メルセデス・ベンツGクラス 中古相場が絶賛「高騰中」のワケ 新車価格超えも?
新車より中古のほうが高い?
「2020年に購入した『G 350d』は購入時に諸経費込みで1300万円弱だった。今なら下取りで1500〜1600万円いくと思う」
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先日、あるタレントが自身のユーチューブ・チャンネルでそう語り、ちょっとした話題となった。
メルセデス・ベンツG 350d
Gクラスの中古車が新車より高いなんて本当なのか?
気になって調べてみたら、たしかに事実だった。今、Gクラスの中古車は高いのだ。
中古車検索サイトで新しいGクラスの相場を探ってみると、新車登録から1年以内のG 350dでは新車価格(1251万円)に450万プラスというのが一般的な相場感。もっとも安いプライスタグの個体が1700万円を掲げている。
同様に新車価格1289万円の「G 400d」は、最安が1898万円、新車価格2218万円の「メルセデスAMG G63」は2668万円からとどのグレードも新車価格を大幅にうわまわっていることが確認できた。
たしかに、その中古車価格には新車時の車両本体価格には含まれないオプション装備品が含まれている個体もあるだろう。
とはいえ、「クルマは登録して新車ではなくなった瞬間に価値が落ちる」なんていう常識はGクラスに関しては通用しないようである。
いくら1年未満で程度極上&低走行とはいえ、中古車が新車価格を大幅に超えるとは一般的ではない。
果たして、そこにはどんな背景があるのだろうか。
ランクルよりも納期が長い?
「Gクラスの中古車相場はたしかに高くなりました。その背景にあるのは、新車が手に入りにくいことです」
メルセデス・ベンツを得意とする中古車店のスタッフはそう説明する。
メルセデス・ベンツG 350d
キーワードは「新車が手に入らない」ということ。そこに大きな意味があると考えてよさそうだ。
背景を紐解くにはまず、昨今の新車販売を取り巻く環境を理解する必要がある。
半導体不足、そして新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウンなどの影響でいま、自動車の生産は世界的に制約を受けている。
だから納期が長くなる傾向にあり、国産車ではトヨタ「ランドクルーザー」が公式ウェブサイトで「納期は4年程度」を告知するなどこれまでの常識では考えられなかった状況になっているのだ。
一般的な車両でも「半年待ち」はザラである。
同様にGクラスも需要と供給のバランスが大きく乱れており、現時点で5年待ちという情報も。
そんな新車の品薄が中古車価格冒頭を引き起こしたことは間違いないだろう。
Gクラスの日本公式サイトを見ると、車両の概要こそ読めるがグレード構成や価格、そしてスペックといった詳細は見ることができない。
さらに「在庫僅少につきご購入いただけない場合がございます」とも書いてあり、入手が難しいことを示している。
インターネット上では長期の納期待ちどころか「Gクラスがオーダーできない」という情報もあるが、果たして実際のところはどうなのだろう。
新車が手に入らないワケ
「新車のGクラスがオーダーできない」といううわさについてメルセデス・ベンツ日本の広報に確認してみた。
「現在Gクラスは納期が未定のため新規のご注文は受けていません」(メルセデス・ベンツ日本の広報部)
相場の高騰が目立つホンダS660
本当だった。
広報部によると、そもそもGクラスはほかのモデルに比べて手作業で生産している工程が多く、生産には限りがあって多くのバックオーダーを抱えていた。
「そこへ半導体不足とコロナ禍の影響、さらには需要増を受けたことで現在の状況につながった」という。
いつからGクラスのオーダーを再開するかは不明だが、明らかなのは一朝一夕で状況が変わるような背景ではないということだ。
それは、高騰している中古車価格が沈静化するのには時間がかかることも意味している。
ところで、生産中の車両にもかかわらず程度のいい中古車が新車価格以上の高値で取引されている例として思い浮かぶのはホンダ「S660」である。
こちらも生産終了が決まっていて新規で新車をオーダーすることはできないことが理由だ。
またランボルギーニ「ウルス」も、現時点で中古車検索する限り新車価格を下回る中古車が存在しない。
これも新車供給数が少ないことで需要と供給のバランスが崩れているからに他ならないだろう。
ちなみに、Gクラスの新車が手に入れるチャンスが絶対にないかといえばそうではなく、確率は少ないがキャンセルとなった車両が入手できることもあるようだ。