英国のEU離脱がプレミアリーグに影響か(※写真はイメージです)【写真:Getty Images】

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ホームグロウン選手の登録人数を巡り、FAとプレミアリーグで議論が平行線を辿る

 隆盛を極めるイングランド・プレミアリーグだが、そのあり方が変化していく可能性があるようだ。

 英国の欧州連合(EU)離脱に伴い、FA(イングランドサッカー協会)は選手登録枠に関する変更を検討。その案に対してプレミアリーグが反発しているという。英紙「デイリー・メール」が報じた。

 昨年12月に行われた英総選挙でボリス・ジョンソン首相が率いる与党の保守党が圧勝。EU離脱を訴えていたジョンソン首相を中心とする保守党が圧勝したことで、1月31日付での“ブレグジット”が決定した。

 世界最高峰のプレミアリーグにも、今回のEU離脱の影響を与えそうだ。「デイリー・メール」は「サッカー界のブレグジット闘争:プレミアリーグがFAの性急なプランに怒り」と見出しを打ち、現状を報道。FAは英国人選手の登録必要人数の変更を検討しており、ホームグロウン(21歳までに自国クラブで3年間を過ごしている選手)以外の選手の登録上限を25人中「17」から「13」に引き下げようとしているという。同紙は次のように記している。

プレミアリーグはFAのプランを“性急”かつ“場当たり的”と捉えており、共通の目的からも外れていると見ている。プレミアリーグはFAの決定が世界最高のリーグというステータスを害する可能性があると考えており、法的手段も辞さない構えのようだ。FAがプランを強行すれば、イングランドのクラブは欧州の大会で苦しむことになるとも考えられている」

 FA側の考えとしては、他国に比べて重要なポジションで英国人選手が育っていない傾向があるとして、今回のプランを立案したとのこと。一方のプレミアリーグ側は、18歳から20歳の英国人選手の出場機会は他国とほぼ同じで、21歳の時点で大きな差が付いていることを指摘。現行のU-23リーグを廃止し、Bチームによるリーグ戦の導入を提案するなど、互いの主張は平行線を辿っているという。

18歳以下のEU圏内選手の獲得も不可能に 競争力の低下にリーグ側は懸念を抱く

 また、FAのプランとは関係なく、EU離脱後のプレミアリーグクラブは、EU圏内から18歳未満の選手を獲得することができなくなる。16歳でアーセナルに加入し、現在は同クラブの副キャプテンを務めるスペイン代表DFエクトル・ベジェリンのような例が、今後は生まれなくなるということでもある。それに加えて事実上の外国籍選手枠の縮小となれば、リーグ側が競争力の低下を懸念するのは自然な流れだろう。

 同紙によると、プレミアリーグの広報部は「FAと話し合い、ブレグジットがイングランド代表およびプレミアリーグにマイナスの影響を与えないことで同意している。この問題についてはよく議論し、プレミアリーグの発展と自国選手の成長を両立させていきたい」と発表し、FA側も「プレミアリーグ、そして政府機関とも調整しながら進めていく」とコメントしている。世界的な人気を誇り、競争力も非常に高いプレミアリーグ。ブレグジットによる影響は、今後も注視していく必要がありそうだ。(Football ZONE web編集部)