(株)ホープ(TDB企業コード:800790394、資本金27億1660万1932円、福岡県福岡市中央区薬院1-14-5MG薬院ビル、代表時津孝康氏、東証マザーズ、福証Q-Board上場)の 100%子会社である(株)ホープエナジー(TDB企業コード:826056693、資本金1000万円、同所、同代表)は3月25日に東京地裁へ自己破産を申請し、同日破産手続き開始決定を受けた。

 破産管財人は伊藤尚弁護士(東京都中央区八重洲2-8-7、阿部・井窪・片山法律事務所、電話03-3273-8179)。

 (株)ホープエナジーは、2020年(令和2年)10月に設立。当初は電力小売事業を手がけ、全国の自治体や公共施設など約5000施設に電力を供給していた (株)ホープに対しAI技術を用いて卸電力価格を予測し、適正な価格で需要家への電力供給を可能とする支援業務を手がけていた。2021年12月には(株)ホープの持株会社体制への移行に伴い、電力小売事業を承継して以降は主業を同事業にシフトしていた。

 しかしその間、2020年12月中旬から2021年1月下旬まで続いた電力取引価格の高騰によって、電力供給量の不足が発生した場合に、電力会社が補給する不足分のペナルティ(不足インバランス料金)が2021年1月分で約65億円発生。電力小売事業の移行前である2021年6月期のエネルギー事業売上高は約326億6300万円を計上していたが、約69億2400万円の最終赤字となり、債務超過に転落していた。不足インバランス料金を補うべく、経産省が認可した分割払いの特例措置を申請するほか、第三者割当増資や行使価額修正条項付新株予約権、私募債の発行などで資金調達をしていたが、2021年10月以降に電力取引価格が再び高騰などで苦戦を強いられていた。同年12月には1度目のインバランス料金の支払いを完了したものの、2度目の電力取引価格の高騰もあって資金繰りがひっ迫していた。その後、金融機関の借入金返済に遅延が生じていたなか、2022年3月中旬に支払うべき託送料金が未払いとなり、取引のあるすべての一般送配電事業者との託送供給契約が、3月22日までをもって解除され、事業継続が困難となり、同日に開催された取締役会において、破産手続き開始の申し立てを行うことが決議されていた。

 負債は約300億円。

 九州・沖縄地区で負債総額300億円以上の倒産は(株)福岡センチュリーゴルフ倶楽部(TDB企業コード:800371628、朝倉市、2011年6月民事再生、負債約349億7200万円)以来、10年9カ月ぶりに発生。新電力会社でみると(株) F-Power(TDB企業コード:960152377、東京都港区、2021年3月会社更生法、負債約464億円)に次ぐ大型倒産となった。

 なお、(株)ホープと広告事業を手がける(株)ジチタイアド、ジチタイワークス事業を手がける(株)ジチタイワークスは通常通り営業を続けている。