自転車にも電動原付にもなるglafitの「ハイブリッドバイク」がフルモデルチェンジしました。全体のパフォーマンスを向上させ、コネクテッド技術も搭載。しかし発売日が明かされなかったのは、世界的な動きが関係しているそうです。

5000人のユーザーの声を取り入れ進化

 電動モビリティを手掛けるグラフィット(glafit、和歌山市)が、折り畳めて自転車にも電動バイクにもなる「ハイブリッドバイク」の新作発表を2020年11月25日(水)に行いました。形式名は「GFR-02」で、既存の「GFR-01」のフルモデルチェンジ版です。

 前モデルのGFR-01は2017年5月、クラウドファンディングサイト「Makuake」にて発売。応援購入総額1億2800万円を超え、当時のクラウドファンディングにおける支援販売額の日本記録を樹立しました。原付1種(50cc未満相当)に合致する保安部品を完備しており、ナンバーを取得し公道走行が可能です。

 それから3年、5000人いるというユーザーの声を取り入れ、GFR-02は主に次のようにパフォーマンスを向上させています。


GFR-02の走行イメージ(画像:glafit)。

・デザインおよび保安部品を全面刷新:ヘッドライトはより明るく、ブレーキランプなども形状変更のうえ明るさアップ。サイドミラーも形状を変更し視認性を向上、かつ可倒式に(特許出願中)。

・出力アップ、漕ぎやすさ改善:ユーザーの声で最も大きかった「登坂時の出力が弱い」を改善するため最大出力を25%アップ。またクランクリングを大型化し、自転車モードのスピードも改善。ペダルにはアシスト自転車などで見られる踏力感知式を採用。

・折り畳み機構の改善:従来は折り畳み自転車と同じ機構だったが、「自転車のようで自転車ではなく、原付である」(グラフィット 鳴海禎造社長)ことを意識して変更。折り畳み時には自立し、輪行も容易に。

・指紋認証で解錠する「ユビロック」改善:認証精度を向上させ、指を置くだけで解錠するように。

・バッテリーパックにBMU搭載、アプリ連動:パナソニックのサービスに適合するBMU(Battery Management Unit)をバッテリーパック内に搭載。クラウド経由で電池状況を監視し、スマートフォンの専用アプリを介して正確な電池残量を表示。予期しない「電欠」を防止する。

新規搭載のコネクテッド技術、見据える先は?

 今回の記者発表でパナソニックの担当も交えて説明されたのが、バッテリーパックへのBMU搭載です。AI(人工知能)により高い精度で電池状態が推定され、グラフィットとパナソニックのサーバーを経由しクラウドで全車の電池状態が把握されるといいます。

 これにより、たとえば劣化したバッテリーの交換時期を適切に案内できるようになるほか、地図データなど外部のデータを活用することで、いまの電池残で走行可能な範囲を、道路形状や高低差を考慮して推定したり、最適な移動経路まで提案したりできるとのこと。さらに将来的な機能拡張が可能で、シェアリングサービスの展開なども見越しているそうです。

 またGFR-02は、2021年夏をめどに発売を予定しているモビリティカテゴリーチェンジャー、略して「モビチェン」を後付け可能だといいます。これは、車体の「法律上の区分を変える」という装置です。

 GFRシリーズのような電動バイクは、たとえ電源オフで走ったとしても、「原付」として扱われ、自転車レーンなども走れません。そこでグラフィットは国の制度を活用し、警察庁から「バイクの電源をOFFにし、ナンバープレートを覆った時は道路交通法上、普通自転車として扱う」という認可を得ました。モビチェンはそのために、ナンバープレートを隠す装置であり、上記の措置は現時点でグラフィットのみに認められています。


カラーは4種類(画像:glafit)。

 このように様々な機能拡張も可能なGFR-02、本体価格は税別で18万円だということですが、発売日については明かされませんでした。というのも、新型コロナウイルスの流行以降、こうしたパーソナルモビリティの需要が世界で急速に拡大し、部材生産が追い付いていないからだそう。今後、できるだけ早く予約販売を開始する予定だといいます。