夜型人間が朝型人間に切り替えることは可能なのか?
人は大まかに、朝に起きて昼に活動して夜に眠る「朝型人間」と、夕方に起きて夜に活動して朝に眠る「夜型人間」の2タイプに分けることができます。一般的な社会活動は朝型人間に合わせられているので、夜型人間である場合は頑張って朝型人間に切り替える必要がありますが、自分の生活リズムを根本から変えるのはかなり難しいこと。果たして夜型人間から朝型人間に切り替えることは可能なのか、科学系ニュースサイトのLive Scienceが解説しています。
https://www.livescience.com/can-night-owls-become-early-birds.html
そもそも朝型人間・夜型人間とは、人間に限らずほとんどの生物が体内に持っている「概日リズム」という約25時間周期の体内時計に基づいた活動時間の指向性で、「クロノタイプ」と呼ばれます。
クリーブランド・クリニックで行動睡眠医学の主任医師であるミシェル・ドレルプ氏は「人はクロノタイプに合った日常の行動に参加する傾向があります。例えば夜型人間は、昼よりも夜の方がより生産的で警戒心が強くなるので、夜に運動したり社交を重ねたりする傾向があります」と述べています。
そして、クロノタイプは非常にさまざまな要因によって決定されるため、夜型人間から朝型人間に切り替えることは、「可能ですが、簡単なことではありません」と、ドレルプ氏。
例えば、人の概日リズムは遺伝子によって左右されていることが、2018年の研究から明らかになっています。概日リズムはさまざまな条件によって変化しますが、この研究から遺伝子的な要因も大きく影響を与えるものであることが示されました。
朝型・夜型と関連する遺伝子座を約70万人の遺伝子を分析して研究者が特定 - GIGAZINE
さらに2019年に学術誌・Nature Communicationsに掲載された研究では、朝型人間であることに関連する遺伝子の種類は351種類もあり、睡眠と覚醒の周期に大きな影響を与えていることが判明しています。つまり、クロノタイプには先天的に決定されている部分があるといえます。
しかし、ドレルプ氏によれば、環境もクロノタイプの決定に大きな影響を与えるため、自分の環境を調整すればクロノタイプを切り替えることは十分に可能だとのこと。ドレルプ氏は「睡眠と覚醒のサイクルによって、人は活動時間帯が変化していきます」と語り、朝型人間に切り替えるための方法として「数日から数週間にわたって、目覚ましアラームを15分〜20分ずつ早めていき、少しずつ睡眠周期をずらしていく」ことを推奨しています。
また、ドレルプ氏は「就寝の1時間前にはスマートフォンやPCのスクリーンをオフにして、光への露出を制限する」こと、「メラトニンの生成を止めるため、目が覚めたらすぐに光を浴びる」ことも薦めています。
光を浴びると、概日リズムを調整するホルモンであるメラトニンの生成が阻害されるため、概日リズムは大きく変化します。過去にはスマートフォンの光が眠りを妨げ、概日リズムに狂いを生じさせる可能性が指摘されています。
スマホの「夜間モード」は逆効果で眠りを妨げてしまうかもしれない - GIGAZINE
スマートフォンの光によって概日リズムが狂う可能性は2020年に行われたマウス実験で示されています。実験では、スマートフォンのブルーライトを夜中に浴びたネズミの概日リズムに乱れが生じて、メンタルヘルスが著しく悪化したことが確認されました。
夜中にスマホの光を浴びたマウスはうつ病のような症状を見せることが判明 - GIGAZINE
加えて体を動かすことも外部刺激につながるため、朝型人間に切り替えるためには夜に運動しないようにすることも重要。さらに内臓の活動につながる食事を早めに済ませておくことも有効だと、ドレルプ氏は述べています。