『チョコリエッタ』ほか、風間志織監督作のリバイバル上映が決定!
直木賞作家・大島真寿美の青春小説を2021年の設定に翻案し映画化した『チョコリエッタ』(2015)など、風間志織監督の代表作3作が、9月24日より、アップリンク吉祥寺でリバイバル上映されることが決まり、予告編映像が公開された。
今回上映されるのは、森川葵、菅田将暉、岡山天音、三浦透子など、今の日本映画界を牽引する若手俳優たちが集結した『チョコリエッタ』、中年男性との不倫にハマる女性と、彼女に強い想いを寄せる少女の恋愛模様を軸に、恋愛がもたらす幸福感や痛みを繊細なタッチで描いた『火星のカノン』(2001)、大人になりきれない男女の日常と恋心をつづったラブストーリー『せかいのおわり』(2004)の3作。『火星のカノン』と『せかいのおわり』は、デジタルリマスター版での上映となる。
『チョコリエッタ』で主人公・知世子を演じた森川が、「この作品を撮っていた時には想像もつかなかった今を生きている人達がこの作品見て何を思うのか、とても気になります」とコメントを寄せているほか、小日向文世、クノ真季子、長塚圭史、田辺誠一など、各作品のキャストらからも熱いメッセージが届けられている。(高橋理久)
以下、コメント全文
◆森川葵(『チョコリエッタ』主演)
あの頃、確かにちよことして色んな想いを抱えて必死に毎日を生きていました。
自分のことでいっぱいだったあの頃と比べ少し周りを見ることができるようになった今、
この作品を撮っていた時には想像もつかなかった今を生きている人達がこの作品見て何を思うのか、とても気になります。
◆大島真寿美(『チョコリエッタ』原作者)
生き抜くために不機嫌にならざるを得なかった「チョコリエッタ」を、
風間さんは、エールを送るみたいに撮ってくれた。
観終わってひと月経ち、ふた月たち……時が経てば経つほど、いくつものシーンがうつくしく立ち上がってくる。
これぞ、映画の力だな、と思います。
◆渋川清彦(『火星のカノン』『せかいのおわり』『チョコリエッタ』出演)
「今もまだ何もわかっていないが、もっと何もわからなかった20年前、映画を通して何かのヒントみたいのを教えてくれたのが風間さんだ。
20数年、役者というものを続けてこれて、過ぎ去る現場もあれば忘れられない現場もある。風間さんの現場は決して忘れられない。過去の作品がデジタルリマスターというもので鮮明に観れるのは楽しみだし、個人的には歯がゆい感じもする。が、俺は今の風間さんの作品が観たいし、今の風間さんの現場にいたい。風間さん、そろそろじゃないですか?」
◆小日向文世(『火星のカノン』『せかいのおわり』出演)
2001年撮影の『火星のカノン』が風間組初めての参加作品でした。
いつもニコニコしてる印象でしたが、こだわりは激しく、火星のカノンで主役のクノ真季子さんとホテルの卓球台でピンポンしながらの会話はとにかくゆっくり打ちながらと要求され、なんとか最後まで終えて監督を見ると右手の親指と人差し指でマルを作ってOKサインかと見せてスッと人差し指を立てて、もう一回。
それが20数回繰り返されました。覚えてますか?
40代だったあの時の僕がデジタルマスターされて久々にスクリーンに甦るんですね。
時はあっという間に過ぎて行きました。
前期高齢者の僕が完璧に高齢者になった頃又ご一緒出来たら嬉しいな。
◆クノ真季子(『火星のカノン』『せかいのおわり』出演)
気合いという言葉は似合わないけれどspiritの塊だったりする。
繭玉に包まれているような現場の中でずっと撮影中でいいのに…と思わせてくれる貴重な監督です。
◆中村麻美(『火星のカノン』『せかいのおわり』出演)
風間志織の世界観が20年の時を経てこの時代に再び解き放たれることに、無性に喜びを感じています。2作品が今の時代のアナタの感性に受け入れられることを確信しています。なぜって、風間監督の感性は時をこえても輝き共振をおこすものだから。
◆長塚圭史(『せかいのおわり』出演)
もう三十路にかかろうかという頃なのに、どこか青春の思い出の中にあるような映画です。悩んだり笑い転げたり。ひょっとするとそれぞれ役の青春を味わえていたのかもしれません。何が起きるわけでもないけど『せかいのおわり』というタイトルがやけに眩しい映画でした。
◆田辺誠一(『せかいのおわり』『冬の河童』出演)
占星術の解釈では、200 年続いた物質の時代が 2020 年暮れに終わり、風の時代に入ったそうです。自由で、場所にとらわれず、価値観を固定せず、物質に固執することのない新しい価値観。風の時代。風間監督はその風を生み出し、これからも観客や演者やスタッフに対して、そして映画そのものに対して、深い愛情を持って映画を作り続けるのだと思います。
◆矢崎仁司(映画監督)
私が初めて監督の性別を意識したのは風間志織の映画だ。女性の不敵な発想、繊細なこだわりが画に宿る。風間監督は悩み「これでなきゃダメ」を探し尽して映画を作る。
だから私は風間志織にあこがれ、嫉妬し、風間志織になりたいと思い続けている。