タグホイヤー「ホイヤーカレラ1964年復刻版」

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―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―

 腕時計投資家の斉藤由貴生です。私はこれまで、何十本もの腕時計を購入してきたのですが、今回お話させていただくのは、私が3本目に買った時計のこと。それは、タグホイヤーの「ホイヤーカレラ1964年復刻モデル」なのですが、私はこの時計を1年以上「欲しい」と思い続け、やっと買うことができたという思い出があります。

◆中1で高級腕時計を買えた理由

 私が欲しかったこの「カレラ」は、タグホイヤーの中では異色の存在でした。その時代、タグホイヤーの主だったラインナップは、防水ブレスレットのスポーツモデルで、ムーブメントも電池式が主流。それに対して、カレラには、手巻きの機械式ムーブメントが搭載されており、見た目もかなりクラシカルだったのです。

 私がこの腕時計を買ったのは2000年3月のことで、そのころ私は中学1年から2年になろうというころ。

 そんな若い年齢で、なぜ高級腕時計を買うことができたのかというと、当時の私は中学生ながら仕事をしていたからです。私が中学1年生だったのは、1999年4月から2000年3月という時期ですが、そのころのインターネットという存在は、大人にとって未知のモノ。なんとなく若い人のほうが詳しいというイメージがあったようで、中学生の私に対し、ホームページ制作の仕事を発注する人がいたのです。

 最初のクライアントは、小学生時代から付き合いのある出版社。私は1999年9月から、その会社のホームページを作成し12月に完成させました。そして、翌年2000年には、友人の父、母の友人からホームページ制作の依頼があり、当時の私は、複数のクライアントを抱えていたのです。

 そのような仕事を受けた結果、中学生だった私は、数十万円単位の資金を得ることに成功。そのお金が、腕時計を買うための資本金となったのです。

◆腕時計投資に目覚める前の私が買ったカレラは……

 さて、今の私の場合、その資金で腕時計を購入する際、なるべく「損をしない」ように買うための努力をします。そうなると絶対に中古を選択しますし、買う前に「おおよそ幾らぐらいで売却できそうか」ということも考えるでしょう。そうすることによって、買った時計が気に入らなかった場合や、急に他に欲しい時計が出現した場合などでも、きちんと対応できるからです。

 しかし、中2の私は違いました。腕時計を売るという知恵がなく、もちろん中古を買うという発想もなかったのです。

 ですから、当時の私は、欲しかったカレラが中古だと13万円程度ということを知りながら、「絶対に新品で購入する!」と決めていたのです。

 さらに、当時の私は、お年玉や中学の入学祝い金で購入したオメガを持っていました。そのオメガは、まったく気に入っていなかったため、今の感覚ならば、たとえ買った値段の半額だったとしても売ることを決断したでしょう。

 その当時、私が欲しかったカレラは、税込26万円程度でした。いくらホームページ制作で稼いだからといって、26万円という金額は中学生の私にとって大金です。高校生のようにアルバイトできる年齢だったならば、「毎月どれだけ働けば、何ヶ月後には購入可能」という計算もできるでしょう。しかし、ホームページ制作の仕事は、電話営業をしていたわけでもないため、次に「いくら入ってくるか」ということは未知数なのです。

 もしも当時、気に入っていなかったオメガを売り、中古のカレラを買えたならば、その支払額は10万円以下となったでしょう。しかし、オメガを売る発想もなく、新品にこだわっていた私は、26万円を出さないとカレラを手に入れることはできなかったのです。

 私がこのカレラという腕時計を知った当時は、まだホームページ制作で稼いでいませんでした。ですから、カレラを買う資金を得るまでに1年ほどの時間を要したわけですが、オメガを売ることによって支払額が10万円以下ですんだならば、お年玉等の貯金ですぐに買うことができたわけです。