆さんのワンちゃんです。離れていてもSTAYを守ります」
チャンビン「ここに来るまで本当に長い時間、我慢しましたよね。本当に楽しかったです。今日の夜が終ったら、またいつ戻ってこられるか怖くなりますが、皆さんと僕たちならいつも会える気がします。今日もチャンビンの歴史に刻む素敵な夜でした。昨日と同じくSTAYと約束します。1.毎日STAYを愛すること。2.毎日かっこよくなること。3.また必ず戻ってくること。トェッキ(豚ウサギ=チャンビンのあだ名)はいつもSTAYの愛がペコペコです」
挨拶を終えると、バンチャンの「Stray Kids everywhere all around the world!! You make Stray Kids STAY!!」の掛け声から、いよいよ本当に最後のステージへ。明るいサウンドの「Star Lost」から、Stray Kidsと共有する空間がSTAYにとっての休憩所になってほしいという願いを込めたポップな曲「Haven」へ。リノがステージを駆け回ったり、チャンビンとアイエンが寝そべったり、フィリックスが高速投げキッスを連投するなど、STAYとの自由な時間を楽しむメンバーたち。最後は盛大に紙吹雪が舞い、会場が桜の花びらで埋め尽くされたような光景が広がった。メインステージに集まったメンバーはバンドメンバーを紹介した後、一列に並んで「ありがとうございます」「気をつけて帰ってね」「バイバイ」「愛してる」「おやすみなさい」と言いながらステージを後にした。
2019年12月3日に開催された「Stray Kids Japan Showcase 2019 “Hi-STAY”」以来、約2年7ヶ月ぶりの日本でのライブ。同じ会場にワールドスターとなって戻って来た彼らは約3時間半もの長丁場を一瞬たりとも手を抜くことなく駆け抜けた。今度日本に戻ってくる時は、間違いなくより高く、より大きな場所に立っていることだろう。
取材:安部裕子
■公演概要
「Stray Kids 2nd World Tour “MANIAC” in JAPAN」
日時:2022年7月27日(水) 開場17:30 / 開演18:30
会場:国立代々木競技場第一体育館
【セットリスト】
1. MANIAC
2. VENOM
3. Red Lights
4. Easy
5. ALL IN
6. District 9
7. Back Door
8. Charmer
9. Lonely St.
10.Side Effects
11. Thunderous
12, DOMINO
13. God's Menu
14. CHEESE
15. YAYAYA + ROCK
16. Waiting For Us
17. Muddy Water
18. CIRCUS
19. Scars
20. Your Eyes
21. Hellevator
22. TOP -Japanese ver.-
23. Victory Song
24. FAM
25. MIROH
26. Star Lost
27. Haven