濃厚さが桁違いな“生いくら”に悶絶!一度は訪れたい川口の名店
高級店からカジュアルな新業態まで、今都内には鮨の注目店が目白押し。
そんな中、埼玉の川口にはそれらに人気で決して引けをとらない名店が存在するという。
決してアクセスがいいとは言えない場所に食通たちがわざわざ足を運ぶのは、その店でしか得られない鮨体験が待っているから。
今回は名実ともに埼玉を代表する、鮨店の全容をお届けしよう!
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※コロナ禍の状況につき、来店の際には店舗へお問い合わせください。
広々とした店内にカウンターだけを設け、ゆったりとした時間を約束
立地の不利をものともせず、全国からの客でカウンターは連日満席!
旨い鮨を食べたという充足感に満たされる、握りのみで構成されたパワフルなコースが、この店の人気の理由だ。
川口の住宅街に暖簾を掲げる『鮨 猪股』は、本気の鮨好きたちから熱烈な支持を集めている。
大将・猪股健史さんは長いキャリアの中で全国各地の漁港を巡り、「もっと美味しい魚を」求めてきた。
良い魚を仕入れてもなお、さらに美味しくするにはどうすべきか、常に探求している。
開店から7年を経て、今ではすごみさえ感じさせる握りの数々を見ていこう!
「小柱」
鮮度にこだわって食感の妙を生み出す、特大小柱!
兵庫・明石で獲れた小柱は大粒であることにまず驚くが、爽やかな潮の香りも実に印象的。
「貝類は鮮度がとにかく大事。産地ではなく、今朝豊洲の仲卸のところで加工しているから食感が全然違います」。
そう猪股さんが語るように、サクッと歯切れが良くみずみずしい食感が楽しい!
「ウニ」
粒立った上質なうにはドンと豪快に握る!
この日は釧路・昆布森産のエゾバフンうに。
一つひとつの房がしっかりしているから、従来の軍艦ではなくそのまま握って提供する。
クリーミーな味わいと甘みの交差には、思わずうっとり!
季節によりムラサキうになどもそろえ、食べ比べできることも。
「カツオのヅケ」
カツオは秘伝のタレに合わせてポテンシャルを引き出す!
カツオにはオープン時から継ぎ足し、「最近はまろやかになってきた」漬けダレを使用。
赤酢のシャリが鉄分に富んだカツオと見事に調和し、口中で旨みが炸裂!
シャリとの間にネギ生姜を忍ばせているのもポイントだ。
「いくら」
ここの「いくら」は、一度食べたら絶対にまた来たくなる!
いくらは新鮮な筋子から仕込む“生”で、これを目当てに訪れる客も多いというスペシャリテ。
うにと同様、大胆に握られるそれを口にすれば、「いくらは卵」という当たり前の事実に気付かされる。
弾けるのではなく卵黄のようにとろける食感に驚き、後から濃厚な旨みがあふれるのだ!
※この時期のいくらは予約時に入荷があるか要確認
個性が突き抜けた絶品握りはまだまだ続く!
「イワシクジラ」
脂のりのいいクジラは“赤身肉”のような旨み!
クジラは脂がしっかりのった高級部位である尾の身を握りに。
「寝かせずフレッシュな状態で握るから、この味が出せる」とは猪股さん。
噛むほどに出てくる力強い旨みはまるで牛肉のようであり、クジラの美味しさに開眼する!
「毛蟹」
シャリが隠れるほどの毛ガニの旨さは言わずもがな!
この季節ならではの毛ガニは北海道・噴火湾産。
ほぐしたカニの身をこんもりのせて握りで出すという、意表をついたアプローチも面白い。
ふっくらした身は風味豊かで、蟹味噌と合わさった濃密な旨さに感激!
「カマスの昆布締め」
江戸前の伝統的な仕事を施したかますも出色!
「秋から冬にかけて美味しくなっていきます」という東京湾産のかます。
魚本来の旨みに加え、締めることにより適度な弾力とネットリ感を演出している!
「大トロ」
最高級の大トロを“漬け”でいただくのも超斬新!
この日は、北海道・戸井で延縄漁を用いて揚がった175キロの本まぐろ。
それだけで十分に美味しい大トロを、ここではカツオでも登場した継ぎ足しのタレに漬け込む。
この大トロが赤酢を香らせたシャリと相性抜群!余分な脂も落ち、何貫でも食べられそうなくらいだ。
大将の丁寧な仕事に加え、女将の朗らかな接客も心地良い
大将の猪股健史さんは、和食の料理人から鮨職人に転身したキャリアの持ち主。
鮨の求道者として、日々細やかな改良を重ねコースの完成度に磨きをかけている。
「鮨店はやはり握りですから」。この潔さも通いたくなる理由だ。
お腹いっぱいでも持ち帰りたい絶品バラちらし!
「バラチラシ」16,200円
贅を尽くしたバラちらしで帰宅後も余韻に浸る!
日によって内容は替わるが、まぐろは赤身と大トロなど、異なる部位をふんだんに盛り込む。
そのほかいくら、うに、甘エビ、スミイカなど全部で10種類以上もたねが入った豪華な仕上がり。
店を出る前から家に帰るのが待ちきれなくなる!
マンションの1階に店はあり、周囲は静かな住宅街
約20貫が登場する怒涛のおまかせコースは38,500円。
“鮨不毛の地”川口のさらに駅から離れた立地であっても、『鮨 猪股』が大人を惹きつけてやまない理由は十分お分かりいただけただろう。
わざわざ足を運んででも、一度は訪れてみたい弩級な鮨店である。