Netflixオリジナルシリーズ「ヴィンチェンツォ」は配信中

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 Netflixで連日、TOP10入りしている「ヴィンチェンツォ」。故郷、韓国に戻ってきたイタリアン・マフィアの顧問弁護士(コンシリエーレ )が、マフィア以上にタチの悪い悪党を相手にマフィア仕込みの流儀で立ち向かっていく。タイトルといい、設定だけを聞くと、「これ、マジ韓国ドラマなの?」と言いたくなるほど斬新すぎる。彼は仕立てのいいスーツをクールに着こなし、現実離れしたキャラクター、ヴィンチェンツォに息を吹き込み、そのオーラで説得力を与えている。スピーディかつ予想を超えた展開を見せるストーリーと共に、回を追うごとに脂が乗って来るソン・ジュンギに夢中になる人も続出。そこで、「ヴィンチェンツォ」でジュンギ沼にハマった人にお勧めのドラマを紹介します。

男も羨む美しさと色気「トキメキ☆成均館スキャンダル」

 1985年9月19日生まれのソン・ジュンギは、大学在学中の2008年に、映画『霜花店(サンファジョム)運命、その愛』で俳優デビュー。その後、一躍名を知られることになったのが、2010年に大ヒットしたのが「トキメキ☆成均館(ソンギュンガン)スキャンダル」だった。

 朝鮮王朝時代の女人禁制のエリート校・成均館(ソン・ギュンガン)を舞台に、男性と偽って入学した男装女子のヒロインと、3人のイケメン儒学生による恋と友情を描く青春時代劇。主要キャストが爆発的人気を博し、2010年KBS演技大賞を席巻。ソン・ジュンギは人気賞を受賞した。

 ソン・ジュンギが演じたのは、華やかな韓服もお似合いのク・ヨンハ。お金持ちのお坊ちゃまで自由奔放な性格。女性はもちろん男性も見とれる“花美男”という役どころで、その美しさは「ヴィンチェンツォ」での伊達男ぶりにもつながっている。「トキメキ〜」のヨンハもそうだが、一つ間違えば嫌味にもなるキャラクターを、軽やかにかつユーモラスに演じることができる。また、プレイボーイゆえになかなか本心を覗かせないというところも、「ヴィンチェンツォ」にも通じる。それにしても「トキメキ〜」から10数年を経て、今年は36歳になるというのに肌ツヤのいいこと! さすが、韓国エンタメ界で“最も肌のキレイな男優”として一世を風靡しただけのことはある。

ゾクっとするような眼差しで魅了「優しい男」

 2012年、ソン・ジュンギにとってドラマ初主演となった「優しい男」。脚本を、日本でも長瀬智也主演でリメイクされた「ごめん、愛してる」(2004)のイ・ギョンヒが手掛けたメロドラマだ。殺人を犯した恋人の代わりに服役するも、恋人に裏切られたことから、彼女への復讐を誓う……。ソン・ジュンギが演じるのは、医師を目指していたはずが人生を転落する主人公カン・マル。

 当時は美少年のイメージが強かっただけに、本作で大人の男へのイメージチェンジに成功したと言われた。オープニングではピュアで誰にでも優しく、正義感の強い医学生で、恋人の身代わりで殺人犯になってしまうという人の好さ。そんな主人公が出所すると変貌。自分を踏み台にした元恋人への復讐のため、彼女の義理の娘に近づいていく。「ヴィンチェンツォ」では、自分が“父”と敬愛したマフィアのボスを裏切った人間に対して、容赦なく制裁を加える。その冷ややかな眼差しが印象的だが、「優しい男」でもゾクっとするような眼差しを浮かべる。また、女性の心を弄ぶ魔性の男ながら、真実の愛にも揺れる繊細な演技がたまらない。放送当時、そんな彼の魔性っぷりにやられて何も考えられなくなる、“ソン・ジュンギ病”と呼ばれる女性が続出したとか。

激甘ラブシーン連発「太陽の末裔〜Love Under The Sun」

 そして2016年、日本、中国などアジア圏で一大ブームを巻き起こした大ヒット作「太陽の末裔〜Love Under The Sun」。韓国では最高視聴率41.6%という驚異的な数字をたたき出し、国内の賞レースを席巻した。仕事も生き方も異なる軍人と医師が、派遣された紛争地域でさまざまな状況に直面し、乗り越えながら愛を育んでいくというラブストーリー。

 ソン・ジュンギにとっては除隊後の復帰作。製作費に約130億ウォンという巨費を投じてギリシャ・エーゲ海でロケも敢行するというドラマとしては破格のスケールでも話題を集めた。ソン・ジュンギは特殊戦司令部大尉シジン役を熱演。鍛え上げた体に、内面も男らしくタフな一面をアピール。紛争地域で人命を救うために奔走する姿は凛々しく頼もしい。「ヴィンチェンツォ」でもそうだ。目的があったとはいえ、住民たちのために居住ビルを体を張って地上げ屋から守り、財閥グループ・バベルにも立ち向かう。戦うソン・ジュンギは男っぷりがいい。そして、ロマンチックなシーンは一段と似合う。「太陽の末裔」ではソン・ヘギョふんする医師へのアプローチがストレートで、多くの女性たちの心をわしづかみした。

 特に、甘いセリフやワインキス(ワインを口に含みながらのキス)、船上キスなどの激甘シーンが連発……。同作が縁で2人は結婚。まあ、後に離婚したとはいえ、ソン・ジュンギのラブシーンにどきまぎせずにはいられない。「ヴィンチェンツォ」でも、同じ敵バベルを追ううちに距離が近づいていく女性弁護士ホン・チャヨン(チョン・ヨビン)との間に生まれる甘〜い空気。端正な顔に、甘くちょっと低めの声にもやられる。

 そのほか、ドラマ「根の深い木 世宗大王の誓い」(2011)では出番は決して多くないが、韓国エンタメ界の大御所ハン・ソッキュ演じる主人公・世宗の若かりし頃を演じ、ある意味、名優以上に印象深い演技を見せている。また、古代ファンタジーのNetflixオリジナルシリーズ「アスダル年代記」(2019)では一人二役に挑戦。映画『スペース・スウィーパーズ』も好評と快進撃が続く。(前田かおり)