ご存じの通り、2014年ブラジルW杯以降は大迫が最前線に陣取り続けているが、頼れるFWは近年、怪我が続いている。今季のJリーグでも出番が限られていて、カタールで躍動できる保証はない。

 森保監督も大迫不在時の解決策を探し続け、最終予選の終盤は浅野拓磨(ボーフム)の1トップシステムを好んで使ったが、やはり浅野はタメを作るタイプではない。それは古橋亨梧や前田大然(ともにセルティック)にしても同様だ。

 上田綺世(サークル・ブルージュ)も182センチで屈強なフィジカルを擁するが、ターゲットマン的な仕事はそれほど得意ではない。となれば、町野の存在価値はひと際高まってくるのだ。

「ポストプレーに関しては、かなり自信を持ってやれましたし、『僕が決めて勝つ』というイメージがかなりできていたので、それも自信になりました」と本人もE-1での短期間で手応えを掴んだ様子。最後尾から前線を見ていたキャプテンの谷口彰悟(川崎)も「この3試合での成長の度合いは凄かった」と驚きを口にしていた。
 
 ゆえに、もっと高いレベルを経験させたいところ。さしあたって9月の欧州遠征だが、E-1での活動を踏まえ、森保監督も「連れていきたいと感じた選手はいた」と語っていることから、町野や相馬、藤田らは有力候補になる。そこでW杯出場国のアメリカ、エクアドルと互角以上に渡り合えるのであれば、本当にカタール行きの道が開けてくるかもしれない。

 もちろん大迫の状態にもよるが、カタール後を視野に入れても町野のような大型FWは長期的目線で辛抱強く育てたほうがいい。大迫は2013年の初キャップ時が23歳。代表で不動の地位を築くまでに数年かかったが、22歳の町野はスタートが早い分、成長曲線も大きくなるかもしれない。今回のE-1を弾みにして、スケールの大きなストライカーへと飛躍してくれることを切に願う。

取材・文●元川悦子(フリーライター)

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