新しい生活様式が定着しつつあり、以前より暮らしについて考える機会が増えています。テレワークが増加したことにより、地方への移住希望者や戸建てへの住み替えのニュースも目にするように。

今回、気になる住宅事情について、ESSE読者336人にアンケートを実施。住まいの選び方について聞いてみました。


戸建て、マンション、賃貸? 読者の住宅事情を調査!(※写真はイメージです。以下同)

マイホーム所有率は65%。住まい選びの理由や決め手は?



全国のESSE読者336人(20代〜50歳まで。平均年齢43歳)にアンケートを取ったところ、全体の64%がマイホームを所有していると回答。年代別に見ると20代は26%ですが、30代は67%、40代以上は76%の人が所有。


そして賃貸(社宅含む)に住む人は、20代は63%、30代は29%、40代は21%。その他の回答には、実家住まいや義実家と同居のほか、ご両親の店舗つき住宅に住んでいる、という意見がありました。現在マイホームを計画中、建築中の方は全体で計4%と少数で、年代別に見てもほぼ同様の結果に。

●マイホーム所有者は、戸建てとマンションどっちを選んだ?地域によっても特徴が




<戸建てとマンション、どちらを選びましたか?>
戸建て 75%
マンション 25%
※どちらも新築、中古を含みます


マイホーム所有者に聞いたところ、戸建て75%、マンション25%という結果に。さらに地域別で見ると…。

<戸建てとマンション、どちらを選びましたか? 地域別回答編>
関東地方(107人) 戸建て69%、マンション31%
関西地方(36人) 戸建て60%、マンション40%
北海道・東北地方(15人) 戸建て93%、マンション7%
中部地方(33人) 戸建て94%、マンション6%
中国・四国地方(10人) 戸建て80%、マンション20%
九州地方・沖縄県(13人) 戸建て85%、マンション15%
※どちらも新築、中古を含みます


戸建てかマンションかの回答を地域別に集計したところ、地域によって特徴が見られました。関西地方はマンション住まいの方が多く、関東地方も東京だけで見るとマンション率38%、神奈川・千葉・埼玉の3県では26%という結果になり、より首都圏のマンション住まいの多さが伺えました。

関東&関西以外の地域では、75%以上が戸建てを選択。「土地柄、マンションがほとんどないので戸建ての選択しかない」(長野県・会社員・30歳・注文住宅を具体的に計画中)と、家を選ぶ理由には土地柄も大きく影響しています。

では、具体的に、戸建てとマンション、それぞれ選んだ理由を聞いてみました。

●戸建てを選んだ理由




「自分たちの好みに間取り、デザインをしたかったから」(愛知県・主婦・33歳・注文住宅)

「同じローンを払うなら資産になるほうがいいと思い、土地つきの戸建てを購入しました」(愛知県・主婦・40歳・新築建て売り)

「場所的にそれほど土地が高くないことと、庭でプールやBBQ、家庭菜園をしたいと夫と話をしていた」(群馬県・主婦・38歳・注文住宅)

「子どもが3人は欲しかったので、戸建ての方が部屋数もあるし、庭もある。騒音などで子どもたちに厳しく言わなくてもいいよう、元気に遊び回れる戸建てにしました」(東京都・会社員・32歳・新築建て売り)

「マンションだと狭かったり天井が低めなところが多く、集合住宅の付き合いや上下階への配慮なども面倒だった。また、高層階が怖いので戸建てに」(神奈川県・会社員・36歳・注文住宅)

戸建ての場合は、「生活音を気にしないですむ」「ペットを飼える」「建て替えやリフォームが自分たちの意思でできる」「部屋数やリビングの広さにこだわれる」など、自由に暮らせるメリットを重視する傾向のようです。

●マンションを選んだ理由




「実家は広い庭のある家で草や虫の駆除などが大変だったので、自分の家を買うときは草がなく虫のいないマンションの高層階と決めていた」(神奈川県・アルバイト・36歳・新築マンション)

「将来のことを考え、賃貸や売却するとなったらマンションのほうがいいと思った。またセキュリティや設備面のコスパもよい」(東京都・主婦・31歳・新築マンション)

「戸建て派でしたが、土地柄、細長い3階建てが多く、階段が急な家での生活が想像できなかった」(神奈川県・アルバイト・42歳・新築マンション)

「独身時代に購入したため、資産運用も視野に入れて駅近マンションしか考えていませんでした」(兵庫県・会社員・40歳・新築マンション)

