世界で最も背が低い存命中の女性(歩行ができないカテゴリー)に認定されたウィルディンさんと家族(画像は『Guinness World Records 2021年10月27日付「Wildine Aumoithe confirmed as world’s shortest non-mobile woman」』のスクリーンショット)

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米フロリダ州在住のウィルディン・オーマースさん(Wildine Aumoith)が今年10月13日、世界一身長が低い女性としてギネス世界記録の認定を受けた。1日3回の測定により達成された記録は「72センチ(28.3インチ)」で、存命中で歩行ができない(non-mobile)女性のカテゴリーでの世界一となった。

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フロリダ州ノースマイアミビーチに暮らすウィルディン・オーマースさん(18)がギネス世界記録に挑戦したのは「低身長の人々をインスパイアしたい」という強い意志からで、この記録を達成した最初のハイチ系アメリカ人となり「とても誇りに思っています」と笑顔を見せた。

低身長なのは400種類もあるという小人症が原因で、ウィルディンさんのケースは遺伝子変異によって起きる「発達遅延と黒色表皮腫を伴う重度の軟骨無形成症(SADDAN dysplasia)」という非常に稀な先天性骨疾患だという。

ウィルディンさんは「現在は床に座ったり動き回ることはできますが、年を重ねる毎に私の脚は弓のように曲がってしまい歩くことができません。そのため移動には車いすが欠かせないのです」と語り、誕生前後のエピソードや、強い絆で結ばれた母ウィルダさん(Wilda)について次のように明かした。

「母は妊娠6か月の時に私が小人症であると告知され、泣いたそうです。なぜなら小人症について全く知識がなかったからです。そして私が誕生すると医師に『この子は24時間以上生きることはないでしょう』と言われました。ただ母は、現実を受け入れながらも決してあきらめませんでした。」

「私は『きっと死んでしまうだろう』との配慮から、誕生後の6か月間はホスピスで過ごしました。ただ私が死ぬことはなく、ホスピスを出てからは母がずっと私の世話をしています。母は私のベストフレンドであり、全てにおいて支えてもらっています。もし母がいなかったら、私の人生がどうなっていたかは分からないほどです。」

なおウィルディンさんの自宅のベッドや机などは身体のサイズに合わせて作られているが、手が届かない場所にあるものを取ってもらったり、日常生活を送るには母の助けが必要だそうで、「この世の中は全て5フィート(152センチ)以上を対象にしているから、外出するとさらに大変なんです」と明かす。それでも「小人症でも自分が望めば子供だって産めるし、今後運転免許も取ることも考えています」と前向きで、「私の身長はただの数値であって、私自身を定義するものではありません。小さいからと言って他の人と違うことはないし、結局のところは一人の人間であることに変わりないのです」と述べている。

そんなウィルディンさんには弟2人と妹1人がおり、兄1人を睡眠時無呼吸症候群(SAS)で亡くしている。今年が高校最後の年になるウィルディンさんもSASで喘息も患っているが、高校を卒業後はカレッジでグラフィックデザインを副専攻しながら薬学を勉強する予定という。

ウィルディンさんは「医師や弁護士で低身長の人を見たことがありますが、薬剤師ではいないと思います。だから私が最初の低身長の薬剤師になれるかどうか試してみたいのです」と夢を語り、こう続けた。

「よく低身長の人は学校でいじめられると聞きますが、私は友達に恵まれ、小人症が原因でいじめられたことはありません。もちろん人にじっと見られることはありますが、大切なのは『他の人があなたのことをどう思うか』ということではありません。『自分らしくいること、そして夢を追いかけ続けること』が重要なのです。私たちはそのままでも十分に完璧なのですから。」

「私は自分が達成したことを通し、『身体が小さくても成功することは可能で、他の人たちと同じように人生を満喫できる』ということを伝えたいのです。そして小人症の人たちをインスパイアできれば嬉しいですね。」

なおウィルディンさんは、小人症についてより多くの人に理解してもらおうと昨年2月にYouTuberとしてデビューしており、大好きな米児童文学作家ドクター・スース(Dr.Suess)の言葉を紹介している。

「人は人、たとえどんなに小さくたってね! (a person’s a person, no matter how small.)」

ちなみにウィルディンさんの前の記録保持者は、南アフリカ出身で骨形成不全症だったマッジ・ベスターさん(Madge Bester)で、1999年に測定された身長は65センチだった。マッジさんは2018年3月19日に亡くなっており、母親も車椅子生活で身長は70センチだったという。

画像は『Guinness World Records 2021年10月27日付「Wildine Aumoithe confirmed as world’s shortest non-mobile woman」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)