「環境が違えば起こらなかった不幸が残念」横浜の患者連続殺害事件から5年、求められることは
2016年、横浜市の旧大口病院で起きた殺害事件。10月1日には初公判が行われ、横浜地裁は殺人罪などに問われた元看護師に対する精神鑑定の結果などに注目が集まっています。事件から約5年経った今、世間からはどのような声があるでしょうか。
横浜市の大口病院での患者連続殺害事件
画像:Numstocker/ShutterstockJIJI.COMの報道によると(※1)、事件の詳細について「事件があった同病院の4階では、同年7〜9月に48人の患者が相次いで死亡した。容体が悪く回復の見込めない患者が多く入院しており、病院側は当初、事件とは疑わず、死亡患者の点滴の泡立ちに看護師が気付くまで警察に届け出ていなかった」とのこと。警察に届け出るのがもう少し早ければ、助かった命があったかもしれません。
さらに、FNNプライムオンラインによると殺害方法については「入院患者3人の点滴に消毒液を混入」(※2)したと報じられており、病院側の管理体制を批判する声も上がっています。
旧大口病院の管理体制に甘さがあった理由として、終末期の患者を受け入れる病院だった点が上げられるでしょう。JIJI.COMの報道によると、“近くに住む自営業男性は「あまり地元の人が使う病院ではなかった。受け入れる所がなくて来たという人が多かったのでは」と話した”(※1)とあります。そのため、病院側が意図的な殺人だとは気付きにくかった、また「終末期の患者がほとんどだから」という気の緩み、考えの甘さがあったのではないでしょうか。
SNSの反応
この事件について、SNS上ではさまざまな意見が上がっています。
「この看護師さんは殺害に至る以前は どれほどの命を守ってきたんだろうと思い 環境が違えば起こらなかった不幸が 残念でならない」という声もあり、本事件の被告人である久保木愛弓氏も、犯行前は患者の命を守り続けていたのかもしれません。
また、「患者さんの死で看護師が責められる、って病院側の管理経営責任もありそうな事件かと」という、前述した“病院側の管理体制の甘さ”を指摘する声もありました。そもそも本事件が起きたのは看護師としての仕事の最中であり、周囲には同僚や医師も多くいたはずです。それにもかかわらず事件が発生した点を鑑みると、久保木氏を雇用していた病院側の責任も問われるべきなのかもしれません。
医療現場に広がる波紋
画像:Liza888/Shutterstock今回の事件は、医療現場に波紋を広げています。東京新聞によると、「現場からは患者と家族に向き合う看護師のメンタルケアを求める声が上がっている」(※3)とのこと。
患者や彼らの親族からのプレッシャーをきっかけに、心が潰れてしまう看護師も少なくないはずです。本事件前から、看護師を含めた医療従事者の心のケアを課題とする声は頻繁に上がっていました。「ケアする側をケアすることが看護の質も高める」(※3)という伊藤まゆみ氏(目白大教授)の言葉通り、医療従事者へのメンタルケアの機会をより増やしていくべきでしょう。
【画像・参考】
※1 事件から5年、休診続く 再開めど立たず―旧大口病院・患者連続殺害事件 - JIJI.COM
※2 【速報】横浜・旧大口病院 連続点滴死 元看護師の女に死刑求刑 - FNNプライムオンライン
※3 点滴連続中毒死事件が広げる波紋 「看護師にも心のケアを」…亡くなる、怒られる、募る不安 - 東京新聞
※@Resasippo・@AikawaAki/Twitter
※imtmphoto・Numstocker・Liza888/Shutterstock