二宮和也 嵐の活動に加えて、自然ながら役柄の印象をはっきりと残す演技で役者としても存在感示す
「悪い奴なんだと思います」 日曜劇場「ブラックペアン」舞台挨拶で飛び出した自虐的なコメント
6月17日に37歳の誕生日を迎えた嵐の二宮和也。誰もが知るアイドルグループのメンバーの活動に加えて、俳優にバラエティ番組と幅広く活躍中だ。
2001年放送のドラマ「ハンドク」(TBS系)で、二宮は、主演の長瀬智也演じる狭間一番の、チーマー時代の舎弟・ノブを演じた。「4号線鬼殺しのノブ」の異名をとる一目置かれた存在だ。長瀬と並ぶことでより華奢にみえたこと、黒髪と金髪の混ざり具合、猫背気味で歩く後ろ姿に、いかにもなチーマー・舎弟感。おちゃらけた顔、悪そうな顔と、コロコロと変わる表情にノブの危うさが出ていた。
テレビドラマ出演が多いイメージだが、近年は映画出演も増えた。2006年には映画「硫黄島からの手紙」でハリウッド作品デビュー。2016年には映画「母と暮らせば」で、第39回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞、第89回キネマ旬報ベスト・テン主演男優賞を受賞した。授賞式では、セリフは録音を聞きながら覚えていたと二宮。「映画には数えるほどしか出演したことがなくて、たぶん観る時間のほうが長い」と語り、俳優として映画にカムバックしたいと宣言した。
2019年は、木村拓哉との意外な(?)共演で注目された、映画「検察側の罪人」。ここでも第43回報知映画賞助演男優賞を受賞と、出演に加えて受賞歴も増えている。
年齢、役柄、時代、ファンタジーと設定を踏まえて、物語に溶け込むように演技をする二宮。存在感は確かにあるのに、不思議と役柄の印象がはっきりと残る。
2018年放送の日曜劇場「ブラックペアン」(TBS系列)のプレミアム試写会&舞台挨拶でのこと。主演の二宮をはじめ、竹内涼真、葵わかな、内野聖陽ら共演者が登壇し、撮影の裏話などを明かした。二宮演じる渡海と対立する医師・高階を演じた小泉孝太郎が「台本に書いていない一言をグサッと刺してくるんですが、そのセンスが素晴らしい」と褒めたところ、「だから、悪い奴なんだと思います。そういうのがぽんぽん思い浮かぶから悪い奴なんだと思います」。自虐的にコメントしていた。
「俺はここまで怒れる人なんだ」 映画「検察側の罪人」で新発見
また、6月14日放送のラジオ番組「BAY STORM」(bayfm)でも、映画「検察側の罪人」での激しく迫るシーンについて語った。「取調べするときに激おこになるんですよ。で、あの激おこを見た人が、『怒るときってあんなに怒るんだ』『リアルであんなに怒られたらちょっと引くよね』って。『でもリアルでやってないと、あそこまで出ないよね』って(と言われた)。リアルであんなことやったら、もうホントに……隣の家から通報がいくと思う」。普段は怒ることがほぼなく、たとえ怒ったとしてもテンションが低いという。
続けて、「でも、あそこまで激おこできるんだなって、自分もやっていて思いましたよ。あ! 俺はここまで怒れる人なんだ。あそこまで怒れる人だったんだとは、新発見だったな」。語り口調も最後の方は声が明るくなっていた。
これまでいくつもの作品に出演して、キャリアを積んできたが、アドリブが出たり、自分でも把握していなかった一面が演技を通して露になったりしている。今年は映画「浅田家!」が10月に公開予定と、また一つ出演作品が増える。今回はどんな発見があるのだろうか。
俳優としての活動に偏って書いたが、二宮のルーツはアイドルだ。現在、YouTubeでは期間限定で嵐のライブ映像が公開されている。『ARAFES NATIONAL STADIUM 2012』では、ソロステージが観られる。二宮作詞・作曲の「Gimmick Game」では、男女の関係をストレートな言葉で綴ったからこそのリアルな世界観があり、それを全身をつかって表現している。
また、『ARASHI LIVE TOUR 2017-2018「untitled」』も同様、眉や目、頬の動き、振付とは別に、胸に手を当てたり、大きく広げたりする仕草、カメラ目線を外した瞬間の眼差し…ほんの些細な動きに、二宮の表現力が宿っている。
(柚月裕実)