終身雇用にしがみつくな!パラレルキャリアを実践して感じた「会社員時代にはない“安心感”」とは

写真拡大 (全2枚)

「パラレル」と聞くと何を思い浮かべますか?

私たちの暮らす世界と並行して存在する別の世界のパラレルワールドや、スキーの両板を平行にしたまま向きを変えるパラレルターンなどが頭に浮かぶかもしれません。

世の中には様々な「パラレル」がありますが、いずれも「並行・平行する」という意味があります。

そして最近注目されているのが、パラレルキャリア。報酬に関わらず、いくつかのキャリアを並行して持つことです。例えば本業と併せてボランティア活動を行ったり、本業の他にスキルアップできる仕事に就いたりと、より自己実現を目指す働き方として注目を集めています。

よく見聞きするものの、1社の終身雇用文化がいまだに残る日本のビジネスパーソンには馴染まない“憧れ”の生き方かもしれません。

そんなことを考えながら江端浩人氏の『スタンフォード式!“パラレルキャリア”育成に重要なポイントとは?』を読みました。なんといっても、著書の“世界一やさしいパラレルキャリアの育て方”のフレーズは、日本人にとってハードルの高さを払拭してくれます。

記事ではたくさんの肩書をもつ人を「スラッシャー」(「/(スラッシュ)」がたくさんある人)と呼んでいます。これからの時代は、その人が何の役職に就いているのかではなく、その人自身が「どういう人なのか」ということが重要になってくるでしょう。自分を表現できる肩書きが多いことは、パラレルキャリアの目指す姿かもしれません。

しかし理想像に一足飛びには到達できません。記事ではそんな人に向けて「3か月ごとの趣味を持て」や「副業ベストテンを作れ」と、誰でも足を踏み出せる“やさしい最初の一歩”を紹介しています。

「副業」をすることの本来の意味とは?

画像:IYO/PIXTA(ピクスタ)

記事で紹介しているパラレルキャリアは単純な副業の勧めではありません。スタンフォード式が意味するところは、「Why thinking matters」という自分で考え議論できる授業がベースにあります。つまり、パラレルキャリアは自分がナニモノであるかを考え、自己決定することに意味があるのです。

そう考えると、副業はパラレルキャリアを実現する数歩手前の「パラレルインカム」状態を作ることに意味がありそうです。

筆者の周囲では、コロナ禍で副業を始めた人が多くいます。配達員やクラウドソーシングや内容はさまざまですが、彼/彼女たちが口をそろえて言うのが「本業以外の収入の柱があることは安心感がある」ということです。

実は筆者も新卒で入社した企業に22年間務めていた“一本のみキャリア”の最たるもの。しかし退社後に投資の勉強を行い、今は不動産投資家という顔も持っています。

不動産賃貸業での収入があることで、昔からやりたかったライターの道へも踏み出せました。さらに、仲間が創業したベンチャーの手伝いや、ワインの勉強もスタートしました。

知らない分野に踏み出すことは不安も大きいですが、さまざまな手法で稼げるという実感は会社員時代にはなかった自信につながります。収入の分散が進むにつれ、自然と自分の興味がある分野に時間を投じるようになっていきました。

ひとつしか収入源がない場合は、リスクが集中するだけでなく、知らず知らずに視野も狭まっている可能性が高い。副業によるパラレルインカムを実現することで、初めて安心して「自分は何がしたいのか?ナニモノになりたいのか?」を考えられる状態になるのかもしれません。

ゆえに、江端氏の“やさしい第一歩”に重ねて提言すると、「近所のアルバイトでもいいので、まずは本業以外の収入源を持ってみよう」をおすすめしたいです。

【画像・参考】
スタンフォード式!“パラレルキャリア”育成に重要なポイントとは?
※Elnur・IYO/PIXTA(ピクスタ)