新型コロナウイルスの感染予防もまだまだ続きますが、いつくるかわからない大地震や、季節的には大型台風や集中豪雨などの自然災害への備えも考えなければいけません。
防災と聞くと、大がかりな備えが必要な気もしてしまいますが、じつは毎日の暮らしの中のちょっとした習慣が、防災の備えにつながることもたくさんあります。防災のプロ、危機管理アドバイザーの国崎信江さんに詳しく教えてもらいました。


暮らしのちょっとした習慣が防災への備えになります(※写真はイメージです)

住まいのなかでの防災。「出したらしまう」の片づけ習慣が命を守る



収納や家具の配置など、住まいの中でも防災できることはいろいろあります。そして、ものを出しっぱなしにしない、必要以上にものを増やさない、使っていないものは処分する、ものの定位置を決める…など日頃の片づけ習慣も大事。
ものが多く散らかりやすい家は、災害時にものが散乱して逃げ道をふさいだり、ものが飛んできてケガをすることに。

●今からできる住まいの防災チェックリスト


住まいの中で備えておくことは?

お部屋の中を見渡しながら、以下のチェックポイントを確認して、災害に備えた住まいにしましょう。

●シューズボックスに非常持ち出し袋を

玄関脇の収納を非常持ち出し袋の定位置に。前面にほかのものを置かず、家を離れて避難する際、サッと取り出せるようにしておいて。

●出入り口の前はスペースをあける

リビングから廊下に通じる出入り口付近にはものを置かないこと。買い物袋や宅配荷物のちょい置きもNG。

●重いものは下、軽いものは上に


本など重くてかたいものや割れやすいものは棚の下段、ヌイグルミなど軽いものや当たっても痛くないものは上段に。

●キャスターつき家具は“対角ロック”で固定

キャスターつきの可動式家具は、揺れで移動することも。キャスターは対角2か所をロックすると動きにくくなります。

●災害用の食品をストック

防災用に特別な食品を用意しなくてOK。いつも食べているものを非常食として利用しましょう。

●テレビは倒れないように固定

地震の揺れでテレビが転倒しないように、テレビ台と床、画面とテレビ台、さらに画面をベルトで床に固定しましょう。

●包丁は使ったらすぐしまう

壁にかける収納や包丁スタンドも、大きな地震の際には危険なことも。引き出しやシンク下などに収納して。

●キッチン収納の引き出しにストッパー

強い地震の揺れがくると、シンク下収納や食器棚の扉が開いて中のものが飛び出します。引き出しの扉ストッパーを用意。

●食器の間にはキッチンペーパー

食器は高く積み上げないのが基本。大きさの違う皿を重ねる場合は、間にキッチンペーパーをはさむと安定します。また、食器棚の棚板には滑り止めシートを敷いて。

●廊下にものを置かない

廊下の床にものを置いたり、壁に絵や写真などを飾るのはNG。玄関までの逃げ道をふさいだり、落下して破片が飛び散って危険です。

●家具とベッドの位置に注意

家具の位置は寝ている場所に倒れてこないようにすることがいちばん大切。また、家具は背の高さに関係なくすべて固定するようにして。

いつくるかわからない大地震。寝ているとき、料理をしているとき、テレビを見ているとき…。家の中から危険を取り除いておくことが、家族を守る術に。チェックポイントを参考に、収納や家具の配置を今すぐ見直してみてくださいね。

<イラスト/木波本陽子 取材・文/ESSE編集部>

●教えてくれた人
【国崎信江さん】


危機管理アドバイザー、危機管理教育研究所代表。自然災害や防災に対する備えを研究し、国や自治体の防災・防犯対策にも携わる。自宅は震度7にも耐えることができる構造で、食糧備蓄も万全