エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

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ソトに巨額オファーを蹴られ、放出考えるようになったナショナルズを見習え?

 エンゼルスに、大谷翔平投手のトレードを勧める論調が地元紙から出ている。「ロサンゼルス・タイムズ」は16日(日本時間17日)の記事で、「ナショナルズのフアン・ソトの青写真を追うべき」として、15年総額4億4000万ドル(約608億円)という超巨額のオファーを蹴られ、放出を考えるようになったと報じられるナショナルズの動きを参考にすべきだと主張している。大谷の価値はFAになるまで1年半ある今が最大で、トレードを「選択すべきは今」だというのだ。

 この記事は「エンゼルスはショウヘイ・オオタニについて(ナショナルズと)同じアプローチをとるべきだ」としている。大谷が昨年9月の会見で「勝ちたい」と発言したこと、さらに大谷がリーグMVPに輝いた昨季も、チームは77勝85敗と低迷したことに触れたうえで「今年はマイク・トラウトが打線に戻ってきた上、大谷が驚くべき二刀流の活躍をしているにも関わらず、14連敗中に(ジョー・マドン)監督を解任、アンソニー・レンドンは今季絶望、投手陣も十分ではない」と低迷するチームの現状を指摘している。そして「劇的転換がなければ、今年もエンゼルスはプレーオフを逃すだろう」とも。

 そして「オオタニがFAになる前に、状況を建て直すチャンスがあと1年ある」としている。エンゼルスは大谷をチームに長期間残すためにはいくらかかるのか考え、まずオファーを提示すべきだというのだ。そうしないのなら、来季終了後に大谷を何の見返りもなくFAで放出するのではなく、トレードで放出すべきだとしている。

 なぜかと言えば、大谷の価値は今が最大だと見積もれるからだ。記事は今季年俸550万ドル(約7億6000万円)の大谷を「北米スポーツ界最大のお買い得選手だ」としており、その理由を「オールスター投手でありオールスター打者、熱狂的な日本のファンをベースとした集客力もある」と解説する。そして「彼の価値は、FAまで1年半ある今以上に高くなることはない」と主張する。

大谷がいてもプレーオフ争えない…得られる有望株は「チームの将来のため」

 もし、大谷に不安材料があるとすれば、右肘をはじめとした故障歴とここ2年の並外れた“仕事量”だ。あるメジャー球団幹部は「私たちが今までに見た中で最高の選手だ。問題は、故障歴と彼がFAになる時の年齢だけだ」とコメントしている。

 一方で、エンゼルスの立場に立てば大谷をトレードに出さない理由もはっきりしている。ファンがチケットを買う理由そのものであり、日本からの広告収入も発生する。何より、トップクラスのタレントを抱えるエンゼルスが「来季プレーオフを争わないと誰が言えるだろうか」としている。

 ただ、大谷が入団した2018年以降、エンゼルスはプレーオフ争いをできていないのも事実だ。記事はもし大谷を放出すれば「対価として手に入る有望株は、チームの将来のためにマイナーを強化してくれるだろう」と主張する。

 今回、巨額オファーを拒絶したとされるソトがFAになるのは2024年のオフ。大谷はそれより1年早く来オフFAになれる。このまま契約延長をしないのなら、エンゼルスが大谷を擁して、ワールドチャンピオンを争える機会はあと2回しかない。そして今のエンゼルスは、そこまで届く位置にいない。「今が(大谷トレードの)選択をすべき時だ」と記事は結論付けている。球団の選択は、いかに。(Full-Count編集部)