ロシアに進出している主要企業 ロシアビジネスの状況(3月15日時点)

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製品の出荷停止など「取引停止」が最多

 2022年2月時点でロシアへの進出が判明した国内上場企業168社のうち、3月15日までにロシア事業の停止や制限などを発表・公開した企業は約2割にあたる37社が判明した。このうち、完成車や建設重機メーカーなど「製造業」(28社)がほとんどだった。

 事業の停止や中断となった内訳では、製品の出荷などを含む「取引停止」が22社で最も多かった。次いで現地工場の稼働停止など「生産停止」(7社)、店舗などの「営業停止」(4社)などが続いた。ロシアへの経済制裁で物流停滞や部品調達難が発生し、現地生産や商品の配送などサプライチェーン面の混乱をロシア事業の停止・中断理由に挙げた企業が多かった。なお、ロシア現地事業の完全撤退はなかった。

 なお、対象となった上場168社のうち、現地での販売拠点や駐在員事務所など「オフィス / 店舗・販売拠点」が約7割を占めるほか、「工場・製造(生産)拠点」が約2割を占める。ロシア進出の日本企業全347社と比べると、ロシア国内に生産拠点を有する企業の割合が高かった。

日本企業の「ロシア離れ」、今後も広がる見込み

 ロシアがウクライナ侵攻を開始して以降、ロシア国内に拠点を置く日本企業では、現地工場の操業停止や同国への製品輸出を見合わせるなどの動きが加速している。国際的な対ロ批判の高まりのほか、日米欧の金融制裁でロシア国内のビジネス環境が急速に悪化していることなどが背景にある。ただ、米アップルや北欧家具大手のIKEAなど、ロシアによる軍事侵攻など人道的な理由から早い段階で営業停止に踏み切った欧米企業に比べ、日本企業も追随はしたものの事業の一時停止や出荷停止などにとどまるなど、対応には「温度差もみられる」といった指摘もある。

 今後は、ロシアが撤退する外国企業の資産国有化を打ち出すなどビジネスリスクの高まりに加え、投資家や消費者がロシアビジネスに厳しい目を向けるなど、企業ブランド・イメージの観点からも事業の停止・撤退の見極めが難しくなる。ただ、現状の劇的な改善が見込めない限り、新規の対ロ投資なども含め、ロシアビジネスを一時的に停止する企業は今後さらに増える可能性がある。