カタール戦ではボランチ田中駿汰が前線に飛び出し、決定機をつくり出す場面もあった。写真:佐藤博之

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 アジア各国が東京オリンピックを目指して競い合うU-23アジア選手権での日本の戦いが終わりました。

 日本は開催国枠により出場は決まっていますが、他のチームにとってはここで出場権を獲得しないといけません。本気のアジアのチームに対して、日本はどこまで闘えたのか、以前行なった2試合も含め、カタール戦を中心に僕なりに考えてみました。

 今回の大会の会場は、タイ。つまり高温多湿。日本にもオリンピック開催時期は、温暖化により、東南アジアのような蒸し暑さがあります。オリンピック会場と似た環境で、どのように闘ったのか。まずは昨日終えたばかりのカタール戦を振り返ります。

 過去2戦からスタメンを数名ずつ入れ替えながら戦った日本ですが、戦術的な部分で目につくことが多くありました。カタール戦の前半アディショナルタイムには退場者も出たので、後半に関しては後で全体の考察に入れるとして、前半を分析してみます。

 ポジティブな点は、3点。

 まず1つは、自陣からのビルドアップの際、ボランチが助けに入って奪われずに相手を押し込む事が出来たこと。

 2つ目は、押し込んだ中で、サイドチェンジをすることで数的同数まで持っていき突破を図れたこと。特に相馬選手は、1対1の状況を作ってもらえれば、ほぼクロスを上げることができていました。

 3点目は、ボランチの飛び出し。田中駿太選手が裏に飛び出し、相馬選手からのパスからキーパーと1対1の場面が生まれました。

 次に、ネガティブな点を挙げてみます。

 こちらは、5点。
 
1)全体的に間延びしている時間が長い。

 前半テレビ画面にディフェンスラインが映らない状況が多くありました。またビルドアップを後ろからしている際は前線の選手が映らないという状況でした。
 
 持ち上がることはできますが、中盤、特にバイタルエリアに選手がいなくなり、FWとの繋ぎ役が押し込んだ形にならないとパスの距離が長くなってしまいます。
 
 ウイングバックも相手ウイングバックを押し込むことを意識するあまり、スペースのない状況でボールを受けることが多く、なかなか仕掛ける形にならず、バックパスが多くなっていました。また速い攻撃(カウンター含め)がなかなか出せていませんでした。

2)押し込んだ際のディフェンスラインの押し上げの甘さ。

1)にも繋がりますが、攻撃参加も中途半端になっており、サポートには入るが守備の立ち位置が明確になっていないためか、受けてもチャレンジしきれず、バックパスをする機会が増え、また逆サイドに長いボールを蹴る機会はほぼなかったです。カウンターを一度でも受けるとよりポジションバランスが悪くなっていたと思います。
3)守備時、相手DFがボールを持っている時のディフェンスラインの押し上げが出来ていない。

 この事で特に前線の3人の選手、ウイングバックの選手は毎回立ち位置が低くなってしまっていました。またボランチがバイタルエリアを消すことも意識してポジションを取っていたので、ウイングバックが3バックの横まで下がり、トップ下の2人がサイドハーフの位置まで落ちる事になっていました。

 暑さの影響でスライドが難しい、押し上げが難しいのかもしれませんが、カウンターアタックに出て行くパワーがあまり感じられず、クリアーに近い裏への抜け出しになっており、スムーズな湧き出るカウンターアタックは出せていませんでした。

4)前線の選手が相手DFに捕まり過ぎていること。

 押し込めるからと相手3バックの近くに張り付いてしまうことでマークがしやすく、チャレンジ&カバーをされていました。前線の立ち位置で△(三角形)を作るようにすれば段差をつけることでフリックやスルーなどバリエーションが増え、カタールDFのライン間にギャップが出来たはずです。