第93回アカデミー賞授賞式は異例ずくめに
 - Andrew H. Walker / Getty Images

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 第93回アカデミー賞授賞式の開催が、いよいよ明日26日(日本時間)に迫った。今年のオスカーは新型コロナウイルスの世界的な流行を受けて約2か月遅れで開催されることにはじまり、華やかな祭典と感染予防を両立させようという試みで異例ずくめの内容に。授賞式の注目ポイントをまとめてみた。

LAだけじゃない!海外にも会場を設置

 例年、ロサンゼルス・ハリウッドのドルビー・シアターで開催されてきたアカデミー賞授賞式だが、今年はそれに加えてロサンゼルス・ダウンタウンにあるユニオン駅も授賞式会場に。メインとなるのはユニオン駅会場の方のようで、全員が一か所に集まることを避けるため、ゲストがどんどん入れ替わっていく“ローテーション形式”が取られる。

 また、コロナでアメリカに来られない候補者たちのため、ロンドンをはじめとした海外支部会場が設置され、中継でつながれることに。コロナ禍で定番となった“Zoom授賞式”はどうしても華やかさに欠け、視聴率の低下にもつながっているとして、オスカーは厳戒態勢の上で対面にて行われる。

 授賞式はテレビ・映画制作扱いになるため、ゲストはカメラが回っている時はマスクをする必要はないが、コマーシャル中などは要着用となるという。

レッドカーペットは縮小版に

 授賞式前のレッドカーペットは、フォトグラファーや報道陣の数を極端に絞った縮小版として実施。その代わりなのか、これまでは授賞式内で行われてきた歌曲賞ノミネート楽曲のパフォーマンスが、今年は授賞式が始まる前に、「Oscars: Into the Spotlight」と題した直前番組で披露されることになった。

 同番組では、セレステとダニエル・ペンバートンが『シカゴ7裁判』の「Hear My Voice」、H.E.R.が『ユダ・アンド・ザ・ブラック・メサイア(原題) / Judas and the Black Messiah』の「Fight For You」、レスリー・オドム・Jrが『あの夜、マイアミで』の「Speak Now」、ラウラ・パウジーニとダイアン・ウォーレンが『これからの人生』の「lo Si(Seen)」、モリー・サンデーンが『ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜』の「Husavik」をパフォーマンスする予定。モリー・サンデーンはアイスランドのフーサヴィークで、その他の出演者はロサンゼルスにあるアカデミー映画博物館のドルビー・ファミリーテラスからパフォーマンスを行う。

ブラピも!ハリソンも!候補者以外にもスター続々

 3年連続で司会者不在で実施されるアカデミー賞授賞式。候補者以外にも、各賞のプレゼンターとしてスターたちの登壇が発表されている。メンバーは以下の通り。ハリソン・フォード、ブラッド・ピット、ホアキン・フェニックス、レネー・ゼルウィガー、アンジェラ・バセット、ハル・ベリー、ポン・ジュノ、ドン・チードル、リース・ウィザースプーン、ブライアン・クランストン、ゼンデイヤ、ローラ・ダーン、レジーナ・キング、マーリー・マトリン、リタ・モレノ。

“史上初”だらけの候補者たち

 演技部門にノミネートされた20人全員が白人だったとして“白すぎるオスカー”と批判を浴びて以来、多様化を目指して変革を進めてきたアカデミー賞。今年はその取り組みが功を奏したからか、はたまたコロナ禍で公開延期を決める作品が多かったからか、候補者たちは今までになく多様性に富んだ顔ぶれになった。

 演技部門の候補者20人のうち9人が有色人種で、主演男優賞には『ミナリ』のスティーヴン・ユァンがアジア系アメリカ人として史上初めて、『サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜』のリズ・アーメッドがムスリムとして史上初めてノミネート。監督賞には史上初めて女性監督が複数ノミネートされ(『ノマドランド』のクロエ・ジャオ監督と『プロミシング・ヤング・ウーマン』のエメラルド・フェネル監督)、下馬評通りジャオ監督の受賞となれば、アジア系女性監督として史上初の快挙となる。数々の名スピーチを生んだアカデミー賞授賞式。黒人差別やアジア系へのヘイトに揺れる現在のアメリカで、受賞者たちが何を語るのかにも注目だ。

 ちなみに、最多となる10部門でノミネートされているのはNetflix映画『Mank/マンク』で、『ノマドランド』『ファーザー』『ミナリ』『サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜』『シカゴ7裁判』『ユダ・アンド・ザ・ブラック・メサイア(原題)』がそれぞれ6ノミネートで続いている。

授賞式を手掛けるのは、コロナ禍で再注目された『コンテイジョン』監督&プロデューサーたち

 今年の授賞式のプロデュースするのは、未知の致死性ウイルスの恐怖を描き、コロナ禍で再注目されたスリラー映画『コンテイジョン』のスティーヴン・ソダーバーグ監督とプロデューサーのステイシー・シェア、そしてグラミー賞をはじめ数々の授賞式をプロデュースしてきたジェシー・コリンズの3人だ。

 3人は「我々はワクワクするのと同時に、恐ろしくも思っています。われわれが直面しているこの異常な状況において、これは映画、そして新しい方法で映画を作る人々にフォーカスするチャンスです。われわれ全員が愛する映画を本当に感じられるような、授賞式を作れたらと思っています」と声明を出している。映画界にとっても困難な時だからこそ、彼らが知恵を絞って作り上げる映画愛にあふれた授賞式に期待したい。(編集部・市川遥)

第93回アカデミー賞授賞式は、4月26日(月)午前8時30分よりWOWOWプライム、WOWOWオンデマンドにて生中継(夜9時より字幕版を放送)
レッドカーペット生中継!第93回アカデミー賞授賞式直前SPは、4月26日(月)午前7時30分よりWOWOWプライム、WOWOWオンデマンドにて放送