仕事もプライベートも幸せなキャリア女性に共通する、4つの法則とは
■ハッピー管理職とアンハッピー管理職の境目とは
幸福度の高いハッピー管理職と幸福度の低いアンハッピー管理職の違いはどこに? 「幸せなリーダーたちの仕事&プライベート」大調査のアンケートで現役管理職の女性が、「管理職になりたくなかった」理由の上位に挙げている「管理職に向いていない」「責任が重くなる」ことが、アンハッピーの理由なのだろうか。現役管理職女性の24時間から、その理由を探ってみたい。
アンケート回答者のボリュームゾーンは、既婚・子ありの40代。管理職になって3〜4年の課長・係長・主任クラスだ。まずは仕事について。「人生の幸福度」7〜10のハッピー管理職たちの7割が「ムダのない業務管理ができている」と答えているのに対し、アンハッピー管理職の6割が「あまりできていない」「まったくできていない」と回答。うまく仕事を回せず、はがゆい思いをしているのだろうか。次に、「スキルアップに割く時間(Q2)」をたずねると、「なし」と答えたアンハッピー管理職がダントツで多く、ハッピー管理職は「なし」との声もあるが、1時間から2時間ほど、スキルアップに割く時間を確保できている人が多い。
「通勤時間(Q3)」では、アンハッピー管理職のボリュームゾーンが1時間程度であるのに対し、ハッピー管理職は30分程度。通勤時間だけで、ハッピー管理職とアンハッピー管理職に1日往復1時間の差があり、この差は、「スキルアップに割く時間」の差につながる。コロナ禍は人類にとって大きな打撃だが、女性の働き方を大きく変えるきっかけになったことは確か。テレワークならば通勤時間がそのまま自分の時間として使えるし、緊急事態宣言が発出され、長引く会議やムダな出張は削減された。
しかし、「勤務の形態(Q4)」で「完全出社」の人が46.3%。反対に、「完全在宅」とテレワークを併用する「ときどき出社」と答えた人が合わせて48.5%。テレワークを利用できる環境にいる人とそうでない人は半々。テレワークの恩恵を受けることができない管理職は多いよう。もしくは、管理職は、ハンコを押すためだけに出社せざるをえないという状況もあるのかもしれない。
■仕事にやりがいを感じるハッピー管理職
ハッピー管理職とアンハッピー管理職で大きく違いが現れたアンケート結果が「仕事のやりがい度(Q6)」。ハッピー管理職の8割が「やりがい度」6以上と答えたのに対し、アンハッピー管理職の8割が5以下と回答。「自身の成長度合い(Q7)」を感じているかたずねると、「仕事のやりがい」同様、対照的な結果に。ハッピー管理職の多くが「成長している」と感じている一方、アンハッピー管理職は、ハッピー管理職に比べ、「成長している」と感じていないのだ。成長の実感がわかなければ、管理職になって幸福度が下がったと感じても仕方がないことなのかもしれない。
■幸福度を左右するのは心身メンテナンスの充実度
次に、WLBをチェック。「心身のメンテナンス時間は充実しているか(Q8)」を問うと、ハッピー管理職の6割が「とても充実している」「まあまあ充実している」と答えているのに対し、アンハッピー管理職の8割が「あまり充実していない」「充実していない」と回答。「平均就業時間(Q5)」を見ると、ハッピー・アンハッピー管理職ともにボリュームゾーンは9時間程度だが、「家事に割く時間(Q11)」は、ハッピー管理職のボリュームゾーンが1時間台であるのに対し、アンハッピー管理職は1時間未満。
意外にも、ハッピー管理職のほうが毎日「家事に割く時間」が長いという結果に。それは、アンハッピー管理職の幸福度を感じられない理由が、家事に追われることではないことを意味する。
また、ハッピー管理職の人が「もっとも幸せを感じる(Q12)」のが「家族と過ごす」時間であるのに対し、アンハッピー管理職の人が「1人のとき」と答えているのを見ると、毎日、目の前に山積みされたタスクをこなすことに精いっぱいになっている姿が見えてくる。1時間かけて会社にたどり着いた途端、マネジメント業務に追われ、自分の仕事はなかなか進められず残業に……。ときには、仕事の持ち帰りをすることも。帰宅するとすぐに夕飯づくりに部屋の片づけ。ゆったりできるのは風呂の中。睡眠時間もそこそこに、朝が来て、また1日が始まる……。
仕事に関しては、企業風土などもかかわってくるため、一概に判断できないが、アンハッピー管理職の幸福度が低い最大の要因は、「自己メンテナンスする時間」が充実していないためではないだろうか。業務に不安があっても、スキルアップに割く時間はなく、WLBを考える以前に、仕事と家事・育児で1日が終わるという現実。反対に、ハッピー管理職がハッピーたるゆえんは、仕事にやりがいを感じ、プライベートではスキルアップする時間も心身をメンテナンスする時間も確保できていることだと考えられる。女性管理職はWLBを取ることが難しいといわれるが、アンケート結果から「家事が大変=プライベートがない=幸福度が低い」という構図は見えてこない。
管理職の総資産は1000万〜5000万が最多。多いほど安心ではあるが、資産額で幸福度に差がでるものでもなさそうだ。
■幸せの源泉は、誰かと過ごす時間と仕事
ハッピー管理職に必要なことは、「ムダのない業務管理」を行い、自分の時間をコントロールし、「心身をメンテナンスする時間を充実させること」だと判明。仕事が忙しくてもやりがいがあれば、幸福度は高いし、家事の負担が幸福度を下げているわけではないこともわかった。仕事においては役職、プライベートではライフステージ、その時々で負担の大小は変わる。
しかし、どんな状況においても、自分を解放できる場があれば、ハッピー管理職になれるということなのだ。それには家族やパートナーの存在も重要に。家事や育児は、女性に大きな負担としてのしかかるが、それは決して幸福度を下げる要因ではない。コロナ禍となり、人と人との結びつきが見直され始めた今、本当に大切なものに皆が気付き始めた。幸せの源泉は、誰かと過ごす時間と仕事。その両方がそろうことで管理職生活がハッピーなものになるといえそう。
■【番外編】幸せな管理職たちに「不安」はあるのか……
ハッピー管理職でも不安に思うことはあるようだ。彼女たちの不安の正体は何なのだろうか? 一般社員の不安にも注目したい。
■【番外編】お金と資産について
お金と幸せはイコールではないけれど、幸せを後押ししてくれる大切なもの。皆のお金事情について聞いてみた。
(ライター 江藤 誌惠)