ARCADE1UPの改造、今回はサウンド周りです。ARCADE1UPのギャラガは音量がOFF・小・大の3段階しか選べず、かなり大雑把。横からプレイを見ている間ももう少し細かく調整できればいいのにと思いました。音質もイマイチ……。

サウンドの改善手段としては、手っ取り早くサウンドバーを外付けで導入することに。AINEXのASP-SB02(実勢価格:2,200円前後)です。この製品を選んだ理由は、ARCADE1UPの天板の幅にぴったり収まる絶妙なサイズであること。さらに、ヘッドホン端子も備えていて、夜中でも心置きなくプレイできるようになるはず……とのことでした。

ARCADE1UP本体の天面にサウンドバーを増設。一見すると標準装備のような収まりの良さ


正直、ジョイスティックレバーとボタンのガチャガチャ音も、夜中なら「すぐに止めなさい」と注意するレベルでうるさいのですが、ここではあえて言わないことにします……。

外部スピーカーとして使用するサウンドバー「AINEX ASP-SB02」(今回、マイク端子は使いません)


右側端に電源ボタン、ヘッドホン端子、マイク端子、ボリュームなどがまとまって配置されています。なお、ヘッドホンのアイコンが付いていますが、実際はラインアウト端子なので、サウンドバーのボリュームを操作しても音量の変更はできません。音量は筐体側のボリュームスイッチでOFF・小・大の3段階で切り替えることになります。32Ωのヘッドホンの場合、大で適正音量と感じました


設置方法はシンプルかつ強引。天板部分に両面テープで固定しました。サウンドバーにはスポンジ製の脚が付属しており、これをカットすれば設置角度も変えられます


このサウンドバーはUSBバスパワーで動作するので、手元にあったUSB給電機能付きの電源タップを使いました。ARCADE1UPの本体内部はスッカスカなので、大きめの電源タップも余裕で入ります。ARCADE1UPの裏ぶたを閉めれば、本体からは電源コードが1本だけ出ているように見えるはず。

USB給電機能付きの電源タップをARCADE1UPの内部に格納。USB給電ポートにサウンドバーの電源(USB)ケーブルを接続します。夫いわく、サーという感じでノイズが入るような場合は、モバイルバッテリーから給電すると改善することがあるとのことでした


次は配線です。ARCADE1UPの内蔵スピーカーから音声入力を外して、外部音声出力できるようにします。汎用的な3.5mmミニジャック端子に付け替えました。

今回用意した3.5mmミニジャック端子(メス)


コントロールユニットにあるスピーカーから配線を切り離します。写真はハンダを溶かしているところですが、ハサミでパチンと切ってもOK


内蔵スピーカーから切り離したリード線に3.5mmミニジャック端子(メス)を取り付けたところ。あとは、サウンドバーの3,5mmミニジャック端子(オス)を差し込むだけ


あとは、追加した3,5mmミニジャック端子(メス)に、サウンドバー側の3,5mmミニジャック端子(オス)を接続すれば終了。コンパネに配置されたモノラルスピーカーに代わって、ARCADE1UP天面に取り付けたサウンドバーから音が出るようになりました。

音質は格段に向上し、ボリュームをリニアに変えて好みの音量でプレイできます。正直、私としては時間をかけた操作系のカスタマイズより、サウンドバー増設のほうをかなり気に入りました。

しかし夫としてはまだ満足していない様子。中〜高音域はとてもよくなったけど低音が弱めなのでもう少し出てほしいと。また、ヘッドホン端子が右側なのも改善点とのこと。イヤホンは問題ないけれど、有線ヘッドホンのケーブルは左イヤーカップにつながっているのが標準的。プレイ中にヘッドホンケーブルがジャマにならないようにするには、ケーブルを背中に回す必要があるそうです(3.5mmミニジャックの延長ケーブルを使うと手軽に解決できます)。人のこだわりというのは聞くまではわからないものですね。

ヘッドホンをつけてテストプレイ。ヘッドホンのオーディオケーブルが目の前を横切っています。ケーブルが短いと背中に回せないのでジャマですって


さて、ARCADE1UP「ギャラガ」の改造はここで一区切り。私的にはかなり手を加えたと感じていたのですが、夫的には「これは序章」だそう。ギャラクシアンとギャラガを堪能したのちは、パソコンや各種ゲーム機を接続できる汎用筐体へとさらに深めていく予定とのこと。ええ、わかってましたよ私は。だって買い集めた部品の一割(?)も使っていないんですから……。

○誰かのためのゲームトリビア:その3

2つのオーディオ機器をつなぐときに注意したい、抵抗値(インピーダンス)。

アナログの音声信号をオーディオ機器間で送受信するとき、気を配っておきたいのがインピーダンスです。インピーダンスの単位はΩ(オーム)で、出力を示すW(ワット)とともに表記されます。簡単にいうと、電流の流れやすさです。出力機器では出力できる音声信号の大きさを知る目安、入力機器では入力できる音声信号の大きさを知る目安と考えればよいでしょう。出力機器と入力機器の間でインピーダンスに大きな差があると、以下のような影響が出ることがあります。

■入力側の機器でインピーダンスが極端に高い場合

一部のヘッドホンは、数百Ωという大きなインピーダンスを持っています。このような機器だと、出力側のボリュームを最大にしても、入力機器を駆動させるパワーが不足して音量が十分に上がらない可能性があります。

■出力側の機器でインピーダンスが極端に高い場合

入力機器に対して、許容範囲以上の強い電流が流れ込む可能性があり、スピーカーを破損させたり、電気回路の故障を招いたりすることがあります。

こうした理由から、入力側には出力側と同じかそれ以上のインピーダンス値を持った機器を接続すること(ロー出しハイ受け)が基本です。

今回のARCADE1UP改造でのケースをスピーカー仕様から見てみましょう。標準のスピーカーは8Ω5W。増設したサウンドバーは4Ω5W(2.5W+2.5W)です。アンプを内蔵するサウンドバーは、ライン出力といった低い信号レベルの入力を想定していることがわかります。ここだけ見ると、インピーダンスのマッチングが取れない可能性も考えられます。

ARCADE1UPのコントロールパネルについているスピーカー。「8Ω5W」と明記されていました


次に、基板上のオーディオアンプの型番から仕様を調べて、出力インピーダンス値を明らかにしてみます。ARCADE1UPのギャラガ基板を見ると、Shenzhen Nsiway Tech製の「NS4165」というモノラルオーディオアンプが搭載されていました。

ギャラガの基板。ゲーム用の回路、サウンドを含めた入出力周りの回路、液晶パネルのドライブ回路、すべてを1枚の小さなボードに集約。オーディオアンプ「NS4165」もここに搭載されています


メーカーのサイトからデータシートをダウンロードして詳細仕様を確認します。すると、NS4165は4Ω時に3.2W、2Ω時に5Wの最大出力と記載されていました。アンプの仕様から見ると、8Ω5Wの標準スピーカーから、4Ω5Wのサウンドバーに取り替えても、インピーダンスのマッチングには問題ありません。

ARCADE1UPは改造によって保証がなくなります。改造は自己責任において行ってください。

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