【▲ GALAXY CRUISEのトップページ(Credit: 国立天文台)】


国立天文台は4月18日、市民天文学プロジェクト「GALAXY CRUISE(ギャラクシークルーズ)」の第2シーズン「Deep Quest(ディープクエスト)」の開始を発表しました。


GALAXY CRUISEは国立天文台ハワイ観測所の「すばる望遠鏡」が撮影した画像をもとに、「市民天文学者」として参加した一般市民が銀河を分類していくプロジェクト。GALAXY CRUISEのウェブサイトにアクセスできる環境(国立天文台はパソコンやタブレットの使用を推奨)があれば、誰でも参加できます。あなたもGALAXY CRUISEに参加して、天文学に貢献してみませんか?


■日本や海外から1万名近くが参加、新たに特徴が判明した銀河も

【▲ GALAXY CRUISE操作画面の例。中央の十字で囲まれた銀河の形態や衝突の様子を判定していく(Credit: 国立天文台)】


GALAXY CRUISEは、すばる望遠鏡が撮影した銀河について「渦巻銀河か、それとも楕円銀河か」「衝突しているか、していないか」「衝突している場合、形態にどのような特徴が認められるか」を市民がその目で判断し、分類していくプロジェクトです。“銀河を分類する”と聞くと難しそうですが、参加する前に簡単なトレーニングを積むことができます。


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2019年11月に日本発の市民天文学プロジェクトとして始まったGALAXY CRUISEは、2020年2月19日から英語にも対応。国立天文台によると、2022年4月1日の時点で92の国・地域から9742名(このうち日本からは6854名)が参加しています。


【▲ GALAXY CRUISEの分類対象となった銀河の一例。左は掃天観測プロジェクト「SDSS」で撮影された画像、右は「すばる望遠鏡」が撮影。右の画像では渦巻構造がはっきりと見えている(Credit: SDSS(左)、HSC-SSP/NAOJ(右))】


間もなく終了するGALAXY CRUISEの第1シーズン(2019年11月1日〜2022年4月25日)では、約25億光年先にある約2万個の銀河が分類対象となりました。1つの銀河につき50人以上の参加者が分類を行ったことで、統計的な解析を行うのに十分な分類結果を集めることができたといいます。この分類結果を使って科学解析を行った結果、これまで楕円銀河だと思われていた銀河に渦巻構造が見つかったり、衝突していないとされていた銀河から衝突・合体の痕跡が見つかったりしました。


GALAXY CRUISEの「船長」として科学監修に携わる国立天文台ハワイ観測所の田中賢幸准教授は「第1シーズンではたくさんの市民天文学者の方々が、良い精度で銀河を分類してくださいました。その結果、研究者だけでは到底達成できない数の分類を使った解析を行うことができ、“すばるクオリティー”でこれまでの研究をやり直す必要性を発見しました」と語っています。1万名近い市民天文学者の力によって、より正確な銀河の特徴が明らかになったわけです。


【▲ 前掲の画像と同様に、左はSDSS、右はすばる望遠鏡が撮影。左の画像では4つの銀河が並んでいるように見えるのみだが、右の画像では相互作用の痕跡が見えている(Credit: SDSS(左)、HSC-SSP/NAOJ(右))】


今回始まった第2シーズン「Deep Quest」で分類の対象となる銀河の数は、約3万個。これらは第1シーズンと同じ画像に写っている、同じくらいの距離(約25億光年先)にある銀河ですが、第1シーズンで対象となった銀河よりも暗い銀河が選ばれています。


国立天文台によれば、同じ距離にある暗くて小さな銀河の分類結果が加わることで、さらに詳細な科学解析ができるようになるといいます。田中さんは「第2シーズンでも、広大な宇宙の航海を楽しみながら、最先端の銀河研究にご協力ください」とコメントしています。


●GALAXY CRUISE(参加するにはアカウントの登録が必要です)
https://galaxycruise.mtk.nao.ac.jp/


 


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Source


Image Credit: 国立天文台, SDSS, HSC-SSP/NAOJGALAXY CRUISE - トップページGALAXY CRUISE - GALAXY CRUISE 2022 新たなる旅立ち国立天文台 - あなたも天文学者!「GALAXY CRUISE」第2シーズン始動

文/松村武宏