主星をもたない自由浮遊惑星、恒星より多い可能性も 米大学の研究
惑星系の外で銀河を直接公転する自由浮遊惑星。米オハイオ州立大学は21日、自由浮遊惑星が恒星の数を上回る可能性があると発表した。
【こちらも】NASA、「ハッブル望遠鏡の母」の名を宇宙望遠鏡に ローマン宇宙望遠鏡
■惑星系の外へ追いやられた自由浮遊惑星
自由浮遊惑星の形成過程については謎が多い。地球や火星等の惑星は太陽の周りを公転している。太陽などの恒星が成熟する前の姿が、原始惑星系円盤だ。若い恒星の周りをガスや塵からなる円盤が取り囲み、この円盤から惑星が誕生したと考えられている。惑星の多くが主星である恒星の重力に拘束され公転運動を続ける一方、ほかの惑星や、別の惑星系にある恒星の重力により主星から惑星が弾き飛ばされる可能性がある。これが自由浮遊惑星になると考えられている。また恒星の形成同様に、渦巻く塵やガスから直接自由浮遊惑星が形成されたとも考えられるという。
米オハイオ州立大学の研究者らから構成されるグループは、自由浮遊惑星の探索を計画中だ。これらの惑星発見のために使用されるのが、米航空宇宙局(NASA)が2020年代半ばに打ち上げ予定の広視野赤外線宇宙望遠鏡「ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡」だ。
自由浮遊惑星に限らず、太陽系外惑星の探索は1990年代から行われていた。我々の住む天の川銀河内でさえ何千億個存在するとされる恒星よりも、惑星の数が多いことが示唆されている。研究グループはローマン宇宙望遠鏡を使い、惑星の分布をより深く理解しようと試みている。
■自由浮遊惑星発見に寄与する未来の宇宙望遠鏡
自由浮遊惑星の発見に用いられるのが、マイクロレンズ効果だ。ブラックホールや銀河など、巨大な天体の重力により光の進路が曲がる重力レンズ効果は、独物理学者アインシュタインが提唱した一般相対性理論から導かれる帰結のひとつだ。これと同様に、自由浮遊惑星でも重力によって、背後にある恒星からの光の明るさを変えることがあるという。マイクロレンズ効果と呼ばれるが、発生する確率が低いため検出は難しいという。
ローマン宇宙望遠鏡の目的のひとつが、マイクロレンズ効果によって惑星を発見することだ。地球上の望遠鏡の10倍以上となる感度でマイクロレンズ効果の検出が可能になるという。2万4000光年彼方の天の川銀河の中心と太陽との間にある惑星の検出がターゲットになる。研究グループでは、火星サイズの自由浮遊惑星の検出が可能になると推定している。
研究の詳細は、Astronomical Journalに21日付で掲載されている。