※この記事は2017年03月03日にBLOGOSで公開されたものです

3月3日、石原元都知事が日本記者クラブで記者会見を行い、延期となっている築地市場の豊洲移転問題について、自らの見解を述べた。冒頭の発言を書き起こしでお伝えする。(※可読性を考慮して文章を一部整えています。)

「座して死を待つつもりは私はございません」

皆さん、本日この機会を与えていただいて、本当にありがとうございました。

私が3月18、19日ですか?百条委員会なるものに呼ばれているようですけれども、とてもそれまで待てない心境なんです。これは、座して死を待つつもりは私はございません。

昨年の9月に、小池知事が豊洲の問題の住民訴訟の判決をひっくり返して、新しい弁護団によって私をもう一回民事訴訟をすることに切り替えられたようですけども。これは論外として、とにかくそれ以来、私の家の前に、小池さんのランニングドッグ(※編集部注「手下」「子分」といった意味)のメディアがですね、集結しまして、プライバシーが侵される。近所迷惑する。警察が時々来て整理をいただくみたいな混乱が続いておりまして、とにかく生活が生活にならない状況がつづいている。

私自身、二年前に軽い脳梗塞をやりまして、奇跡的に早期発見されて一命を取り留めたんですけど、おかげさまで患部が右の上頭部だったおかげで言葉もしゃべれるようになりましたし、ものをかくこともできました。

たまたま私がその後書いた田中角栄さんの「天才」という本が評判になったんですけど。私は田中さんが、脳梗塞に倒れた後、あのロッキード裁判というまったくインチキの冤罪の裁判というものに憤懣やるかたなく、一言もしゃべらずに、なくなる前十数年過ごされた心境というのは、本当に思えば思うほど痛ましい気がしまして。

私自身がそのザマでとても生きる続けるつもりはないし、事をはっきりさせるためにこういう機会を設けさせていただきました。

風評に科学が負けるのは国辱

行政の責任というものは二つ種類があると思います。それは作為に対する責任。それともう一つは不作為に対する責任。「すべきことをしなかった」の責任はあると思います。

私はこのことを後で申し上げますが、小池現知事に問いたいと思います。

私は当時の最高責任者として、審議会なり、専門家による特別委員会であり、議会の調査権をもって、いろんな調査もして、委員会できわどい採決で可決されたわけですけれども。

それを踏まえて、最高責任者として、とにかく「豊洲の移転に裁可を願いたい」ということで、承諾して裁可しました。ハンコを預かっている課長さんが私のハンコを押して、事が決まったわけです。

ともかく、行政の責任というのは当然、裁可した最高責任者にある。これは私は認めます。

しかし、やるべきことをやらずに事を看過し、日々築地で働く人を生殺しにしたままほったらかしにして。しかもランニングコストにべらぼうなお金がかかる。あるいは、築地の方々への補償もべらぼうなお金がかかる。

こういった混迷、迷走というものに対する責任は、今の都知事、小池さんにあると思います。

私は、この問題について発言された米田さんという京都大学の最高権威の学者のお話をじかに聞きました。彼から紹介された中西さんという最高権威の女性、今ある組織の最高権威者でいらっしゃる方の意見も豊洲の現況というのは、まったく危険がないと。何で豊洲に早く移さないのか。

そして、この風評に負けて、豊洲がこのまま放置されるということは、結局科学が風評に負けたことになる。これはまさに国辱だと。世界に日本が恥をかくことになるという忠告もいただきました。

ゆえにも私はですね、小池さんは今、権限をもって私は豊洲に移転をすべきだと思いますし、しないのであれば、私はそれは告発すべきだと。要するに不作為の責任だと思います。

そういうことでですね、それも含めて申し上げたいとこの機会をいただきました。

それから、たまたま私のスタッフが綿密に時系列にそって、どういう時点で、どういう報告があったか。そういうことを調べました。それから記者会見で私は決して、豊洲の移転に全面的に賛成であるという音声の記録も映像も出てきているので、後で皆さんにお目に掛けます。

私の思いというのは、時系列にそって、いろんな時点でのあるべき報告書、あるべき答申。本来それは都庁がもっているわけですから、私個人に知事が追求しなくても、都庁が責任をもって調べれば分かることですし。100条委員会でも、都議会の責任でいろんな調査権があるわけですから、それ調べればわかることもたくさんあると思いますから。そういったこともこの機会に申し上げたいと思っております。