「マンションのほうが住みたいエリアの立地がよい。しかも掃除がしやすく100平米超えの部屋が多かった」(千葉県・会社員・42歳・中古マンション)

「いずれ義実家に住むので値崩れしにくいマンションに。管理面においても戸建ては考えなかった」(埼玉県・アルバイト・38歳・中古マンション)

などの意見が見られました。「最寄りの駅周辺ですべてすむ」(神奈川県・アルバイト・44歳・中古マンション)というように、戸建てに比べて駅近物件が多く、周辺環境や立地のよさがポイントに。ほかにも「将来的に売りやすい」「ワンフロアのため生活導線がスムーズ」「細かい管理は管理会社に任せられる」「トランクルームがあり、ゴミ出しは24時間自由」といった利便性の高さを求める人がマンションを選ぶようです。

皆さんライフプランやメリットデメリットを考慮しながら、どちらが自分たちに合うかを考えて選択しているようでした。

賃貸を選ぶ理由。今後のマイホーム購入計画は?




賃貸住まいの人、実家住まいなどその他と回答した人に、賃貸の理由と今後の予定などを聞いてみました。

●今後家を購入するかは「まだわからない」が45%!



<近い将来、マイホームを購入する予定や考えはありますか?>
はい 22%
いいえ 33%
まだわからない 45%


近い将来、マイホームを購入する予定のある人や、マイホーム購入を考えている人は22%。「いいえ」「まだわからない」を合わせると78%の人が今すぐの購入は考えていないよう。

理由を聞いてみると、約20%が転勤族の様子。夫の転勤により住む土地が定まらないため簡単には購入に踏み切れないという意見が多く見られました。

そのほか、「社宅住まいで家賃補助があり、住宅購入よりも老後に暮らす施設について考えている」「将来的に実家で同居の予定がある」「地震や災害などを考えるとマイホームを持つことを考えてしまう」「お金が貯まらない」「年齢的に購入を諦めた」といった意見もありました。

●現在「購入予定あり」と答えた人はどんな理由で踏み切った?




「今は賃貸だが、住宅購入の予定がある」と答えた人の中で、現在マイホームを建築中の人に話を聞いてみました。

【その1】コロナ禍で発生した騒音トラブルをきっかけにマイホームを購入

滋賀県在住、賃貸アパートにお住まいのAさん(アルバイト・40歳)は、緊急事態宣言中に2人の子ども(12歳・9歳)が通う学校が休校に。ご自身も在宅勤務になり、階下の住人との間で騒音トラブルが起こったそう。

「休校中+在宅勤務のわが家と、下階の在宅勤務のご夫婦との間で騒音問題が発生。一度は解決したかに見えたのですが、下階の奥様はこちらの小さな生活音まで気になる様子。大きな音を出して抗議されるようになり、最終的には直接自宅に来られて苦情を言われることに…。とりあえず収拾はついたものの、このままでは自宅にいても落ち着けないので、家を探し始めました」

その後、お子さんの学区内で土地を探し、注文住宅で家づくりを開始。2021年8月に引き渡し予定だそう。Aさんの新しいお家は大きな道路から少し入ったところにあり、家の周りで安心して子どもが遊べる環境のようです。

【その2】きっかけは夫の年齢と妊娠。ローン返済を考えるとタイミングは今

じつはライターの私(熊本県在住・38歳)も、最近マイホーム購入に踏み切ったうちのひとりです。夫(40歳)の年齢に加え、第1子を妊娠したこともあって決断しました。

夫(40歳)から住宅購入について打診があったのは2020年5月頃。それまでは夫婦ともに「いずれそのうちに…」くらいにしか考えていませんでしたが、2019年に私の兄が家を購入し、そのとき兄は44歳。35年ローンを79歳まで払うと聞いて、急に現実味をおびたのでしょう。住宅ローンを逆算すると、自分が40歳になる今がタイミングだと思ったようです。マンションや分譲建て売り戸建てなどいくつか見学し、最終的には注文住宅を選択。2021年6月頃に完成予定です。

また、夫の友人たちも40歳を機に住宅購入に動き始めたそう。子どもの成長など今後のライフプランを考えたときに、年齢がひとつの区切りになったようです。また年齢に加え、コロナ禍で今後がどうなるかわからないからこそ今、いう意見も。

アンケート結果を見ると、マイホームを購入した人もそうでない人も、いろいろな局面で悩みながら住まいについて考えているのだと感じます。働き方やライフステージの変化に合わせて、その都度「住み方」の見直しをすることも大切なのかもしれません。

<取材・文/松野久美>