※この記事は2017年03月17日にBLOGOSで公開されたものです

自民党所属の参議院議員・小野田紀美氏のツイートが注目を集めている。同氏によれば、3月16日に開かれた内閣第一部会・青少年推進調査会合同会議において、一部男性議員から漫画などを「犯罪の要因の1つ」として批判する発言があったという。

小野田氏は、以下のツイートのように性犯罪の要因の一部を漫画などの「2次元」コンテンツに求める言説に反論している。

「本気で2次元を愛している人は3次元なんかに手は出しません」

過去には自民党議員間で漫画・アニメ巡る論争も

過去にも、国会では度々漫画やアニメなどに対する性表現規制を巡る論争が起きている。2014年6月には、衆議院法務委員会で児童買春・ポルノ禁止法改正案を巡る議論の中、性表現規制を訴える自民党の土屋正忠議員とそれに反論した自民党の橋本岳議員のやり取りが話題となった。

土屋議員は「チャタレー婦人の恋人」裁判を例に挙げ、
実在しなくても創作物でも、それが社会に与える害毒が多い場合には、取締りの対象になる
と主張。マンガやアニメなども刑法175条の猥褻図画罪の適用対象になるとしたうえで
「コミック」というと、なにやら柔らかく聞こえますけれども、相当露骨な性的虐待を伴う漫画みたいなものも、創作物だからといってその罪を逃れられない。その社会的害悪を逃れる事はできない
と主張している。また、熊本女児殺害事件の犯人が「猥褻な漫画」を所持していたことを指摘し、
気持ち悪くて読む気にもならないような劣悪な表現をやっているものを保護する必要はない
よく自粛するという話がありますけども、こういうのは自粛してもらわなきゃ困るんです。「創作活動が萎縮する」というけれども、豊かなところでどんどん創作活動をやってもらうと同時に、こういうことについては萎縮してもらいたい。
と表現規制の必要性と猥褻・残虐表現の自粛を訴えた(土屋議員の質疑全文)。

一方、橋本岳議員は
決して、さっき土屋先生が挙げられたような事例が繰り返されるべきではない
と述べ、土屋議員の主張する猥褻・残虐表現への懸念に一定の理解を示した。その上で、凶悪犯罪の犯人が児童ポルノに類するマンガを所持していたことを根拠に表現規制を訴える土屋議員に対して
立法者の私なりの矜持の一つとして、やはりきちんと検証されない仮説によって法律、規制をつくるべきではないと私個人としては思っております
と反論を行った。

橋本議員は
児童ポルノ、漫画、アニメ等を規制をすれば、児童に対する権利の侵害が減るのか。これが減るということが立証されれば、それは「規制されるべきだ」という話になるわけですけれども、その因果関係を立証するというのは、実はそんな容易なことではない
仮に相関関係があった。犯罪を犯した人の方が、例えば児童ポルノの漫画をたくさんもっている、ということが立証されたとします。だけれども、今度はこれが因果関係なのか相関関係か。そこの判別がまた一苦労であります
と漫画・アニメにおける表現と犯罪発生の関係性を裏付けることが非常に困難であることを指摘。
私は規制をするのであれば、きちんと社会科学的に裏づけのある、有効な規制をしなければならない。そうではない規制というのは、国会として立法府として、つくるべきではないと思っております
と述べ、社会への悪影響が社会科学的調査で明確になっていない状態では、表現規制をすべきではないと主張した。

ただし、過度の過激な表現に関しては
まったくもう放置したままでいいんだと断言する自信もございません。正直言って。本当に目を覆うようなものもあるということも認識をしておりますし、土屋委員のおっしゃりたかったこともよくわかります。
自主規制という言葉でましたけれども、そうしたこともあるべきかもしれません
と述べ、自主規制の必要性について触れている(橋本議員の質疑全文)。