灰ぐらいなら……は間違い! 立派な違法行為

 冬になったら「火の用心」。この季節になると、多くの街で消防団の皆さんが、「火の用心」を呼びかけて回っている。火の始末は確実に。大人なら誰でも知っているはずだが、令和最初の年も暮れようとしているのに、まだクルマの窓からタバコの灰をポンポンと落とす輩がいるのは信じられない……。

 タバコの灰は、いわゆる「裸火」。歩行者、自転車、バイク、オープンカーからすると危険極まりない行為だし、後続車にとっても街にとっても大迷惑。直接、灰に触れなくても、その行為を見ただけでまともな神経の持ち主なら誰もが不愉快になるはずだ。

 このような行為は法律云々ではなく、「ダメなものはダメ」。ただ、そういう倫理観の欠落した輩にモラルやマナーを語っても、効果があるとは思えないので一応法律の話もしておこう。

 タバコのポイ捨ても、タバコの灰を捨てるのも、立派な法律違反になる。まず「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)の違反」。廃棄物処理法では、「ごみ・粗大ごみ・燃えがら・汚泥・糞尿・廃油・廃酸・廃アルカリ・動物の死体・その他汚物・その他不要物」のことを「廃棄物」と定理している。

 要するに、ゴミの種類、大きさに関わらず、不要なものを正規の場所以外に捨てた場合は、不法投棄となり、発覚すれば「5年以下の懲役/1000万円以下の罰金または併科」となる。繰り返しになるが、タバコの吸い殻もそうだが、タバコの灰も「廃棄物」には変わりないので、罪の重さは同じになる。

その場で違反として検挙するのは難しいが……

 また、道路交通法にも、「道路における禁止行為等」として、「石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること」「前号に掲げるもののほか、道路において進行中の車両等から物件を投げること」と明記されている(道路交通法第五章「道路の使用等」第七六条)。

 裸火であるタバコの灰は、“人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件”に当てはまるので、違反者は5万円以下の罰金だ。

 さらに軽犯罪法にも、「公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者」は拘留又は科料に処するとあり、刑事施設への拘置1日以上30日未満、罰金1000円以上1万円未満となっている。(軽犯罪法第1条 第27号)

 とはいえ「現行犯でなければなかなか取り締まられないのでは?」と思うかもしれないが、諦めてはいけない。誰かが怪我や火傷、そのほかの被害を被る前に、ドライブレコーダーなどで現場をしっかり録画できたときは、警察などに届けてみよう。

 違反切符を切るかどうかは別として、クルマの所有者や運転者がわかれば、電話などで注意してもらうことぐらいはできるはず。

 タバコを全面禁止にしろとまでは言いたくはないが、2020年の東京オリンピックに合わせ、国内のタバコをめぐる規制は一段と強くなっていく。そうしたなか、喫煙者の肩身を狭くしているのは、なによりマナーの悪い喫煙者だということを強く自覚してもらいたい。