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「Galaxy Z Fold3 5G」は折りたたみスマートフォンとして世界初のペン入力に対応しました。すでにGalaxy Noteシリーズでは専用スタイラス「S Pen」が利用できましたが、Galaxy Z Fold3 5Gは一般的なスマートフォンとは異なりフレキシブルディスプレイを採用していることから、対応するペンも「S Pen Fold Edition」及び「S Pen Pro」という新しい専用品となりました。

S Penはワコムの技術を採用し充電不要で利用できます。Galaxy Note20 Ultara 5GなどのS PenはBluetoothを内蔵し、本体に刺すことで自動充電されカメラのリモートシャッターボタンになるなど、リモコン機能も搭載されています。

Galaxy Z Fold3 5G用に発売されたS Pen Fold Editionは充電不要でそのまま利用できます。ただしGalaxy Z Fold3 5Gでしか利用できません。

一方S Pen Proはペン入力利用では充電不要、リモコン機能を使うときは充電が必要です。さらにS Pen Proは本体にスイッチがあり、従来のS Pen対応端末であるGalaxy Noteシリーズでも使うことができるのです。今回は上位モデルであるS Pen Proの使い勝手を試しました。

まずはS Penそれぞれの比較を行います。せっかく比較するなら2021年春に発売になったGalaxy S21 Ultraの「Galaxy S21 Ultra 5G S Pen」も比較してみます。Galaxy S21 Ultra 5GはGalaxy Noteシリーズ以外で初めてS Penに対応しました。ただしペンは本体に内蔵できません。

またGalaxy Z Fold3 5GにはS Pen Fold Editionを収納できるケース「Galaxy Z Fold3 Flip Cover with Pen」も発売されており、ペン収納部分も取り外せます。ペンそのものはS Pen Fold Editionですが、取り外せるペンケース部分も比較してみました。

Galaxy S21 Ultra 5G S Penと比べると、Galaxy Z Fold3 5G用のS Pen Fold Editionは若干長く、太くなっています。またGalaxy Z Fold3 Flip Cover with Penの取り外せるペン収納部分はペンケースにもなりますが、S Pen Fold Editionとして販売されているものは革風のペンケースが付属します。

そしてS Pen Proは本体サイズがさらに太く長くなり、ケースもその分大きくなっています。

製品名がややこしいので、いったん整理します。

Galaxy S21 Ultra 5G S Pen:Galaxy S21 Ultra 5G用のS Pen。従来のGalaxy Noteシリーズ用のS Penと互換性あり

Galaxy Z Fold3 Flip Cover with Pen:Galaxy Z Fold3 5G用のフリップカバーで、ヒンジ部分に「S Pen Fold Edition」を入れるペンケースが装着、ペンケースは取り外し可能

S Pen Fold Edition:Galaxy Z Fold3 5G専用のS Pen。従来のS Penとは互換性なし

S Pen Pro:Galaxy Z Fold3 5G専用のS Pen。本体スイッチ切り替えで従来のS Penとしても使える(Galaxy S21 Ultra 5G、Galaxy Noteシリーズ、Galaxy Tabシリーズでも使える)

本体の太さを比較してみます。左からGalaxy S21 Ultra 5G S Pen、真ん中がS Pen Fold Edition、右がS Pen Pro。いずれも断面は円形で一部がフラット、机の上などで転がらないようになっています。

S Pen Proは大きさがかなりApple Pencilによく似ています(色は違いますが)。2世代目のApple Pencilと比較すると、サイズは若干長く、径もわずかに太くなっています。Apple Pencilのケースはサイズに余裕があるものなら流用できそうです。

S Pen Proの備えるスイッチ部分。Galaxy Z Fold 3 3Gで使うときは左の「Z Fold」へ、Galaxy NoteシリーズやGalaxy S21 Ultra 5G、Galaxy Tabletなど従来のS Pen対応モデルで使うときは「S Pen」側にスライドさせます。

S Pen Proの上部にはUSB Type-Cケーブルをさせる充電端子があります。

S Pen Proのボタン部分。S Penはワンボタンですが、S Pen ProはBluetoothでペアリングするためのボタンが上部側についている2ボタン構成となります。

充電したS Pen ProをGalaxy Z Fold3 5Gに近づけると、自動的にBluetoothで認識されます。なおここでキャンセルしてもペン入力は使えます。Bluetooth接続するとリモコン機能が使えるわけです。

改めてS Pen Proの各ボタンの説明。

さてS Pen ProでGalaxy Z Fold3 5Gに文字入力。S Pen Fold Editionと同様に普通に書き込めます。画面が沈むといったこともなく、普通のスマートフォンの画面に文字を書いている感覚です。

S Pen Proのスイッチを「S Pen」に切り替えると、従来のS Penと認識されるため画面に近づけると「このペンは従来のペンなので使えない」との表示が出ます。

では従来のS Pen対応製品で使ってみます。S Pen Proのスイッチを「S Pen」にしてGalaxy S21 Ultra 5Gで使ってみると、普通に文字を書き込むことができます。

使ってみるとGalaxy S21 Ultra 5G S PenとS Pen Proでは書き心地は異なります。S Pen Pro(S Pen Fold Editionも)はフレキシブルディスプレイに対応しているため、ペン先が若干柔らかく沈む構造になっています。それに対してGalaxy S21 Ultra 5G S Penや従来のGalaxy NoteシリーズのS Penは先端が硬い構造です。

とはいえ書きにくいということはなく、ある程度書き進めていくと慣れます。これは紙のノートにボールペンやシャープペンシルなどを持ち替えて使うときに、それぞれのペンで書きごちが異なることと似た感覚でしょう。

さてS Pen Proのリモコン機能「エアアクション」は、Galaxy Z Fold3 5Gの画面に触れずにボタンを押しながら本体を動かすことで様々な操作ができるというもの。これはGalaxy Note9シリーズ以降に搭載されている機能です。

一番使える機能はカメラ起動中に、S Pen Proのボタンを押すとリモートシャッターになります。Galaxy Z Fold3 5GはL字型にして机の上に置けば三脚いらずで写真撮影も簡単。こんなときにS Pen Proを使って画面に触れることなくシャッターを切れます。

他にもギャラリーやChromeなどで画面の切り替え時にS Pen Proを左右に振る、といった操作も可能。

さてS Pen ProはBluletoothを内蔵したことで「ペンを探す」機能も備えています。Galaxy Z Fold3 5Gにプリインストールされているサムスンのスマートホームシステム「SmartThings」アプリを使うと、S Pen Proの場所が表示されます。ただしBluetooth接続されているときだけのようなので、どこか遠くの場所に忘れてしまった、というときは見つけることができないようです。自宅の中のどこかにあるかどうか、程度の検索になります。

S Pen Proにはブザーも内蔵されていないため、場所を探す補助としてはBluetoothペアリング時に使われる点滅ライトをSmartThingsアプリから点灯させることができます。これも検索機能としてはやや非力ですが、それでもあったほうがいいでしょうか……?

Galaxy Z Fold3 Flip Cover with Penを買えば、フリップカバーとS Pen Fold Editionを同時に入手してペン入力をすぐに使うことができます。しかしGalaxy S21 Ultra 5GやGalaxy Noteシリーズも併用している人や、ペンによるリモコン機能を使いたい人ならS Pen Proがお勧めと言えます。せっかくペン入力に対応したGalaxy Z Fold3 5G、2種類のペンどちらかをぜひ使ってみてください。