ネタを披露する陣内智則(2016年)

写真拡大

「謝罪じゃないですけれども、どういう経緯でこうなったかというのをみなさんに見ていただこうかなと」

【写真】過去に『ペットショップ』ネタで炎上した際に陣内が漏らしていた正直な感想

 2021年11月3日、陣内智則が自身のYouTubeチャンネルに“釈明動画”をアップした。10月16日に放送された『エンタの神様 大爆笑の最強ネタ大大連発SP』(日本テレビ系)内で披露したネタが炎上したことを受けての経緯説明を行ったかたちだ。

 陣内の持ちネタだった『郵便局』というネタを『エンタ』側からのリクエストを受けて演じることになったそうだが、それにあたり“ネタの冒頭”について話し合われたのだという。

「彼は“ひとりコント”なので、毎回導入でコントの設定を口頭で説明するというのがおなじみです。『郵便局』では職員役の陣内さんが“あー暇やなぁ。そや、勝手に手紙読んだろ”というのが原型だったのですが、番組側からそれはよろしくないということで、“宛先不明で届かなかった手紙があるから、手がかりのために読んでみて、きちんと届ける”といったかたちに設定変更する提案があったんだそうです。さすがに勝手に郵便物を開けるというのはマズいと」(テレビ局関係者)

老犬を登場させたコントで炎上の過去

 しかし、陣内はその案について、『いや、それじゃアカン』と跳ねのけたのだという。「封が開いている手紙を見つけたのを疑問に思い、中身を読んでみる」という設定に落ち着き、それが放送された。しかし、それが炎上を呼ぶことに。

「刑法133条の信書開封罪で違法行為にあたる」

「郵便局員がいつもこんなことをやっているのか、と風評被害になる」

「お笑いで犯罪を茶化してはいけない」

 さるベテラン放送作家によれば、過去にも陣内がネタで炎上したケースがあったのだという。

「実は2016年に放送された『ENGEIグランドスラム』(フジテレビ系)で演じた『ペットショップ』というネタも炎上したんです。ペットショップの店員役の陣内さんと、そこで長らく売れ残った犬が掛け合う設定のコント内で、“売れ残った汚い老犬”、“保健所に連れていって”といったフレーズが飛び出す場面があり、それが反感を買うことになってしまった。

 いかんせんペットショップや保健所といったものには、“殺処分”などナイーブな背景もつきものですからね。結局店員が老犬を引き取るというハートフルなオチなのですが、先のようなフレーズに“引っかかり”を覚えた人もいたのでしょう」

“不謹慎狩り”の時代に

 反響を受けて陣内はツイッターで《ネタ終わりに、批判的なコメントが多かったなぁ。命の大切さを考え作ったけど。。人それぞれの考えかたがありますね。いい話で面白かったというコメントも沢山で良かった!》(2016年5月7日)との感想を残している。

 当時の炎上もあってか、現在陣内のYouTubeにアップされている『ペットショップ』の動画(2021年7月24日公開)では、そのようなフレーズはカット。マイルドな言い回しに変更されていた。

「今回の『郵便局』についてもテレビ業界内では“そこまで突っ込まれるか……”という声が出ていますね。あくまでコントのネタですから。陣内さんに悪意は全くないですし、不謹慎狩りの時代がネタの自由度を狭めているような気もします。地上波となると“フレーズやいい回しには気をつけろ”と重ね重ね言われているので、打ち合わせも綿密に行っているのですが……」(制作会社ディレクター)

 ここ数年、テレビ用に作られたコントが放送される流れも徐々に出てきている。チョコレートプラネット、霜降り明星、ハナコらが出演するコントを中心としたレギュラー番組『新しいカギ』(フジテレビ系)を中心に、10月にも期間限定で実力派コント師を起用した『東京03とスタア』(日本テレビ系)も放送されたが、前出の制作会社ディレクターはこう嘆く。

「かつてのテレビ黄金期は多くのコント番組がありましたよね。テレビ局員、および制作会社のスタッフのなかにはそういった番組に影響を受けて、“自分もいつかコント番組を担当したい”という人は少なくありません。ですが、現代ではコント番組はあまり視聴率が取れないという現状がありますし、何かとコントのネタで炎上ということが増えるのであれば、どんどんテレビコントは廃れてしまうことでしょう」

 笑いのツボは人によって違うというが、道徳のラインもひとそれぞれ。クリエイティブ業の難しさが出たかたちか──。