なぜ発売半年後に販売増? スズキ「ハスラー」コロナ禍以降に好調だった理由とは

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2代目ハスラー登場から1年。なぜ販売半年後から好調になった?

 スズキの2代目となる現行「ハスラー」は、2020年1月20日に発売されました。ハスラーとしては初のフルモデルチェンジとなるものの、外観デザインはキープコンセプトとなりましたが、発売から1年ではどのような変化があったのでしょうか。

日常使いからアウトドアまで色々使えるハスラー

 ハスラーの年間販売台数は、2019年は5万7840台で軽自動車9位、2020年は8万114台で6位とフルモデルチェンジの効果が出ているといえます。

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 しかし、2020年は日本全体で新型コロナウイルス感染症の影響を受けましたが、ハスラーの販売面にはどのように現われたのでしょうか。

 元々、初代ハスラーは2014年1月に軽ワゴンタイプの乗用車とSUV(スポーツ用多目的車)を融合させた、新しいジャンルの「軽SUV」ともいえるモデルとして発売されました。

 初代ハスラーは、広い室内空間と軽自動車に求められる日常での使いやすさに加え、アウトドアやスポーツなどのレジャーや、わだちや雪道など起伏のある路面を走行する機会がユーザーに向けた「アクティブなライフスタイルに似合う軽クロスオーバー」をコンセプトに開発。

 当時、スズキは「日常からレジャーまでしっかり使えて楽しめる、いままでにない新ジャンルの軽自動車として、お客さまのライフスタイルに合わせた幅広いニーズにお応えするとともに、軽自動車の新しい市場を開拓する」と説明していました。

 丸目ヘッドライトの可愛らしさとアクティブなスタイルというギャップが支持されたことで、ユーザーから高い評価を受けたのです。
 
 そして、2代目ハスラーは2019年10月に開催された「東京モーターショー2019」にて、初代ハスラーを継承したコンセプトモデルをお披露目しました。

 お披露目された際には、それまでの既存ユーザーや高まりつつあったアウトドアや車中泊を好むユーザーから関心を集めていたのです。

 その後、2019年12月上旬から先行予約が開始され、同月24日に正式発表、2020年1月20日に正式発売という流れで登場しました。
 
 発売後の各月届け出台数では、1月5534台(前年比100.3%)、2月5809台(105.9%)となり、正式発売後の時点では納期が3か月から4か月待ちとなっていたこともあり、前年比同等という台数です。

 発売当初の状況について、首都圏のスズキ販売店スタッフは、次のように話しています。

ハスラーが2020年1月にフルモデルチェンジを受けた際には、新車効果やコロナ禍前ということもあり、販売店には多くのお客さまが来店されました。

 通常は納車まで1か月程度で済むことが多いですが、発売当時では色や装備によって3か月待ちとなっていました」

 その後、3月1万372台(129.8%)と前年比を大きく上回りましたが、4月には緊急事態宣言に伴う生産調整や一定期間の工場停止などの影響もあり、4月4294台(89.5%)、5月3529台(80.8%)となり、初代ハスラーの前年比と比べて落ち込みを見せていました。

 しかし、緊急事態宣言が明けた6月7875台(205.9%)、7月8831台(217.2%)、8月6384台(198%)と、緊急事態宣言中の分も上乗せされる形で前年比200%超えを記録。

 その後、新車効果が落ち着いてくる発売から半年後でも、9月7757台(112.3%)、10月6536台(140.8%)、11月6579台(133.6%)、12月6614台(151.5%)となりました。

 なお、初代ハスラーのオーダーストップ時期は定かでは無いですが、従来発売前の半年から3か月前には生産体制を刷新するために、オーダーストップをおこなうことから、9月以降の台数はそれを加味したことで、前年比130%と高い推移になっていると考えられます。

