船などの「ハッチ」に見立てて名付けられた

「ハッチバック」という言葉をよく耳にするが、具体的にはどのようなクルマを指すのだろうか? この記事ではハッチバックの意味や語源、メリット・デメリット、またおすすめの車種などを紹介したい。

■ハッチバックとは?

 ハッチバックとは、跳ね上げ式、または横開き式のバックドアを持つ車種を指す。通常の乗降用ドアはヒンジがほぼ垂直であるに対し、跳ね上げ式では水平、横開き式でも寝かされた角度となることから、そのようすを船などのハッチに見立てたことがこの名称の由来だ。しかし実際には、このようなバックドアの形状を持つクルマはミニバン、SUV、トールワゴンなど多岐にわたるため、セダンやクーペと同等の全高が低い車種のバックドア版を指すのが一般的。トヨタのリフトバック、日産のオープンバック、三菱やアウディのスポーツバックなど、各メーカーに異なる呼称も存在する。またハッチバック車をベースに高出力エンジンの搭載やスポーツ走行に適したセッティングを施すことにより、スポーティに仕上げたクルマを「ホットハッチ」と呼ぶことがある。

■ハッチバックの特徴とメリット

 ハッチバックは人が乗るスペースと荷室が別れていないため、走行中であってもラゲッジからの荷物の出し入れを行うことができる。後部座席を倒すことができ、フルフラットにできるモデルもあるため、大容量、また長尺物の荷物を積むのにも適している。車種によっては車中泊をすることも可能だ。

■ハッチバックのデメリット

 後席に乗員が乗るとその分ラゲッジが狭くなるため、ハッチバック型のコンパクトモデルなどを選ぶ際はとくに注意したい。また跳ね上げ式の場合、荷室の開閉の際、後方にスペースが必要となる場合がある。セダンなどと比べると、タイヤハウスの騒音や振動が室内に入りやすい構造であることもデメリットとして挙げられる。

■こんな人にハッチバックがおすすめ

 積載性に優れるため、買い物をすることが多い人や、週末にまとめて買い物をする人におすすめできる。またボディの小さいクルマも多数ラインアップされているため、荷物を積みたいが大きなクルマを運転するのが不安といった人に適した選択肢も豊富だ。フルフラットにできるモデルやシートアレンジのきくモデルも多いため、アウトドア、スポーツなどが趣味の人にも適しているといえる。またホットハッチなどと呼ばれるような、スポーティなモデルもラインアップされているため、走りを楽しみたいが荷物を積む必要がある、日常使いと趣味のクルマを両立させたいといった人にもおすすめだ。

■編集部が厳選! おすすめのハッチバック

 最後におすすめの車種を国産車、輸入車からそれぞれピックアップしてみたい。

国産ハッチバック

1)トヨタ・カローラスポーツ

 2018年にフルモデルチェンジして登場したカローラのハッチバックモデル。ガソリンとハイブリッドをラインアップし、ガソリンモデルはFFと4WD、CVTと、6速MTから選択が可能だ。ハイブリッドモデルは1.8リッターエンジンにモーターを組み合わせ、WLTCモード燃費は25.6〜30.0km/Lとなっている。ガソリンモデルは1.2リッターのターボエンジンを搭載し、WLTCモード燃費は15.8〜16.4km/L。最高出力116馬力、最大トルク185N・mを発揮する。ボディサイズは全長4375mm×全福1790mm×全高1460-1490mm。シンプルでありながらワイド&ローを強調したスタイリッシュなエクステリアや、スポーティかつ上質なインテリアを採用。車載通信機DCMを全車に標準搭載しT-Connectサービスが3年間無料で提供されるほか、事故や急病時にオペレーターが対応する「ヘルプネット」や警告灯点灯時、車両から発信される情報をもとにコールセンターや販売店から適切なアドバイスを受けることが可能な「eケア走行アドバイス」、スマホアプリから目的地登録できる「LINEマイカーアカウント」など最近のコネクティッドサービスの利用が可能だ。価格は216万9000〜284万1000円(税込)。万が一の事故や急病、故障に役立つ機能から、レジャーなどの際に役立つ機能、スマートフォンと連動した機能まで装備するため、幅広い世代で使用する家族などにおすすめだ。

