コペンハーゲン大学に収蔵されているパピルスの中から、紀元前1450年頃に書かれた世界最古の「ミイラ製造マニュアル」が発見されました。これまでに発見された同種のマニュアルには見られなかった内容として、「顔の防腐処理方法」の方法が記されていることが判明しています。

Ancient Egyptian manual reveals new details about mummification - University of Copenhagen

https://news.ku.dk/all_news/2021/02/ancient-egyptian-manual-reveals-new-details-about-mummification/

Ancient papyrus holds the world’s oldest guide to mummification | Live Science

https://www.livescience.com/earliest-mummification-manual.html

問題のパピルスは「Papyrus Louvre-Carlsberg(ルーブル・カールスバーグパピルス)」と呼ばれるパピルス。このパピルスは2つに分割された状態でコレクターに保有されており、そのうち1つはルーブル美術館に購入され、もう1つはカールスバーグ財団の出資のもとコペンハーゲン大学に購入されたという経緯からこの名が付きました。この2つが元々1つのパピルスだったと判明したのは2018年のことです。

このパピルスの全長は約6メートルほどで、表裏両面にハーブの用法解説と皮膚病の治療法などの医学的内容が書かれています。これまで発見された医学的内容を記した古代エジプトのパピルスの中で、2番目に長いものだとみられていますが、保存状態が悪いため、研究は高解像度画像を使って進められています。

コペンハーゲン大学のSofie Schiødt氏が新たに発見したのは、ルーブル・カールスバーグパピルスに「エンバーミング(遺体の防腐・修復処置)」の方法まで書かれているということ。これまでに出土したミイラの製造マニュアルはわずか2本と希少な上に、ルーブル・カールスバーグパピルスは他のミイラ製造マニュアルよりも1000年以上も前の紀元前1450年頃に書かれたとみられています。

公開されたルーブル・カールスバーグパピルスのエンバーミング方法は以下の通り。なお、あまりにも基本的な処理については書かれていなかったため、Schiødt氏が独自に補った部分もあります。

・エンバーミングは墓所の近くの専用施設で行う。35日の乾燥期間と、35日の包帯を巻く期間の計70日間続く。

・遺体の洗浄、内臓と脳の除去、目の圧砕などを3日間行った後、遺体の内外を優れた乾燥特性を有する塩の一種であるナトロンで処理する。

・35日経過後、遺体の中に芳香剤を詰めつつ包帯で巻く。植物由来の芳香物質と粘結剤を調理して液状化させたものを染みこませた「赤いリネン」を遺体の顔に当てる。赤いリネンは4日ごとに取り換える。

・全期間におけるエンバーミング処理は、4日ごとに進める。処理を行わない日は、害虫を避けるためにアロマオイルを注入した藁で遺体を覆う。68日目でミイラ自体は完成し、残りの数日は死後の世界で故人が生き返るための儀式に費やされる。

以上のエンバーミング方法の多くは既知のものでしたが、「赤いリネン」に関連する記述は今回初めて発見されたものとのこと。これまでには顔が布と樹脂で覆われたミイラも出土していることから、Schiødt氏は「今回の記述と合致します」と述べています。

今回の発見などを含むSchiødt氏の博士論文は、2022年に発表される予定です。