【学費】知っておきたい「奨学金制度」の種類と違い!負担の少ない“資金計画”のヒント

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大学への進学が一般的になってきている昨今、日本全体の平均給与の減少や国立・私立に関わらず学費の値上げなどを背景に、奨学金を利用する学生は「3人に1人」の割合になっています。

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今回は、そんな身近な選択肢になっている「奨学金」の利用を検討する際に、親子で進路や進学費用について話し合い、双方にとって負担が少ない資金計画をたてられるように、活用したい制度や注意点などについて解説します。

まずは進学希望先の学費を確認しよう

大学進学を考える際、まずは子どもの進学希望先が4年間でどのくらい学費がかかるか確認することが大事です。

進学先が国公立大学か私立大学かによって学費は大きく変わりますし、学部によっても異なりますが、一般的に、文系より理系の学部の方が費用は高い傾向にあります。

学費以外にも、自宅から通学する場合は交通費がかかりますし、自宅外通学をする場合は家賃や下宿代などさらに費用がかかります。それらも勘案して大学生活にかかる費用の合計額を試算しましょう。

かかる費用の全体像が確認できたら、逆算して各年にかかる費用を準備する計画をたてることになります。

奨学金制度

すでに貯めている教育資金や、入学までに準備できそうな追加資金などをあわせても、不足が出てしまうこともあるでしょう。

その場合、まずは現在の家計の収支を確認し、不足する教育資金に充てられる貯金を捻出できないか、支出の内容を見直してみるのがおすすめです。

見直しをする箇所も、食費や光熱費などの変動費ではなく、保険料や携帯電話料金など固定費を見直すとスムーズです。

しかし、いくら家計の見直しをしても教育資金が不足してしまうこともあります。そんな時に検討できる制度の1つが「奨学金制度」です。

奨学金にもいろいろな種類があり、日本学生支援機構の奨学金には「借りる」奨学金である貸与奨学金と、返還不要の「給付される」奨学金があります。

そして、貸与奨学金には無利子と有利子のものがあります。

貸与奨学金は、子ども自身が奨学金を借りて卒業後に働きながら返還することになりますので、安易に借りずに金額等をよく考えて申し込むようにしましょう。

給付奨学金

まずは、返さなくてよい給付奨学金を利用可能か検討しましょう。

2020年度から、給付奨学金は対象や金額が大幅に拡充されました。これは、経済的な理由で高校卒業後の進学を諦めることのないようにするためです。

国が、経済的に厳しい住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯の学生に対して、授業料や入学金の減免と給付奨学金を併せて支援します。

制度の詳細については、文部科学省の『高等教育の修学支援新制度』を参照ください。

貸与奨学金

給付奨学金の次に検討したいのが、返還の必要がある日本学生支援機構(JASSO)の貸与奨学金です。

無利子の第一種と有利子の第二種で構成されています。日本で奨学金を利用している大学生の多くは、この第二種の貸与奨学金を借りています。

返還しなければいけない奨学金といっても誰でも申し込めるわけではなく、成績が一定以上ある、もしくは学修意欲が問われます。

また、親の収入等も条件になるので、まずは利用する条件をクリアしているか確認しましょう。

第二種は有利子でも金利はかなり低く、2022年4月の貸与利率は利率固定方式で「0.468%」、利率見直し方式で「0.020%」です。

大学や企業独自の奨学金

もともと大学独自で設ける奨学金制度は多くありますが、日本学生支援機構の「平成元年度 奨学事業に関する実態調査結果」によると、ここ数年は企業が給付奨学金制度を作り独自の条件で給付をする事例が増えました。

例えば、株式会社キーエンスは、2022年度に日本の大学生を応援するために財団で2,000名の大学生に30万円を給付する応援給付金を設け、募集しました。

他にも条件は様々ですが、返還不要な独自の奨学金を設けている大学や地方公共団体や企業等はいろいろあります。

大学・地方公共団体等が行う奨学金制度についてはJASSOのホームページからも検索できるので、ぜひ調べて利用することができると良いですね。

教育ローン

学費を用意するもう一つの手段として「教育ローン」があります。これは、子どもではなく親が借りて返すローンです。

代表的なのは、日本政策金融公庫が行っている国の教育ローンで、近くの金融機関やインターネットで申し込むことができます。

借入の上限等はありますが、2022年4月1日時点で固定金利は1.65%、最長18年の返済が可能です。

また、JASSOの奨学金は入学後にならないと入金されませんが、教育ローンは受験前から借りることが可能なので、入学資金が必要な場合はこちらを利用することになります。

資金計画をたてるには

資金計画をたてるうえで、まずは親子で希望する進路や金額を調べてかかる費用を見積ります。そして、いくら不足するのか分かれば、どの制度を利用して学び続けるのか、条件等をよく確認して決めていきましょう。

受験結果によっては、想定以上のお金がかかる可能性もあります。そのため、かかる費用は多めに見積もっておくと安心ですね。

給付奨学金や授業料の減免が受けられると良いですが、貸与奨学金または教育ローンを利用する場合は、月々いくら返済して、いつまでに総額いくら返すのかまでシミュレーションして慎重に利用してください。

経済的な理由で進学を諦めることがないように、国や大学、企業などのサポートも年々増えてきています。特に給付奨学金制度が拡大傾向なのは良いことですね。

色々な制度を調べて、なるべく返す時に負担が少ない金額や制度を利用して、実りある学生生活と、卒業後の幸せな人生を歩めることを願っています。

【執筆者プロフィール】田端 沙織

キッズ・マネー・ステーション認定講師/ファイナンシャルプランナー

証券・運用会社で10年以上の勤務経験を活かし、ファイナンシャルプランナー 兼 金融教育講師として「正しく・楽しく・分かりやすく」お金のことや資産運用について伝える講座や個別相談業務を関東圏中心に開催しています。得意分野は資産運用。小学生2人と保育園児1人の3児を絶賛子育て中。