草刈正雄 撮影/佐藤靖彦

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 ダンディーで大人の色気があって、渋くてカッコいい。と思えば、ニコリと笑って優しい表情を浮かべる。その変わらぬ魅力に、つい、引き込まれてしまう――。

【写真】草刈正雄がラジオ体操で全力背伸び、“天気待ち”も絵になる映画撮影

 草刈正雄、67歳。4年前に『真田丸』で再ブレイク。圧倒的な存在感を見せつけた朝ドラ『なつぞら』での“じいちゃん"役も記憶に新しい。そんな草刈が、今度は初の総理大臣役に挑んでいる。

そう呼ばれるとその雰囲気になってくる

「本当に大変でした。それはぜひ、大きく書いてほしいです(笑)。政治用語が多く、難しくて。だからといってセリフに集中しすぎると芝居ができなくなってしまう。それはもったいないなと。でも、その難しさがだんだん快感になっていって、俳優としてはやりがいがありました」

 昨年公開された映画『記憶にございません!』では、官房長官役を演じていたが、

「昇格しましたね(笑)」

 と茶目っ気たっぷり。“総理”と呼ばれるのは、どんな気持ち?

「役者って気持ち悪くてね、そう呼ばれるとその雰囲気になってくるんですよ。ね、気持ち悪いでしょ?(笑) 僕は普段、だらしない人間なんだけど、なかなか(役を)断ち切れなくて、今回も気づいたら役に入ってた……なんてこともありましたね。

 僕が総理だったら? う~ん。最近は暗いニュースばかりですからね。もちろん、僕も先行きが不安になることはありますよ。もっと楽しい、明るい話題が出てくるような、そんな世の中になるといいなぁと思います」

 今回、草刈が演じる江島総理は、国家財政の危機が襲う中、反対を受けながらも強い信念をもって国を救うために奔走する。

「まさに“猪突猛進"な男。とにかく成功させるためには、周りに反対されようが、どんな手を使ってでもやるぞ、みたいな。自分とは大違いです」

 そうなんですか?

「はい。僕は気が弱いですから、周りから何か言われたら“あぁ、そうだね。そうかもしれないね"って言ってしまうタイプ(笑)。でも、自分とは違うからこそ、演じていて楽しかったです」

台本が全部教えてくれる

 今年でデビュー50周年。これまでさまざまなキャラクターを演じてきたが、

「僕は基本、役作りというのをしないんですよ。台本が全部教えてくれるので、そこから感じ取るものだけでやっていきます。台本に2~3回目を通したら、あとは直感ですね。緻密に考えられる役者さんもいますが、僕はざっくり系です(笑)」

 と答える。それができるのも、積み重ねてきたキャリアがあってこそ。この先、まだまだやってみたい役は?

「僕からこういう役をやりたいというのは、正直ありません。スタッフの方が、どんな役を草刈正雄にやらせてみたいと思うのか、それが楽しみですね。毎回役をいただくたびに“僕についてこう考えているんだ"ってワクワクします(笑)。これからどんな役をいただけるのか。お待ちしてますよ」

 昨年放送された朝ドラ『なつぞら』では、広瀬すず演じるヒロイン・なつの祖父代わりである泰樹を熱演。その貫禄に視聴者もクギづけ。1年前の“じいちゃん"と比べ、今はとても若々しい!

あの役のウラ話
 近年では、『真田丸』『なつぞら』の2作品は本人にとっても“特別な作品になった"と話す。
「撮影の前に“衣装合わせ"ってあるでしょう? 衣装さんやメイクさんがいろいろ工夫してくれて。ヒゲをつけて帽子をかぶっていくうちに、カウボーイみたいだなって(笑)。『真田丸』のときもそう。ヒゲはやして、侍姿になって。後ろに鏡があって、いざ振り返って自分の姿を見たときに、“おぉ~~~"って。すぐその気になっちゃいましたね(笑)」

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