「鎌倉殿の13人」大姫&源範頼の壮絶な運命に涙…
19日放送の三谷幸喜脚本、小栗旬主演の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(NHK総合ほか)第24回では、視聴者の間でも癒やしの存在として人気の高かった2人の登場人物が悲劇に見舞われ、SNS上ではショック、哀しみの声が続々上がっている(※ネタバレあり。第24回の詳細に触れています)。
本作は、鎌倉時代を舞台に、野心とは無縁だった伊豆の若武者・北条義時(小栗)が鎌倉幕府初代将軍・源頼朝(大泉洋)にすべてを学び、武士の世を盤石にした二代執権に上り詰めていく物語。第24回「変わらぬ人」では、曽我十郎(田邊和也)・五郎(田中俊介)兄弟が頼朝に謀反を起こしたのちの余波が描かれた。頼朝が暗殺されたとのうわさが流れた混乱の最中で比企能員(佐藤二朗)らに焚きつけられ、次なる鎌倉殿の座に就こうとした弟・範頼(迫田孝也)。頼朝はそれを許さず、責任を追及。範頼は起請文を書き、頼朝に身の潔白を証明しようとするが……。そんななか、大姫(南沙良)に縁談が持ち上がるが、亡き許嫁・源義高(市川染五郎)への思いは募り、義高を知るある人物のもとを訪ねる……。
その人物に背中を押され、父母のために後鳥羽天皇への入内という新たな一歩を踏み出す決心をした大姫。しかし、政子と共に上洛した大姫を、丹後局(鈴木京香)は田舎者と見下し残酷な言葉を次々と吐く(圧巻の熱演!)。怯えた大姫は姿を消し、館は大騒ぎに。生きる気力を失った大姫は病に倒れ、日ごとに衰弱。大姫の悲劇がさらなる悲劇を生むことになる。
上総広常(佐藤浩市)、木曽義仲(青木崇高)、源義経(菅田将暉)ら頼朝の思惑に振り回され悲劇的な運命をたどった者は数知れないが、大姫と範頼もまた頼朝の犠牲に。逃げ出した大姫を、三浦義村(山本耕史)は「人は己の幸せのために生きる。当たり前のことです」と生きる道はほかにあると励ますが、大姫がたどり着いたのは「好きに生きるということは好きに死ぬこと」、すなわち義高のもとへ逝くことだった。20歳の若さで生涯を閉じた薄幸な大姫に涙の感想が多く寄せられ、早すぎる死を悼んでいた。
演じる南沙良は、大姫の生涯を「すごく切ない人生をたどった女性ですよね。政治の道具に使われてしまうようなことは私だったらなかなか受け入れがたいつらいことだなって思いますが、当時はどうしようもなかったんでしょうね。だからこそ大姫は心を閉ざしてしまっている部分もありますが、基本的には明るい子なので、そういう多面性を大事に演じたいと思っていました」と公式サイトのインタビューで振り返っている。
そして、義時から比企にそそのかされたのではないかと問われても、「すべてわたしの一存でやったこと」と責任を一身に背負った範頼。頼朝や大江広元(栗原英雄)からの理不尽な追及に、最後には「もう結構でございます」と哀しそうな目で引き下がった。伊豆・修善寺に幽閉されてからも笑顔を絶やさず、農業に精を出す姿が映し出され、頼朝も「血を分けた弟だから(命まではとらない)」と言っていただけに、彼の突然の退場には視聴者もショックが大きかったようで「え…!?」「ひどい」「いい人すぎた」と悲痛の声が相次いだ。範頼と言えば、壇ノ浦の戦いで宝剣が海に沈んだときには戦が終わっても延々と探し続けるなど、まじめで責任感が強い性格が視聴者に親しまれていた。
演じた迫田孝也は範頼の最期について「あっという間に命がなくなるんですけれども範頼を演じた者としては、あの瞬間兄弟が頭の中をずっと巡っていました。善児という実行者の後ろには兄上がいたのかもしれない。兄上は今までも九郎(義経)をそういうふうに倒したきたし、自分もそのうちの一人になるのかなとかちょっと悲しくなりましたね」と放送後に公式Twitterに投稿された音声コメントで語っている。(編集部・石井百合子)