「値上げラッシュ」続く 7月は1600品目が値上げ 年内累計は2万品目超えの勢い 急激な円安、食卓への影響は秋以降に本格化

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6月末で1.5万品目超の値上げ計画判明、10月は最多の3000品目超 ―「食品主要105社」価格改定動向調査(7月)

 「値上げラッシュ」が今夏以降、本格化する見通しだ。主要メーカー105社における、2022年以降の価格改定計画(値上げ、実施済み含む)を追跡調査した結果、6月末までに累計1万5257品目で値上げが判明した。前回調査時点(6月1日、1万789品目)から約1カ月間でさらに5000品目の値上げ計画が明らかになった。このうち、7月単月での値上げは1588品目が実施されるほか、8月は初めて2000品目を超えた。この結果、7・8月の2カ月だけで4000品目超が値上げされる予定で、「値上げの夏」の様相を呈してきた。ただ、値上げの勢いは秋口以降も止まる気配がみられず、10月も単月としては年内最多となる3000品目超で値上げ計画が明らかになっている。各品目の価格改定率(各品目での最大値)は平均で13%となり、前回調査から変動はないものの、夏〜秋以降の値上げでは、2022年当初に比べて値上げ幅が拡大傾向にある。

 今夏以降の値上げ要因では、原油高に伴う包装資材や容器、物流費の高騰、加えて急激な円安による影響を挙げたケースが多かった。2022年5月頃までは小麦など原材料価格の高騰が値上げの理由だったが、近時は急激な円安や原油高による輸入・物流コストの上昇へと変化している。

加工食品の値上げ率上昇、高値続く水産品関連の値上げ目立つ 10月は飲料で値上げラッシュ

 食品分野別に値上げとなった品目をみると、最も多いのは加工食品で6712品目が判明した。前月から2000品目超増加し、全品目のうち唯一6000品目を超えた。北米でのスケソウダラ漁不振によるすり身価格の上昇などを背景に、白身フライなどの冷凍食品や水産加工品などで値上げが相次いだ。また、値上げ率平均も平均15%に達し、前月からさらに上昇した。食材価格に加え、原油高に伴う物流コスト、急激な円安による輸入コストの上昇分を価格に転嫁する動きが8月以降際立っている。

 酒類・飲料(3585品目)は前月から約1300品目増加したほか、値上げ率も平均15%に達した。ビール類などでは麦芽・トウモロコシなどの価格上昇を、清涼飲料水では主にPETボトルなど包装資材の価格高騰が響き、秋口以降一斉に価格が改定される。調味料(2627品目)でも、だしなど水産品関連の値上げが相次ぎ、前月から約500品目増加した。

急激な円安、食卓への影響は秋以降に本格化 「再値上げ」の動きも今後強まる見通し

 これまで、食料品の価格上昇の主な要因としては小麦・油脂の世界的な価格高騰に加え、原油価格の高騰に伴う物流費や包装資材などの値上がりが中心となってきた。しかし、夏以降はこうした原材料費の上昇に加え、急激に進んだ円安による輸入コストの上昇を主な値上げ理由とするケースが目立ってきた。1ドル130円台を「既定路線」として受け止め、これらの相場を前提とした価格設定を決断していることも、8月以降に値上げペースが加速した要因となっている。

 今後も、急激に進む円安を背景に価格改定を行うケースは増加していくとみられる。特に、今年初めに値上げを行っている企業・品目では、現在の為替水準を前提としていないケースが多く、既に再値上げ・再再値上げといった動きが足元で進んでいる。そのため、値上げは秋口にかけてさらに増加し、年内で累計2万品目を超える可能性が高い。