XFN-ASIAによると、米信用格付け大手S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)は、中国携帯電話最大手の中国移動(チャイナモバイル)によるルクセンブルグのミリコム・インターナショナル・セルラーの買収計画が直前で頓挫したことについて、中国移動にとって痛手とならず、今後も同社が海外企業の買収に積極的に取り組むとの見方を示した。

S&Pのアナリストであるソン・シャオミン氏は、「中国移動は最大の利益を求めて買収の機会を探している。失敗したとしても、(別の機会を)探し続けるだろう」と指摘。ミリコム買収が失敗に終わったことが中国移動の方針に悪影響を与えないとの見方を示した。

ミリコムは身売り先候補について明らかにしていなかったものの、中国移動と交渉を行っていたと報じられていた。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、詰めの協議で中国移動側が価格設定に難色を示したことから、交渉が決裂したとしている。

S&Pで法人・インフラ格付け部門(中国圏担当)を統括するジョン・ベイリー氏は、カンファレンス・コール(電話による記者会見)で、中国移動のバランスシートは非常に健全で、将来的な海外企業買収に伴う運営リスクを十分に埋め合わせることができると述べた。

潤沢な資金と政府の支援を受けながらも、中国家電大手ハイアール(海爾)による米家電メーカー大手メイタグの買収や中国石油大手CNOOC(中国海洋石油)による米石油大手のユノカルの買収が失敗に終わるなど、中国企業による海外企業の買収は難航している。【了】