写真中央の垂れ幕が話題となっている【写真:Yukihito Taguchi】

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日本人サポーター、元Jリーガーで闘病中のユ・サンチョル監督に向けた垂れ幕を掲示

 森保一監督率いる日本代表は、18日に韓国・釜山で行われているE-1選手権最終節で韓国代表と対戦し、0-1で敗れた。

 韓国の大会3連覇で幕を閉じたなか、日韓戦での一幕が脚光を浴びており、「国籍を越えた」「日韓は一つ」と現地メディアも感銘を受けている。

 試合は前半28分、ゴール正面でボールを受けた相手MFファン・インボムがミドルシュートを放ち、寄せた日本4選手の間をすり抜ける形でゴール左隅に吸い込まれた。劣勢の日本は後半早々にMF相馬勇紀を投入。同17分にMF大島僚太、同33分にMF仲川輝人を投入したがゴールは生まれず、0-1で敗れた。

「宿命のライバル決戦だったが、1人のことを考える心に国籍はなかった」

 そう伝えたのは韓国のスポーツニュース総合サイト「SPOTVニュース」だ。「興行不振という言葉は、日韓戦に似合わない言葉だった。競技場が大きく、3万人の観客が来ても空席に見える感じだったが、それも問題にはならなかった。両チームの応援する熱気がグラウンドを覆い、2万9252人の観客が歓声を上げた」と盛り上がりぶりを報じた。

 その一方、「日本の遠征ファンが殺到した南スタンド2階の手すりにかかった垂れ幕が目を引いた」と言及。日本ファンが掲示した垂れ幕の写真を紹介し、「『頑張れ。ユ・サンチョル!!』というフレーズだった」と記している。

かつて横浜FMや柏でプレーしたユ・サンチョル監督、11月に膵癌を公表

 ユ・サンチョル氏はかつて横浜F・マリノス、柏レイソルでプレー。J1リーグで通算113試合44得点と決定力の高さを見せつけた一方、FWからDFまでこなすオールラウンダーとして活躍し、横浜FM時代にはリーグ優勝を経験した。また、韓国代表としても122試合に出場して、日韓ワールドカップではベスト4に貢献している。

 日本と韓国の両方で結果を残したレジェンドは指揮官となり、今年5月に仁川ユナイテッドFCの監督に就任。しかし、11月にステージ4の膵癌であることを公表し、闘病している。

 記事では「ユ・サンチョル監督を思う心、釜山で日韓は一つだった」との見出しを立てつつ、垂れ幕に関して「膵癌克服を願う日本のファンの声援であり、心配だった」と指摘。そのうえで「国籍を越えた応援に人間味があった」と総括している。

 ピッチ上では激しい攻防が繰り広げられたが、日本ファンの行動に韓国メディアも感銘を受けたようだ。(Football ZONE web編集部)