2)スズキ・スイフトスポーツ

 スポーティな走りに定評のあるホットハッチ、スズキ・スイフトスポーツ。駆動方式はFFで6速ATと6速MTから選択が可能だ。エンジンは1.4リッター直列4気筒ターボを採用。最高出力140馬力、最大トルク230N・mを発揮する。ボディサイズは全長3890mm×全福1735 mm×全高1500mm。車両重量は先代からじつに70kgの軽量化を施し、6速MTが970kg 、6速ATが990kgとなっている。軽量高剛性の新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」の採用はクルマの基本性能である「走る、曲がる、止まる」を高め、 俊敏な走りに寄与。また新開発サスペンションにより高い動力性能とハンドリング性能を実現している。スポーティなフォルムは見た目のみならず、高い空力性能を発揮。車線逸脱抑制機能をはじめ、単眼カメラとレーザーレーダーで前方の歩行者やクルマを検知して衝突時の被害を軽減する「デュアルセンサーブレーキサポート(DSBS)」をメーカーオプション設定し、安全装備も充実させている。WLTCモード燃費は16.6〜17.06m/L。価格は187万4400〜220万7700円(税込)だ。ハッチバックの機能を求める一方で、クルマの走りを楽しみたい人といった人におすすめできる。

輸入車ハッチバック

1)アウディA1 Sportback

 全長4040 -4045mm×全幅1740mm×全高1435mmと、ボディサイズこそアウディのラインアップでもっとも小さいものの、ワンランク上のモデルを好む人をターゲットに作ったというプレミアムなハッチバックモデルだ。上質なデザインや広く快適な居住空間を持つ。最高出力150馬力、最大トルク250N・mを発生する1.5リッター直列4気筒直噴ターボエンジン搭載モデルと、最高出力95馬力、最大トルク175N・mを発生する1リッター直列3気筒直噴ターボエンジン搭載モデルを用意。幅が広く低い位置にあるシングルフレームグリル、ボンネット上の3つのスリット、そしてワイドなCピラーはアウディスポーツクワトロのオマージュだ。ヘッドライトのハイビーム、ロービーム、ポジショニングライト、ターンインジケーター、リヤコンビネーションライトすべてにLEDを採用し、スポーティな印象。インテリアについても「コンパクトクラスでもっともスポーティな内装」を目指してデザインされたという。WLTCモード燃費は15.2〜15..6km/L。価格は294万〜395万円(税込)。コンパクトなモデルで高級感を味わいたいという人におすすめだ。

2)ルノー・トゥインゴ

 コンパクトなボディにイタリア車らしいデザインが可愛らしいルノー・トゥインゴ。ボディサイズは全長3645mm×全幅1650mm×全高1545mm。ほとんどのコンパクトカーがFFを採用するなか、RRを採用するのもこのクルマの特徴のひとつ。広いキャビンと高い小回り性能を実現し、最小回転半径は軽自動車並みの4.3mとなっている。0.9リッターターボ3気筒エンジンに電子制御6速AT(6EDC)トランスミッションを組み合わせるモデルと、1リッタエンジンに5速MTを組み合わせるモデルをラインアップ。CシェイプのフロントLEDランプとウインカーが、愛らしい印象だ。リアハッチは全面ガラスとなっている。ボディカラーはジョン・マンゴー(黄色)、ルージュ フラム M(深みのある赤)、ヴェール ピスタッシュ(淡い緑)、ブルー ドラジェ(水色)、ブラン クリスタル(白)といったフランスの伝統と現代のトレンドを融合した5色を用意。WLTCモード燃費は17.4〜19..3km/Lだ。価格は181万5000〜213万5000円(税込)だ。オシャレで可愛らしいデザインや取り回しの良さを求める人におすすめ。

■記事まとめ

 メリット多数でさまざまなキャラクターの車種をラインアップするハッチバック。選択肢が多いだけに、クルマの購入を検討している人はぜひ注目してみてほしい。