 現在までの反響について、地方部のスズキの販売店スタッフは、以下のように話します。

「フルモデルチェンジをおこなった現行モデルは、従来のモデルを進化させたというよりは、スズキの最新の開発技術を詰め込んだ、一新されたクルマとなっています。

 従来モデルにはなかった、力強く走行できるターボエンジンの搭載や、メーカーオプションによってスズキ専用のナビゲーションを取り付けることが可能となっており、若い世代から高い年齢層まで幅広い世代に選ばれるモデルとなっています。

 とくに、デザインが従来に比べ角ばった四角いデザインになったことで、広々とした空間になっており、シートレイアウトもさまざまな使い方ができる点は大変好評です。

 ハスラーは街乗りだけではなく、キャンプやスキーなど、遠出する際にも支持されているので、アウトドアをする人からも購入される傾向にあります。

 2020年6月以降は、緊急事態宣言後ということと、ダイハツからハスラーと似たようなパッケージの『タフト』が登場したことで発売から半年後のタイミングにもかかわらずハスラーへの関心が再び高まったためか、販売が好調でした」

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 日本の新車市場において、約4割のシェアを誇る軽自動車。そのなかでも、ハスラーは、ハイトワゴンゆえの「室内空間の広さ」、最近のトレンドとなる「アウトドア」や「車中泊」、アパレル業界でも注目される「ギア感」といった要素がハスラーでは上手くマッチされているようです。

 なお、フルモデルチェンジしたハスラーの月間販売目標台数は6000台でしたが、前述の各月台数では2020年の上半期は納車時期や緊急事態宣言により下回るものの、6月以降の下半期では目標台数を上回る結果となりました。

2代目ハスラー、ユーザーの反応はどう?

 ハスラーが好調な要因として、初代モデルから好評の丸目のヘッドライトと、特徴的なグリル、そしてSUVらしい力強さを前面に出したデザインを踏襲しているところが人気継続のひとつといえます。

 ですが2代目モデルは、初代よりかなり四角さを強調させたことに加え、フェンダーには黒い幅広の樹脂を装着させたことにより、先代の愛らしい姿からワイルド感あるデザインに変化しています。

 とくにエンジンフードを高くしたため、フロントの顔が大きく強調され、迫力さやタフさも強調されているほか最低地上高が180mmというミドルサイズSUV並みという部分もアクティブなユーザーには好まれる要因かもしれません。

 また、室内ではフルフラットにすることが可能な豊富なシートアレンジが採用されており、マットや寝袋を敷いて車中泊を可能とするほか、サーフボードなどの長物も積載できます。

 さらに、後部座席にリクライニング機構を設けるほか、シートには撥水加工され、水に強くそして汚れにも強いことも魅力の部分です。

内装デザインは「ギア感」をイメージ。遊び心や使い勝手が考えられている。

 さまざまな要素によって売れている2代目ハスラーですが、ユーザーからどのような反響があるのでしょうか。

 外装デザインについては、「パッと見て先代と変わらないように見えるけど、結構進化して気に入っている」、「先代はフロントの真ん中にシルバー調の加飾があったけど、新型では無くなってボディと同色になったので顔が引き締まっていい感じ」と概ね好評のようです。

 ただし、なかには「フルモデルチェンジなのによく見ないと変わってないのは、せっかく買うので少し物足りない」という声もあるようです。

 また、内装に関しては「オレンジのアクセントがいい感じ」「アウトドア感があって使い勝手も良く良いと思う」「先代はプラスチック感満載だけど、新型はゴツゴツした樹脂が良い」と好評だといえます。

 シートアレンジについては、「リアシートのスライドが荷室からでもストラップで可能になっており利便性がとても良い」「フルフラットは段差も出来ず防水で釣りや車中泊に向いているし、荷室にはシガーソケット完備。素晴らしい」といったように、用途によってさまざまな使い方ができるシートアレンジもユーザーには良い意見が多く見られました。

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 2代目ハスラーは、2020年1月に登場してコロナ禍の最中でもそのパッケージの良さから好調な販売を見せてきました。

 2年目となる2021年にはどのような動向を見せるのか、軽SUVの先駆者に注目です。