弁護士・柳原桑子先生が堅実女子の悩みに答える連載。今回の相談者は、明日香さん(仮名・33歳・電子機器メーカー勤務)です。

悩みは婚姻中の夫のストーカー行為について。

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ガールズバーの女性に運命の恋を…

8年前に結婚した夫(36歳)がいます。でも、彼は結婚6年目のときに「運命の恋に落ちた」と、ガールズバーの従業員の女性と同棲を始めました。彼女はお金がない専門学校生で、実家との関係も悪かったようです。夫はかわいそうな境遇にいる女性を好きなりがちなんですよね。

そのときは本当に悲しくて、体重も10キロ落ちるくらい悩みました。でも「時くすり」というか、半年もしないうちに吹っ切れ、離婚について話し合うことにしたのです。

しかし、彼は名家の出身で「離婚は悪」という考え方の持ち主。私さえ問題がないなら、両親が死ぬまで別居状態にしてくれないかと言われました…。私も結婚していれば、社会的なステイタスもあるし、スマホの家族割など家族向けのサービスもそのまま使えます。名義の書き換えもとっても面倒だし、そもそも恋愛自体にもはや興味がないので、そのまま婚姻関係を続けることにしました。夫の彼女も結婚を望んでおらず、夫も仕事上は既婚者である方が有利なので、そうしました。私も1DKのマンションに引っ越して、心機一転一人暮らしの生活を始めました。

夫は昔っぽい価値観をもつ人で「男としての責任は果たす」と言い、婚姻生活の維持費として、毎月3万円振り込んでくれていました。

自由な1人暮らしは最高で、何もないまま1年半くらい経過。するとそのころから別居中の夫が復縁…というか、同居を迫るようになったのです。

「彼女が家を出て行ったから、また一緒に住んでくれないか」と言われました。もちろん断ったのですが、何度も言ってくるようになりました。そのうち「毎月金を払っているだろう」と怒り出し、その後は会社や家の前で待ち伏せするようになりました。

婚姻関係にあると訴訟がおこせないと聞いたことがあります。どのように対処すればいいのでしょうか。

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ストーカー規制法の対象になる

別居中の夫でも、恋愛感情その他の好意の感情、またはそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、その者やその家族等に対して、待ち伏せ等を行っているのであれば、ストーカー規制法による規制の対象となりえます。

危機感を覚えるようであれば、訴訟を考える前に、まずは現住所のエリアを管轄する警察署に相談ください。

あなたが「援助を受けたい」と申し出ることにより、自衛策の教示など必要な援助を受けることができます。

また、被害申告者の意向を受け、警察から、口頭または書面で行為を止めるよう警告を行うことができます。

警告しても改善されない場合には、各都道府県の公安委員会から、規制している行為を行わないよう書面で禁止命令が発せられることもできます。

まずは、警察に申し出ることが大切。もしものことがないように、対策しつつ、最善策を見つけていきましょう。

禁止命令に違反して、なお規制している行為を行った場合には、懲役や罰金等の罰則が科せられます。

もはや誰とも一緒に住みたくないと思ったそう。

■プロフィール

法律の賢人 柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士。

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/